瀬戸家住宅とは

瀬戸家住宅(せとけじゅうたく)は、和歌山県御坊市藤田町藤井にある旧家の屋敷で、天保13年(1842年)の穀蔵と、大正後期から昭和前期に建てられた主屋・座敷・土蔵など7件が、平成30年(2018年)11月2日に登録有形文化財となった。日高川の下流、右岸の集落にあり、広い屋敷地は川岸にほとんど接している。

瀬戸家は天正年間(1573年から1592年)にこの地へ移り住んだと伝わる。和歌山県の解説によれば、17世紀後期から明治の末ごろまで酒造業を営み、江戸時代後期には大庄屋を務めた。

いまの屋敷を建てたのは12代目の瀬戸健三である。健三は大正9年(1920年)、小池佐平らと南海紙業株式会社を興して社長に就いた。県はこの会社を、旭化成の和歌山工場の前身と紹介している。主屋と座敷の設計は大阪市の葛野(かどの)建築事務所が手がけ、建設時の図面の一部が瀬戸家住宅に残る。

7件の登録

瀬戸家住宅の7件は、平成30年(2018年)11月2日の第91回登録で、そろって登録有形文化財となった。登録番号は30-0238から30-0244までの連番である。主屋と座敷は「造形の規範となっているもの」、ほかの5件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録された。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。

  • 主屋:大正後期、木造2階建、建築面積201平方メートル
  • 座敷:昭和前期、昭和35年(1960年)ごろ増築、木造平屋建、建築面積180平方メートル
  • 旧女中部屋及び風呂:大正後期、木造平屋建、建築面積30平方メートル
  • 文庫蔵:大正後期、土蔵造2階建、建築面積13平方メートル
  • 穀蔵:天保13年(1842年)、大正後期に移築、土蔵造2階建、建築面積55平方メートル
  • 西蔵:大正後期、土蔵造2階建、建築面積54平方メートル
  • 表門及び塀:大正後期、門は間口2.0メートル、塀は延長20メートル

データベースは大正後期を1919年から1926年、昭和前期を1926年から1945年の幅で記している。瀬戸家住宅のうち、建築年が棟札で確かめられるのは穀蔵だけである。

屋敷の配置

瀬戸家住宅の主屋は敷地の東寄りに南を向いて建ち、その西に座敷が並ぶ。主屋の背後、屋敷の北側は街路に接しており、そこに東から旧女中部屋及び風呂、文庫蔵、穀蔵、西蔵の4棟が一列に並ぶ。表門は主屋の南東にあって東側の路地に開き、門の南へ塀が続いて敷地の東南を区切る。

御坊市は、規模の大きな主屋を背に大小の附属屋が並ぶ姿を、良好な歴史的景観と評している。表側では表門と塀が、裏側では街路沿いの土蔵の列が、それぞれ屋敷の構えをつくっている。

建物の時期は大きく3つに分かれる。最も古いのは天保13年の棟札をもつ穀蔵で、大正後期に主屋を建てる際、屋敷のなかで曳家された。主屋と旧女中部屋及び風呂、文庫蔵、西蔵、表門及び塀は大正後期の建築である。座敷は、文化庁のデータベースが昭和前期とする一方、県と市の解説は建設年を不明とし、主屋に続いて建てられたと伝える。座敷の南西にある茶室部分は、昭和34年から35年(1959年から1960年)にかけての増築である。

見学と行き方

瀬戸家住宅は個人の所有で、ふだんは公開されていない。敷地の内側には入れず、7件の内部を見られる機会は限られる。令和6年(2024年)4月27日と28日には、民間の催しの会場として主屋と茶室が特別に公開された例がある。定期的な公開の案内は、確認した範囲では御坊市や県のページに見当たらなかった。

外から見られるのは、北側の街路に面した土蔵と附属屋の並びと、東側の路地に開く表門及び塀である。瀬戸家住宅の敷地は私有地なので、立ち入らずに公道から眺めるにとどめたい。

鉄道の最寄りはJR紀勢本線(きのくに線)の道成寺駅で、瀬戸家住宅は駅の南、直線でおよそ600メートル、歩いて10分前後の距離にある。特急の停まる御坊駅からは、東へ直線でおよそ1.5キロ離れている。

参考文献

国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012600
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅座敷(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012601
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅旧女中部屋及び風呂(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012602
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅文庫蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012603
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅穀蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012604
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅西蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012605
国指定文化財等データベース 瀬戸家住宅表門及び塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012606
瀬戸家住宅(主屋・座敷・旧女中部屋及び風呂・文庫蔵・穀蔵・西蔵・表門及び塀)(御坊市)
https://www.city.gobo.lg.jp/sosiki/kyoikuiin/kyoiku/tanto/bunnkazai/shinobunkazai/kenzoubutu/1559723929300.html
瀬戸家住宅(わかやまの文化財、和歌山県教育庁文化遺産課)
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-996/
御坊の有形文化財・瀬戸家住宅で職人技・文化テーマのイベント「温故知新」(和歌山経済新聞、2024年4月16日)
https://wakayama.keizai.biz/headline/2551/

最終更新日: 2026.09.27

基本情報

名称瀬戸家住宅
所在地和歌山県御坊市藤田町藤井2215
所有者個人
指定登録有形文化財 7件
座標33.90629, 135.17537