竹山家住宅主屋:浜松に残る昭和初期の端正な住宅建築
浜松市中央区天王町に佇む竹山家住宅主屋は、昭和12年(1937年)に建てられた木造2階建ての住宅建築です。当初は離れとして建設されましたが、後に主屋として使用されるようになりました。設計は竹山謙三郎によるもので、錣葺風の屋根や押縁下見板張の外壁、銘木を随所に配した洗練された内部空間など、抑制のきいた端正なつくりが特徴です。平成17年(2005年)に国の登録有形文化財(建造物)に登録され、昭和初期の上質な住宅建築の姿を今日に伝えています。
歴史的背景
竹山家住宅主屋が建てられた昭和12年(1937年)は、日本の住宅建築が伝統的な和風建築の技法と近代的な要素とのあいだで新しい表現を模索していた時代です。設計者の竹山謙三郎は、この建物を当初「離れ」として計画しました。離れとは、日本の伝統的な住宅敷地において客人をもてなしたり、主人が静かに過ごすための別棟として設けられる建物です。
建物が所在する天王町は、浜松市中心部から北東に位置する歴史ある地域です。明治22年(1889年)の町村制施行により長上郡天王村として成立し、昭和2年(1927年)には市野村と合併して長上村となりました。昭和29年(1954年)に浜松市に編入された後、平成19年(2007年)の政令指定都市移行に伴い東区の一部となり、令和6年(2024年)の行政区再編により現在は中央区に属しています。
文化財としての価値
竹山家住宅主屋は、平成17年(2005年)11月10日に国の登録有形文化財(建造物)として登録されました。登録有形文化財制度は、建築後50年を経過した歴史的・文化的・建築的に価値のある建造物を保護するために設けられた制度です。
本建物が評価された理由として、まず昭和初期の住宅建築における洗練された意匠が挙げられます。桟瓦葺に一部銅板葺を組み合わせた錣葺風の屋根は、熟練の技術を示すものです。外装の押縁下見板張は、横板を細い縦の押縁で固定する技法で、端正で落ち着いた外観を生み出しています。内部には銘木が随所に用いられ、木目の美しさを活かした繊細な空間づくりが施されています。全体として、華美に走ることなく抑制のきいた品格ある佇まいが、この建物の最大の特徴といえます。
建築の見どころ
竹山家住宅主屋は木造2階建て、建築面積約88平方メートルの建物です。屋根は桟瓦葺を基本としながら一部に銅板葺を用い、錣葺風の重層的な屋根のラインが建物の外観に奥行きと風格を与えています。錣葺とは、屋根の上部と下部で異なる勾配や素材を用いる葺き方で、格式のある建築に多く見られる手法です。
外壁に用いられた押縁下見板張は、横方向に張った板を細い縦の押縁で押さえて固定する技法です。雨仕舞いに優れるとともに、整然とした水平線を強調する端正な意匠を実現しています。昭和初期の上質な住宅に好んで用いられた外装手法のひとつです。
内部空間では、厳選された銘木が随所に配されています。柱や長押、床の間まわりなどに用いられた木材は、それぞれ独特の木目と色合いを持ち、自然素材の美しさと建築空間との調和が追求されています。華美な装飾を排し、素材の力を最大限に引き出す設計思想は、日本の住宅建築における「用の美」を体現したものといえるでしょう。
見学のご案内
竹山家住宅主屋は個人の住宅であるため、内部の見学は原則として公開されていません。外観の特徴的な屋根のラインや板張りの外壁は、周辺の公道から鑑賞することができます。見学の際は、お住まいの方のご迷惑にならないよう、十分にご配慮ください。
所在地は浜松市中央区天王町759-1です。公共交通機関をご利用の場合は、JR浜松駅から遠鉄バス笠井線(73・75・76番)に乗車し、「天王」バス停で下車してください。お車の場合は、浜松市中心部から静岡県道45号天竜浜松線(笠井街道)を北東方面へ約15分です。
周辺の見どころ
竹山家住宅主屋の見学とあわせて、浜松市内の多彩な観光スポットを訪れることができます。JR浜松駅近くに位置する浜松市楽器博物館は、日本唯一の公立楽器博物館として世界各地から収集した約1,500点の楽器を常設展示しており、「楽器のまち浜松」を象徴する施設です。浜松城は若き日の徳川家康が拠点とした城として知られ、天守閣からは浜松市街を一望できます。また、西方に広がる浜名湖周辺では遊覧船や温泉を楽しめるほか、全国的に名高いうなぎ料理を味わうことができます。
Q&A
- 竹山家住宅主屋とはどのような建物ですか?
- 昭和12年(1937年)に建てられた木造2階建ての住宅建築で、静岡県浜松市中央区天王町に所在します。当初は離れとして建設され、設計は竹山謙三郎によるものです。平成17年(2005年)に国の登録有形文化財(建造物)に登録されており、銘木を配した洗練された内部空間と抑制のきいた端正な外観が特徴です。
- 内部を見学することはできますか?
- 竹山家住宅主屋は個人の住宅であるため、内部の一般公開は行われていません。外観の錣葺風の屋根や押縁下見板張の壁面は、周辺の公道から鑑賞することができます。見学の際は、住居者への配慮をお願いいたします。
- 浜松駅からのアクセス方法を教えてください。
- JR浜松駅から遠鉄バス笠井線(73・75・76番)に乗車し、「天王」バス停で下車します。お車の場合は、浜松市中心部から県道45号線(笠井街道)を北東方面へ約15分です。
- 竹山家住宅主屋の設計者は誰ですか?
- 設計は竹山謙三郎によるものです。伝統的な和風建築の手法を基盤としながら、素材の選定から空間構成に至るまで抑制のきいた上品な設計がなされています。
- 周辺にはどのような観光スポットがありますか?
- 浜松市楽器博物館(日本唯一の公立楽器博物館)、浜松城(徳川家康ゆかりの城)、アクトシティ浜松のほか、浜名湖周辺の温泉やうなぎ料理も人気です。浜松はヤマハやカワイなど世界的な楽器メーカーの本拠地としても知られています。
基本情報
| 名称 | 竹山家住宅主屋(たけやまけじゅうたくしゅおく) |
|---|---|
| 文化財区分 | 国登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 平成17年(2005年)11月10日 |
| 建築年 | 昭和12年(1937年) |
| 設計 | 竹山謙三郎 |
| 構造 | 木造2階建、桟瓦葺一部銅板葺、建築面積約88㎡ |
| 所在地 | 静岡県浜松市中央区天王町759-1 |
| アクセス | JR浜松駅より遠鉄バス笠井線「天王」バス停下車、浜松駅より車で約15分 |
参考文献
- 竹山家住宅主屋 - 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/184883
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002054
- 有形文化財建造物 - 浜松市
- https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/shitei/kenzoubutsu.html
- 天王町 (浜松市) - Wikipedia
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%8E%8B%E7%94%BA_(%E6%B5%9C%E6%9D%BE%E5%B8%82)
最終更新日: 2026.03.28