5棟が登録された、鰍沢の商家
小原屋原田商店は、山梨県南巨摩郡富士川町鰍沢1714にある商家で、5棟が1999年(平成11年)6月7日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。最も古い蔵は1830年から1867年の範囲に建てられている。
5棟は、店蔵、油蔵、塩蔵、文庫蔵、新座敷である。
文化庁は、富士川の舟運で栄えた鰍沢で、弘化3年の創業と伝える商家、と記す。往時は主に塩などの仲買を行った、とされる。ふりがなは、おばらやはらだしょうてん、である。
蔵の名が、納めたものと使い方を示す
四つの蔵が、それぞれ別の名で呼ばれている。
油蔵は油、塩蔵は塩、文庫蔵は文書を納める。店蔵は、1階前面を店舗とする蔵である。
塩蔵については、1階は仕切壁で2室に区画され、西側の部屋を塩蔵として使用したためその名がある、と記される。東側の部屋は物置だった、とされる。
一棟のうち一室の使い方が、棟全体の名になる。
大石家住宅と楠森河北家住宅は農家で、米蔵や籾蔵が並んでいた。
本件は商家で、油と塩という商う品が蔵の名になる。塩の仲買を行った家に、塩蔵が残ることになる。
名は新座敷だが、いまは食堂である
一棟の名と、現在の使い方が離れている。
文化庁は新座敷を、文庫蔵に直交して建つ平屋建の建物、と記す。
続けて、内部は近年土間床に改造し従業員の食堂として使用している、とある。座敷と呼ばれながら、床は土間に替わり、食堂になっている。
ただし構造の欄は土蔵造2階建とされ、解説の平屋建と食い違う。
草加市立歴史民俗資料館では、名称の括弧にもとの用途が入っていた。
本件は名称が当初の用途を残し、使い方だけが変わっている。名と用途のずれが、括弧を使わずに残ることになる。
店蔵が、曳き屋で後ろへ下がっている
建物が、解体されずに位置を変えている。
文化庁は店蔵を、もと表通りに面していたが、道路拡幅のため昭和35年に曳き屋された、と記す。
曳き屋は、建物を壊さずにそのまま引いて動かすことをいう。
旧山中家住宅主屋は寄贈されて公園に移築された。民家(白川の合掌造)は水没を避けて県をまたいで移された。いずれも遠くへ運ばれる。
本件は同じ敷地のなかで、道路の幅の分だけ後ろへ下がる。移築の型として7型目にあたる。
店蔵は1階を店舗、2階を居室とし、前面に細格子窓を開く伝統的な構え、とされる。
見学
所在は山梨県南巨摩郡富士川町鰍沢1714である。5棟とも同じ地番で記される。
油蔵は建築面積152平方メートルで、5棟のなかで最も大きい。敷地奥に東面して建ち、正面腰壁をなまこ壁とする。
塩蔵は86平方メートル、店蔵は78平方メートル、文庫蔵は53平方メートル、新座敷は31平方メートルである。
年代は油蔵、塩蔵、文庫蔵が江戸の1830年から1867年、店蔵が1856年頃、新座敷が明治の1900年である。
所有者の記録がなく、公開の有無や条件は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。
参考文献
- 文化遺産オンライン 小原屋原田商店店蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/114187
- 文化遺産オンライン 小原屋原田商店塩蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192109
- 文化遺産オンライン 小原屋原田商店新座敷
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/138381
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.21
基本情報
| 名称 | 小原屋原田商店 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県南巨摩郡富士川町鰍沢1714 |
| 指定 | 登録有形文化財 5件 |
| 座標 | 35.54828, 138.45938 |