天竜浜名湖鉄道とは
天竜浜名湖鉄道は、静岡県の掛川駅から天竜二俣駅を経て新所原駅までの67.7キロメートルを結ぶ鉄道で、昭和15年(1940年)に全線が開通した旧国鉄二俣線の駅舎・橋梁・トンネルなど36件が国の登録有形文化財になっている(静岡県、文化庁)。静岡県は、路線全体が「全線まるごとの文化財」になっていると紹介している。
浜名湖の北側を通る路線で、駅は39あり、掛川駅から新所原駅までは約2時間かかる(静岡県)。静岡県と沿線の市町村が中心となって設立した第三セクターの天竜浜名湖鉄道株式会社が運営している。
二俣線の歩み
天竜浜名湖鉄道によれば、昭和10年(1935年)4月に掛川〜遠江森(現在の遠州森)間12.9キロメートルが最初に開通した。続いて昭和11年(1936年)12月に新所原〜三ヶ日間、昭和13年(1938年)4月に三ヶ日〜金指間が開通し、昭和15年(1940年)6月に掛川〜新所原間が全通した。全通と同時に遠江二俣機関区が置かれ、機関車12両が配置された。
文化庁は、二俣線を東海道本線のバイパス線として建設された路線と記している。蒸気機関車は昭和46年(1971年)3月まで走った。昭和62年(1987年)3月15日に第三セクターの天竜浜名湖鉄道として開業した(天竜浜名湖鉄道)。
登録有形文化財36件
登録は2回に分けて行われた(文化庁)。平成10年(1998年)12月11日に、天竜二俣駅構内の機関車転車台・機関車扇形車庫・運転区事務室・運転区休憩所・運転区浴場の5件が登録された。続いて平成23年(2011年)1月26日に、駅舎やプラットホーム、橋梁、トンネル、給水施設など31件が加わった。
内訳は、駅舎・プラットホーム・待合所が16件、橋梁と高架橋が10件、トンネルが2件、転車台・車庫・運転区の建物・給水施設が8件である。年代は、光明電鉄の軌道として掘られた昭和5年(1930年)の神田隧道を除けば、いずれも昭和10年(1935年)から昭和15年(1940年)にかけての開通時期のものである(文化庁)。
天竜浜名湖鉄道は、多くの種類の施設がまとめて登録されたことで、路線全体として大きな意義をもつことになったとしている。
沿線の見どころ
掛川側では、開通当初の三つの駅(桜木・原谷・遠州森)の木造駅舎と、太田川橋梁や原野谷川橋梁などの鋼製の桁橋が続く(文化庁、天竜浜名湖鉄道)。
路線の中ほどの天竜二俣駅には、現役の転車台と木造の扇形車庫を中心に、旧二俣機関区の事務室・休憩所・浴場、給水用の高架貯水槽と揚水機室がまとまって残る。その西には、沿線で最長かつ唯一のトラス橋である天竜川橋梁(橋長403メートル)が架かる(文化庁)。
浜名湖側では、赤い洋瓦の気賀駅・西気賀駅、傾いた柱で組む金指駅の上屋、半円アーチの瀬戸山橋梁、沿線で最長の利木隧道(延長663メートル)など、昭和11年(1936年)から昭和13年(1938年)にかけての施設が並ぶ(文化庁、天竜浜名湖鉄道)。
乗り方と見学
天浜線の列車はワンマン運転で、駅での乗車券の購入と車内での運賃の精算は現金だけである。交通系ICカードは使えない(天竜浜名湖鉄道)。全線を1日乗り降りできる「1日フリーきっぷ」は大人1,950円、こども980円で、掛川・遠州森・天竜二俣・西鹿島・金指・三ヶ日・新所原の各駅の窓口で買える。
天竜二俣駅では、転車台や扇形車庫を案内する見学ツアーが行われている(天竜浜名湖鉄道)。浜松市天竜区の令和3年(2021年)の記事では、ツアーは毎日開かれ、平日は午後1時50分からの1回、土日祝日は午前10時50分と午後1時50分の2回で、料金は大人350円、小人100円(天浜線を利用した場合は大人250円)だった。最新の時間と料金は天竜浜名湖鉄道に確かめたい。
夜間に運転区2階の会議室を開放する「夜の転車台ツアー」も開かれており、令和8年(2026年)7月の回は1人2,000円、先着30名の事前予約制だった(天竜浜名湖鉄道)。駅舎の多くは無人駅の現役の駅舎で、橋梁やトンネルは列車の運行に使われている。線路や鉄道の敷地には立ち入らないこと。
沿線のうち浜松市の北区と浜北区は、令和6年(2024年)1月1日の行政区再編で浜名区になった(浜松市)。文化庁の記録の所在地は旧区名のままである。
参考文献
- 天竜浜名湖鉄道(静岡県)
- https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/kotsunetwork/1029731.html
- 文化財を巡る(天竜浜名湖鉄道)
- https://www.tenhama.co.jp/spot/bunkazai/
- 天浜線の歴史(天竜浜名湖鉄道)
- https://www.tenhama.co.jp/about/history/
- 乗車・車両のご案内(天竜浜名湖鉄道)
- https://www.tenhama.co.jp/about/geton/
- お得な乗車券(天竜浜名湖鉄道)
- https://www.tenhama.co.jp/about/joshaken/
- 天竜浜名湖鉄道機関車転車台(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000964
- 天竜浜名湖鉄道運転区事務室(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000966
- 天竜浜名湖鉄道天竜川橋梁(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008476
- 天竜二俣駅にて転車台の見学ツアー(浜松市天竜区)
- https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/tn-shinko/dekigoto/r0730_dekigoto.html
- 「夜の転車台ツアー」のご案内(天竜浜名湖鉄道)
- https://www.tenhama.co.jp/events/29609/
- 行政区の再編について(浜松市)
- https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/kuseido/index.html
最終更新日: 2026.10.14
基本情報
| 名称 | 天竜浜名湖鉄道 |
|---|---|
| 所在地 | 静岡県掛川市・袋井市・周智郡森町・磐田市・浜松市・湖西市(天竜浜名湖線沿線) |
| 所有者 | 天竜浜名湖鉄道株式会社 |
| 指定 | 登録有形文化財 36件 |
| 座標 | 34.82833, 137.78483 |