小原家住宅とは

小原家住宅(おはらけじゅうたく)は、千葉県館山市南条にある江戸時代から続く旧家の屋敷で、弘化2年(1845年)ごろの米蔵から昭和前期の文庫蔵まで6件の建物が、平成29年(2017年)6月28日に登録有形文化財となった。屋敷は館山市の中心部の東に広がる丘陵地に建ち、敷地の南の辺を2つの門が区切っている。

地元のNPO法人安房文化遺産フォーラムによれば、小原家は代々農業を営んできた家である。明治時代には当主の小原金治が千葉県議会議員を経て衆議院議員となり、のちに安房銀行(千葉銀行の前身)の頭取を務めた。大正12年(1923年)の関東大震災のあとは安房震災復興会の会長として、地域の復興資金の調達に奔走したと伝えられる。

平成29年11月の房日新聞は、江戸時代末期に建てられた主屋を、明治期に金治が大きく改修したと報じている。文化庁のデータベースも主屋の改修を明治29年(1896年)としており、屋敷のいまの姿には金治の代の手が強く入っている。

6件の登録

小原家住宅の6件は、平成29年(2017年)6月28日の第87回登録でそろって登録有形文化財となった。登録番号は12-0219から12-0224までの連番で、6件とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準による。当時の報道によれば、この登録で館山市内の登録有形文化財は14件になった。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。

  • 主屋:安政6年(1859年)ごろ、明治29年(1896年)改修、昭和前期増築。木造平屋建、建築面積233平方メートル
  • 離れ:昭和4年(1929年)ごろ。木造平屋建、建築面積63平方メートル
  • 米蔵:弘化2年(1845年)ごろ、平成4年(1992年)ごろ増築。土蔵造2階建、建築面積20平方メートル
  • 文庫蔵:昭和前期。土蔵造2階建、建築面積43平方メートル
  • 旧長屋門:江戸後期、明治中期改修。木造平屋建、建築面積23平方メートル
  • 表門:明治中期。木造、間口2.7メートル、左右の袖塀と西の潜戸付き

いちばん古いのは米蔵で、主屋よりおよそ14年早い。いちばん新しいのは昭和前期の文庫蔵と、昭和4年ごろの離れである。江戸後期から昭和前期までの建物が、1つの屋敷のなかに並んでいる。6件のうち表門だけは、所在地の地番が南条字五反畑55-3と、ほかの5件(南条54)と別になっている。

屋敷の配置

小原家住宅の中心は、敷地の北寄りに南を向いて建つ主屋である。寄棟造の主体部の西に台所と土間の部分がつながり、屋敷のなかでもっとも大きい。

主屋の南東には離れが西を向いて建ち、敷地の東側の眺めを整えている。主屋の西には文庫蔵が、南西には米蔵が、どちらも東を向いて建つ。

敷地の南の辺には、西に旧長屋門、その東に表門が並ぶ。旧長屋門はもとの長屋門の門口と西側の居室部分が残ったもので、現在の表構えは表門が担っている。旧長屋門の改修と表門の建築は、文化庁のデータベースではどちらも明治中期(1883年から1897年)とされる。門の役目がいつ表門へ移ったかを示す記録は、確認した資料には見当たらなかった。

見学と行き方

小原家住宅は個人の所有で、現在も住まいとして使われている。ふだんは公開されておらず、6件の内部や敷地のなかを見ることはできない。登録のあとに地元のNPO法人が小原家住宅で解説会を開いた例はあるが、定期的な公開の案内は、確認した範囲では館山市のページに見当たらなかった。

屋敷の外に面しているのは、敷地の南の辺に並ぶ表門と旧長屋門である。主屋や蔵は敷地の内側に建つので、外から全体を見るのは難しい。私有地には立ち入らず、道から眺めるにとどめたい。

鉄道の最寄りはJR内房線の館山駅で、小原家住宅は駅の南東、直線でおよそ2キロの位置にある。

参考文献

国指定文化財等データベース 小原家住宅主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011639
国指定文化財等データベース 小原家住宅離れ(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011640
国指定文化財等データベース 小原家住宅米蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011641
国指定文化財等データベース 小原家住宅文庫蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011642
国指定文化財等データベース 小原家住宅旧長屋門(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011643
国指定文化財等データベース 小原家住宅表門(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011644
【国登録有形文化財】小原家住宅 主屋・離れ・米蔵・文庫蔵・旧長屋門・表門(館山市)
https://www.city.tateyama.chiba.jp/syougaigaku/page100122.html
小原金治・謹治(NPO法人安房文化遺産フォーラム)
https://awa-ecom.jp/bunka-isan/section/awa-04-08/
小原家住宅に登録証(房日新聞2017年11月22日付、NPO法人安房文化遺産フォーラム転載)
https://awa-ecom.jp/bunka-isan/7016/
NPOフォーラム・だより(小原家住宅《国登録文化財》記念祝賀会の案内、NPO法人安房文化遺産フォーラム)
https://awa-ecom.jp/wp-content/uploads/sites/9/2019/06/131ul0705123239.pdf

最終更新日: 2026.09.28

基本情報

名称小原家住宅
所在地千葉県館山市南条54
所有者個人
指定登録有形文化財 6件
座標34.98142, 139.87564