大正期の風呂場
風呂場は主屋の土間部の北側に南面して建つ。大正12年頃の建立で、寄棟造セメント瓦葺、棟の中央に切妻屋根の気抜を設け、湯気や煙を逃がす。内部は中央を浴室とし、東に脱衣室、西に焚口と便所を配する。
敷地の古い建物が米や記録を語るのに対し、この建物は日々の快適さを語り、新しい便利さの観念が旧家に届いた時期を示す。
指定の理由と価値
風呂場は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されている。その価値は、屋敷のうち残りにくい部分、すなわち家族が実際に体を洗い着替えた日常の水回りを残す点にある。風呂場まで含む住宅の登録は、格式ある室だけでなく、営まれた生活そのものを記録する。
平面は、濡れと乾き、清と用の機能を一棟に収める。脱衣室の細部には、ありふれた空間に払われた心配りが見える。
訪ねて見るべきところ
脱衣室をのぞきたい。東面に出窓が張り出して光を採り、北面には造付の長椅子が設けられる。用だけの風呂場には要らない小さな快適さである。頭上の気抜は湯気への実用的な答えであり、外から見れば風呂場の目印にもなる。
この建物は井戸屋形や肥料小屋と併せて読みたい。後年の三棟の附属屋は、江戸期の核を保ちつつ、明治から大正にかけて快適さと便利さを加えていった家の歩みを示す。風呂場は8棟のうち最も私的で、一日のふつうの営みに最も近い建物である。
2020年から続いた保存修理を終え、2024年10月に一般公開が始まった。公開は日曜のみ、午前10時から午後4時までで、入場料は大人500円、高校・大学生200円、中学生以下は無料。 所在地は千葉県柏市鷲野谷、手賀沼南岸の台地上。JR常磐線我孫子駅から約5キロで、柏駅からの路線バスも利用できる。
Q&A
- 風呂場はいつ建てられましたか。
- 大正12年頃です。
- どのような間取りですか。
- 中央が浴室で、東に脱衣室、西に焚口と便所を配します。
- 屋根の気抜は何のためですか。
- 棟の切妻屋根の気抜は湯気や煙を逃がすためで、外から見れば風呂場の目印にもなります。
- ありふれた空間の心配りはどこに見えますか。
- 脱衣室の東面に出窓が光を採り、北面に造付の長椅子が設けられています。
- なぜ風呂場を登録するのですか。
- 日常の水回りは残りにくいためです。格式ある室だけでなく、実際の暮らしを記録します。
基本情報
| 名称 | 染谷家住宅風呂場(そめやけじゅうたくふろば) |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県柏市鷲野谷字稲荷内24 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2019年3月29日(登録番号 12-0283) |
| 年代 | 大正12年頃(1923年頃) |
| 構造 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積15平方メートル |
| 員数 | 1棟 |
| 公開 | 日曜のみ 10:00〜16:00/大人500円(最新情報は公式サイト参照) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 染谷家住宅風呂場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012705
- 染谷家住宅(建造物) — 柏市
- https://www.city.kashiwa.lg.jp/bunka/about_kashiwa/culture/rekishi/shiteibunkazai/torokuyukei/someyake.html
- 染谷家住宅 公式サイト
- https://someya-jiemon.com/
最終更新日: 2026.07.09