手賀沼南岸の名主宅

主屋は敷地のほぼ中央に東面して建つ。弘化4年(1847年)の建立で、前年の火災による焼失を受けて再建された。柏市の記録によれば、当初から瓦葺で建てられたと伝わっている。周辺の民家が茅葺を通例とした時代にあって、瓦葺の大型民家は染谷家の家格を示している。

染谷家は鷲野谷村の名主を務めた家で、その出自は中世の土豪にさかのぼるとされる。江戸期には農業を軸に酒造・養蚕・質屋を兼ね、江戸にも酒屋を構えたと伝わる。この規模の主屋は、そうした村役と生業の拠点であった。

指定の理由と価値

主屋には登録基準のうち「造形の規範となっているもの」が適用されている。敷地内の他の7棟が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」であるのに対し、主屋のみが一段上の基準で登録された。建築面積344平方メートルは県西部でも屈指の規模で、江戸末期の民家形式の指標とされる。

平面は曲屋で、正面北端から土間が曲屋状に前へ張り出す。南端には式台が設けられ、格式ある客を迎える構えとなる。粗い作業空間の土間と格式ある式台とを一棟に収めた構成が、名主宅としての性格を明快に示している。

訪ねて見るべきところ

土間に入ると、修理で復元されたかまどが目に入る。2020年からの保存修理でかまどが復元され、行事の日には地元の保存会が薪で火をおこし、飯を炊くこともある。土間の格子戸を通した朝の光が、床に長い縞を落とす。

内部は表中央の18畳を核として諸室が配され、南奥は座敷として仕上げられ、南庭に面する。畳に座して眺めると、飛石越しに苔むした池と築山へと視線が導かれる。客の目に映るよう設えられた庭の見え方が、そのまま残っている。

2020年から続いた保存修理を終え、2024年10月に一般公開が始まった。公開は日曜のみ、午前10時から午後4時までで、入場料は大人500円、高校・大学生200円、中学生以下は無料。 所在地は千葉県柏市鷲野谷、手賀沼南岸の台地上。JR常磐線我孫子駅から約5キロで、柏駅からの路線バスも利用できる。

Q&A

Q主屋はいつ建てられましたか。
A弘化4年(1847年)です。前年の火災による焼失後に再建されたと、染谷家の古文書に記されています。
Q曲屋とは何ですか。
A土間の作業棟が主体から前方へ曲がって張り出すL字形の民家平面です。染谷家主屋はその典型例です。
Q内部は見学できますか。
A公開日に見学できます。床の保護のため、建物内は裸足での利用を控えるよう案内されています。
Qかまどは当初のものですか。
A近年の保存修理で復元されました。行事の日には火を入れて飯を炊くことがあります。
Q主屋の規模はどれくらいですか。
A建築面積は344平方メートルで、県西部でも屈指の大型民家です。

基本情報

名称染谷家住宅主屋(そめやけじゅうたくしゅおく)
所在地千葉県柏市鷲野谷字稲荷内24
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2019年3月29日(登録番号 12-0282)
年代弘化4年(1847年)・江戸時代
構造木造平屋建、瓦葺、建築面積344平方メートル
員数1棟
公開日曜のみ 10:00〜16:00/大人500円(最新情報は公式サイト参照)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 染谷家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012704
染谷家住宅(建造物) — 柏市
https://www.city.kashiwa.lg.jp/bunka/about_kashiwa/culture/rekishi/shiteibunkazai/torokuyukei/someyake.html
染谷家住宅 公式サイト
https://someya-jiemon.com/

最終更新日: 2026.07.09