大川家住宅とは
大川家住宅(おおかわけじゅうたく)は、栃木県足利市小俣町にある旧家の屋敷で、嘉永4年(1851年)の本蔵から明治初期の主屋・大門まで7棟が、平成15年(2003年)3月18日に登録有形文化財となった。北に山を背負った高台に屋敷地があり、その中央に主屋が東西に長く建つ。
現在の所有者は社会福祉法人小俣幼児生活団である。昭和24年(1949年)に開園したこの保育園は、大川家住宅の屋敷をそのまま園地とし、主屋や蔵を園舎の一部として使い続けている。園の公式サイトによれば敷地は3,000坪を超え、園庭には梅林や池、「マリアの丘」と呼ばれる小山がある。
登録された建物は、主屋・本蔵・西蔵・旧納屋・巽蔵・続蔵・大門の7棟。住まいの中心と、質蔵・穀蔵・味噌蔵などの収納、作業のための納屋、そして門がそろい、近世末から明治にかけての在郷の商家の屋敷構えがまとまって残っている。
織物の町を支えた大川家
足利は古くから織物の産地として知られ、のちに銘仙の一大産地となった。地域情報サイト「あしかがのこと。」が平成29年(2017年)に掲載した取材記事は、『足利織物史』の記述として、大川家が明治初期まで織物業や糸商を営み、足利が銘仙で名を上げる以前から織物の町を支えていたと伝えている。
大川家住宅の主屋に、かつて機場(はたば)として使われた区画があったことは、文化庁の解説にも記されている。屋敷の建物が、この家の生業と結びついていたことがうかがえる。
同じ記事によると、平成14年(2002年)ごろに園舎の建て替えを計画した際、主屋など古い建物は保育施設としては不適当と判断され、取り壊しも検討された。織物の町の歴史を伝える建物として残すべきだという声があり、翌平成15年(2003年)の登録につながったという。新しい保育棟は平成16年(2004年)に完成し、同年度の栃木県マロニエ建築・景観賞と足利市建築文化賞を受けている。
7棟の登録
大川家住宅の7棟は、平成15年(2003年)3月18日の第36回登録でそろって登録有形文化財となった。登録番号は09-0071から09-0077までの連番である。登録基準は、主屋と本蔵が「造形の規範となっているもの」、残る5棟が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とされた。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。
- 本蔵:嘉永4年(1851年)、土蔵造2階建、建築面積50平方メートル
- 続蔵:江戸末期、木造及び土蔵造平屋建、建築面積81平方メートル
- 主屋:明治初期、木造2階建、建築面積317平方メートル
- 西蔵:明治初期、土蔵造2階建、建築面積31平方メートル
- 旧納屋:明治初期、木造2階建、建築面積77平方メートル
- 巽蔵:明治初期、土蔵造2階建、建築面積49平方メートル
- 大門:明治初期、木造、間口2.9メートル
屋根はいずれも瓦葺で、蔵の多くは置屋根とする。本蔵の建築年は、蔵に残る貼紙から判明したものである。
屋敷の配置を読む
大川家住宅の配置は、主屋を真ん中に置いて西と東で性格が分かれる。主屋は西側を上手(かみて)として式台玄関を構え、東側の下手(しもて)に機場を置いていた。
上手にあたる西方には、主屋の北西隅から本蔵が北へ延び、その南西に西蔵が建つ。2棟は渡廊下でつながり、文化庁の解説は本蔵と西蔵を「屋敷地西方の主要素」としている。
下手の東方は、日々の作業を支える区画だった。敷地の東南隅に旧納屋が建ち、その東端の北に巽蔵、さらに北へ続蔵が連なる。巽蔵と続蔵は屋敷地の東辺に積まれた石垣の上に並び、白い漆喰の壁と板張りの壁が交互に見える東の外観をつくっている。
大門は主屋の南、旧納屋の西に開く。大門橋から延びる道に対して、門はやや東へ振れて建っている。
見学と行き方
大川家住宅は、いまも小俣幼児生活団の園舎と園地として日々使われている。文化財としての公開日や見学料の案内は、園の公式サイトにも足利市や栃木県のページにも見当たらない。園が受け付けている見学は入園を考える家庭向けのもので、観光目的の立ち入りはできないと考えておきたい。
子どもたちが過ごしている場所なので、門の内側に入らないこと、園児が写り込む撮影をしないことは最低限の心得になる。建物についての問い合わせは、園の電話受付(平日の午前8時から午後7時30分)に事前に相談するのが筋である。
足利市は毎年秋に「足利の文化財特別公開」を開いているが、令和8年(2026年)の対象は市の中央エリアと北エリアで、小俣町は含まれていない。
大川家住宅への最寄り駅はJR両毛線の小俣駅で、園の案内では駅から歩いて15分ほどである。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003188
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅本蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003189
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅西蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003190
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅旧納屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003191
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅巽蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003192
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅続蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003193
- 国指定文化財等データベース 大川家住宅大門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003194
- 登録有形文化財(建造物)(足利市)
- https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p001307.html
- 足利の文化財特別公開2026を開催します(足利市)
- https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p007154.html
- 小俣幼児生活団(公式サイト)
- https://omatayouji.org/
- アクセス(小俣幼児生活団)
- https://omatayouji.org/access
- 入園案内(小俣幼児生活団)
- https://omatayouji.org/admission
- 園内に足利の160年が共存。子どもたちが歴史と文化に触れて育つ小俣幼児生活団(あしかがのこと。、2017年)
- https://www.ashikaga.life/2017/02/post-3155/
最終更新日: 2026.09.27
基本情報
| 名称 | 大川家住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県足利市小俣町1412 |
| 所有者 | 社会福祉法人小俣幼児生活団 |
| 指定 | 登録有形文化財 7件 |
| 座標 | 36.38322, 139.37087 |