日光金谷ホテルとは
日光金谷ホテル(にっこうかなやホテル)は、栃木県日光市上鉢石町にある明治26年(1893年)開業のリゾートホテルで、本館・新館・観覧亭(竜宮)・展望閣・別館の5棟が平成17年(2005年)11月10日に登録有形文化財となった。経営する金谷ホテル株式会社は、明治6年(1873年)に始めた外国人向けの宿を前身とし、5棟はいまも営業中のホテルの建物として使われている。
ホテルは大谷川に架かる神橋の近く、坂を上った高台にある。敷地には昭和36年(1961年)完成の第二新館もあるが、こちらは登録されていない。このページでは登録有形文化財の5棟と、ホテル全体に共通する歴史や見学の条件をまとめる。
金谷カッテージ・インから上鉢石町へ
日光金谷ホテルの始まりは、日光東照宮の楽人だった金谷善一郎が、ヘボン式ローマ字で知られるアメリカ人ヘボン(J.C.ヘップバーン)博士の勧めを受け、四軒町(いまの日光市本町)の自宅の一部を外国人の宿「金谷カッテージ・イン」として開いたことにある。明治11年(1878年)には英国の旅行家イザベラ・バードが訪れ、旅行記『日本奥地紀行』でこの宿を紹介した。
明治26年(1893年)、金谷家は現在地に2階建て30室のホテルを開いた。これがいまの本館である。ホテルの年表をたどると、その後は新館の落成、敷地内のスケートリンクの設置(大正5年、1916年)、竜宮と呼ばれる観覧亭と展望閣の建設(大正10年、1921年)、別館の落成(昭和10年、1935年)と施設が広がっていく。昭和11年(1936年)には本館の地面を掘り下げ、2階建てを3階建てに改めた。
戦後の昭和20年(1945年)には米軍の保養所として接収され、一般の営業に戻ったのは昭和27年(1952年)だった。5棟が登録された翌年の平成18年(2006年)に耐震補強と内部の改装を行い、平成19年(2007年)には経済産業省の近代化産業遺産に認定されている。
創業の地にある旧金谷カッテージ・インの建物は、金谷侍屋敷として平成26年(2014年)に別に登録され、金谷ホテル歴史館として公開されている。上鉢石町のホテルとは場所も登録も別なので、このページの5棟には含めていない。
5棟の配置と登録
文化庁のデータベースの解説から、日光金谷ホテルの5棟の位置と規模は次のように読み取れる。どの棟も本館を基準に位置が示されている。
- 本館は明治26年(1893年)の建築で、昭和11年(1936年)に増改造した木造3階建。東を正面にしたL字形の平面で、建築面積は1,395平方メートル。
- 新館は本館の北西に建つ明治37年(1904年)の木造2階建。1階に柱のないバンケットホールを設け、建築面積は503平方メートル。
- 観覧亭(竜宮)は本館の南の高台にあり、冬にスケートリンクになる池に面する。大正10年(1921年)の木造2階建で、建築面積は172平方メートル。
- 展望閣は観覧亭の北、高台の崖際に建つ大正10年(1921年)の木造平屋建。観覧亭とは渡り廊下で結ばれ、建築面積は62平方メートル。
- 別館は本館の北東に建つ昭和10年(1935年)の木造一部鉄筋コンクリート造3階建の客室棟。久米権九郎の設計で、建築面積は423平方メートル。
5棟の登録番号は09-0127から09-0131までの連番で、平成17年(2005年)12月5日に告示された。登録基準は棟ごとに違い、本館が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、新館が「再現することが容易でないもの」、観覧亭・展望閣・別館が「造形の規範となっているもの」である。明治・大正・昭和初期に建てられた建物が一つの敷地にそろい、外国人向けのホテルが増築を重ねて大きくなっていった順序を、建物の並びからたどることができる。
建築年は資料によって食い違う。新館を文化庁と栃木県は明治37年(1904年)とするが、ホテルの年表は明治34年(1901年)の落成としている。観覧亭(竜宮)についても、ホテルの別の年表は昭和9年(1934年)に改築したと記し、屋根を鉄板葺としている(文化庁は銅板葺)。このサイトでは文化庁のデータベースの値に従った。
日光金谷ホテルの見学と行き方
日光金谷ホテルは営業中のホテルで、5棟の多くは宿泊者のための建物である。ホテルの案内によると、宿泊しない人も本館1階のロビー、レストラン、ギフトショップ、敷地内の展示室「金谷の時間」を自由に利用できるが、客室を含む宿泊者専用の区域には入れない。ロビーは午前7時から午後11時まで、展示室は午前9時から午後5時30分まで開いている。
館内の案内は2種類ある。一つはスマートフォンとイヤホンを使う館内ガイドで、フロントで借りる。所要は約40分、料金は1回800円で、日本語のみ。宿泊者以外も利用できる。もう一つはスタッフによる館内案内ツアーで、当面は金曜日と土曜日の午後5時に本館1階ロビーへ集まる形で開かれる。予約は要らないが、参加できるのは宿泊者に限られる。いずれも2026年10月5日にホテルの案内で確かめた内容で、変わることがある。
撮影について、ホテルは取材や撮影会のような撮影を、営利目的かどうかにかかわらず事前の承諾制としており、ドローンを使う撮影も許可が要る。個人の記念写真の扱いは案内に書かれていないので、気になる場合はフロントで確かめたい。
鉄道で行く場合は、東武日光駅またはJR日光駅から奥細尾・中禅寺温泉・湯元温泉方面の東武バスに乗り、約5分の「神橋」で降りる。進行方向の左にある急な坂を上ると、約3分で日光金谷ホテルに着く。東武日光駅からはホテルの無料シャトルバスも出ており、時刻はホテルの案内で確かめられる。車なら日光宇都宮道路の日光インターで降りる。敷地内に60台分の無料駐車場があり、チェックイン日の正午からチェックアウト日の正午まで使える。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 日光金谷ホテル本館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004919
- 国指定文化財等データベース 日光金谷ホテル新館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004920
- 国指定文化財等データベース 日光金谷ホテル観覧亭(竜宮)(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004921
- 国指定文化財等データベース 日光金谷ホテル展望閣(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004922
- 国指定文化財等データベース 日光金谷ホテル別館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004923
- 日光金谷ホテル 日光金谷ホテルへようこそ(文化遺産・年表)
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/appeal/
- 金谷ホテル 金谷ホテルのご案内(歴史)
- https://www.kanayahotel.co.jp/appeal/
- 日光金谷ホテル 館内のご案内
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/facilities/
- 日光金谷ホテル よくあるご質問
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/faq/
- 日光金谷ホテル イマーシブガイド(館内ガイド)
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/guide/
- 日光金谷ホテル 館内案内ツアー開催日程変更について(2026年6月8日)
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/news/163/
- 日光金谷ホテル 撮影・取材について
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/media/
- 日光金谷ホテル アクセス
- https://www.kanayahotel.co.jp/nkh/access/
- 金谷ホテル シャトルバス送迎時間
- https://www.kanayahotel.co.jp/shuttle/
最終更新日: 2026.10.04
基本情報
| 名称 | 日光金谷ホテル |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県日光市上鉢石町1300 |
| 所有者 | 金谷ホテル株式会社 |
| 指定 | 登録有形文化財 5件 |
| 座標 | 36.75201, 139.60416 |