刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉とは:住吉大明神に奉納された繁慶の刀

刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉(かたな〈めいおのはんけい/ほうのうせっしゅうすみよしだいみょうじんごほうぜん〉)は、大阪府大阪市住吉区の住吉大社が所蔵する江戸時代の刀で、昭和35年(1960年)6月9日に重要文化財に指定された。

文化庁の記録では、員数は1口、作者は小野繁慶(おのはんけい)である。名称の〈 〉の中は茎(なかご)に切られた銘を示し、作者の名「小野繁慶」と、「奉納接州住吉大明神御宝前」の文言が刻まれている。

後者は、住吉大明神の御宝前(神前)に奉納する、という意味の奉納銘である。文化庁の名称は「接州」と記すが、住吉大社が摂津国(摂州)の一宮であることから、摂州を指すものと読める。刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉は、誰が作り、どこに納めたかを刀身そのものが語る一口である。

作者の繁慶:鉄砲鍛冶から刀工へ

徳川美術館が文化遺産オンラインに寄せた解説によると、繁慶は本名を野田善四郎清堯(のだぜんしろうきよたか)といい、三河の出身で、徳川家康・秀忠に抱えられた鉄砲鍛冶であった。のちに刀鍛冶に転じ、繁慶と名を改めたという。

徳川美術館には、清堯が作った火縄銃(三匁五分筒)が伝わる。筒には慶長16年(1611年)10月の年紀と「日本清堯」の銘があり、家康が用いたのち尾張徳川家の初代義直に伝えられた。刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉の作者は、刀工となる前にこうした鉄砲を手がけていた人物である。

読みは文化庁の記録のふりがなに従い「はんけい」とする。

刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉の価値

文化庁のデータベースは刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉について「江戸時代の作品」と記すのみで、寸法や作風の解説は載せていない。そのため、この刀の価値を語れる根拠は、主に茎の銘にある。

作者名と奉納先がともに刻まれていることで、この刀が住吉大明神への奉納のために納められたことが刀身から確かめられる。住吉大社の年表も、昭和35年(1960年)に刀剣「小野繁慶」銘が重要文化財に指定されたと記している。

繁慶の刀では、ほかに高野山の金剛三昧院が所蔵する刀〈銘繁慶〉2口が、昭和25年(1950年)に重要文化財に指定されている。寺社への奉納品として伝わった点で、刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉と通じるところがある。

刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉と住吉大社

住吉大社の年表によると、住吉大社は昭和59年(1984年)に大阪府の文化財に指定された火縄銃「野田善清尭」銘も所蔵している。「野田善清尭」は、徳川美術館の解説が伝える繁慶の鉄砲鍛冶時代の名「野田善四郎清堯」と重なる。

同じ作者とみられる鉄砲と刀が、ともに住吉大社に伝わっていることになる。刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉を見るときは、この作者が鉄砲と刀の両方を手がけた経歴を念頭に置くと、奉納の意味が読み取りやすい。

刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉の見学方法

國學院大學の神社博物館事典は、住吉大社の宝物を収める住吉文華館の所蔵品として、刀(銘「小野繁慶」)を挙げている。ただし、住吉大社の現在の公式サイトには住吉文華館の開館案内が見当たらず、刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉を常時見られるかどうかは確認できなかった。見学を望む場合は、住吉大社(06-6672-0753)に問い合わせたい。

住吉大社の境内は、公式サイトによると4月から9月は午前6時、10月から3月は午前6時30分に開門し、外周門は午後4時、御垣内は午後5時に閉門する。南海本線「住吉大社」駅から東へ徒歩3分、阪堺線「住吉鳥居前」駅からすぐである。

Q&A

Q刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉はどこにありますか?
A大阪市住吉区の住吉大社が所蔵しています。
Q刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉は見学できますか?
A常時公開されているかは確認できませんでした。住吉大社(06-6672-0753)にお問い合わせください。
Q小野繁慶の刀の銘は何と書かれていますか?
A作者名「小野繁慶」と、住吉大明神の神前に奉納することを示す「奉納接州住吉大明神御宝前」が刻まれています。
Q繁慶とはどんな刀工ですか?
A徳川美術館の解説によると、本名は野田善四郎清堯で、三河出身の徳川家お抱えの鉄砲鍛冶でした。のちに刀鍛冶に転じて繁慶と名を改めました。
Q刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉はいつ重要文化財に指定されましたか?
A昭和35年(1960年)6月9日に指定されました。

基本情報

名称刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉
所在地大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89(住吉大社)
指定区分重要文化財(工芸品)
指定年昭和35年(1960年)6月9日指定
員数1口
寸法文化庁データベースに記載なし
所有者住吉大社
公開状況常時公開の確認なし(住吉大社に要問い合わせ)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「刀〈銘小野繁慶/奉納接州住吉大明神御宝前〉」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/201/6636
文化遺産オンライン「火縄銃 三匁五分筒」(徳川美術館)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/41608
文化遺産オンライン「刀〈銘繁慶/〉」(金剛三昧院)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/209609
住吉大社「歴史と遷宮年表」
https://www.sumiyoshitaisha.net/about/history.html
住吉大社「アクセス」
https://www.sumiyoshitaisha.net/access/
國學院大學 神社博物館事典WEB版「住吉大社・住吉文華館」
https://www2.kokugakuin.ac.jp/museum/jinja/27/27_sumiyoshi.html

最終更新日: 2026.09.27