関埼灯台:明治から豊予海峡を照らし続ける大分県最古の鉄造灯台
大分市佐賀関半島の最東端、地蔵崎に立つ関埼灯台は、1901年(明治34年)の初点灯以来、120年以上にわたって豊予海峡を航行する船舶の安全を守り続けてきました。全国でわずか4基しか残っていない現役の鉄造灯台のひとつであり、2022年(令和4年)6月には国の登録有形文化財に登録されています。四国の佐田岬灯台と向かい合い、瀬戸内海と太平洋を結ぶ海の要衝を見守る歴史的な灯台です。
歴史的背景
関埼灯台は1901年(明治34年)7月20日に初点灯しました。設置当時、灯台のある岬までは道路がなく、断崖絶壁に船で資材を運んで建設されました。灯台守とその家族は敷地内の宿舎で生活しており、子どもたちは片道5キロメートルの険しい山道を毎日歩いて通学していました。昭和30年代まで道路が整備されず、まさに「陸の孤島」のような環境でした。
初点灯時にはフランス製の第3等フレネル式レンズが使用され、光源には石油灯が用いられていました。石油灯の「すす」の除去作業は大変な苦労を伴い、1926年(大正15年)の電化まで続きました。1918年(大正7年)には初代レンズが対岸に新設された佐田岬灯台へ移設され、代わりにイギリス製の第4等フレネル式レンズが導入されました。このレンズは約90年間にわたって海を照らし続け、2009年(平成21年)2月にLED光源に更新されるまで使用されました。退役したイギリス製レンズは、現在、近くのJX金属 関崎みらい海星館に展示されています。
1970年(昭和45年)4月に無人化。かつては灯台補給船「宗谷」(のちの南極観測船)も関崎に寄港していたという歴史があります。2024年(令和6年)には改装リニューアルが行われ、美しく生まれ変わりました。
文化財指定の理由
2022年(令和4年)6月29日、関埼灯台は国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。その評価のポイントは以下のとおりです。灯台は佐賀関半島東端の地蔵崎に建ち、鉄造3階建て、高さ11メートルの円筒形の灯塔に扇形平面の平屋建て付属舎が付随しています。灯塔・付属舎ともに厚さ6ミリメートルの鉄板を曲面加工し、リベットで接合する工法で造られており、灯塔上部にはバルコニーが巡り、ドーム屋根の灯籠を頂いています。全国でわずか4基のみ現存する鉄造の現役灯台の一つとして、明治期の灯台建築技術を伝える貴重な遺構と評価されています。
見どころ・魅力
白い円筒形の鉄造灯塔が荒々しい海岸線の先端にそびえ立つ姿は、訪れる人の心に深い印象を残します。晴れた日には、わずか14キロメートル先の四国・佐田岬半島を望むことができ、眼下には「速吸瀬戸」とも呼ばれる豊予海峡の激しい潮流や渦巻きが見られます。
灯台周辺には約800本の自生のヤブツバキがあり、冬から早春にかけて紅い花が山道を彩ります。日豊海岸国定公園内に位置し、桜の名所としても知られています。秋にはアサギマダラ(渡り蝶)が飛来することもあります。
通常は灯台内部の見学はできませんが、毎年11月1日の「灯台の日」前後に一般公開のイベントが開催されます(雨天中止)。敷地内には旧灯台守宿舎の基礎跡が残っており、かつてこの地で暮らした人々の生活に思いを馳せることができます。
周辺情報
灯台から遊歩道でつながるJX金属 関崎みらい海星館は、2023年7月にリニューアルオープンした展望・天体観測施設です。大分県最大の口径83センチメートルの大型天体望遠鏡やデジタルプラネタリウムを備え、300度の海のパノラマが楽しめます。関埼灯台で使われていたフレネル式レンズも展示されています。
佐賀関地区は「関あじ」「関さば」の産地として全国的に有名です。佐賀関港周辺の飲食店では新鮮な関あじ・関さばを味わうことができます。また、日豊海岸国定公園内の白石ビーチ(黒ヶ浜)は夏のキャンプや海水浴に人気のスポットです。歴史ある佐賀関の港町散策もおすすめです。
Q&A
- 関埼灯台の内部は見学できますか?
- 通常は内部の見学はできません。毎年11月1日の「灯台の日」前後に一般公開イベントが開催されます(雨天中止の場合あり)。詳細は大分市の観光情報をご確認ください。
- 関埼灯台へのアクセス方法を教えてください。
- JR大分駅から車で約1時間です。東九州自動車道「大分宮河内IC」から約40分で佐賀関方面へ。赤い鳥居そばの駐車場から徒歩約10分、または関崎みらい海星館から徒歩約15分です。山道のため、歩きやすい靴と露出の少ない服装をおすすめします。
- おすすめの訪問時期はいつですか?
- 冬から早春(12月〜3月)は約800本の自生のヤブツバキが咲き、春(3月下旬〜4月)は桜の見頃です。秋には渡り蝶のアサギマダラが飛来します。晴天の日は四国の佐田岬まで見渡せ、どの季節でも絶景を楽しめます。
- 入場料はかかりますか?
- 灯台およびその周辺の見学は無料です。近くのJX金属 関崎みらい海星館のプラネタリウムは有料となります。料金の詳細は海星館の公式サイトをご確認ください。
- 灯台で使われていたレンズはどこで見られますか?
- 約90年間灯台を照らしたイギリス製の第4等フレネル式レンズは、灯台の上方に位置するJX金属 関崎みらい海星館に展示されています。
基本情報
| 名称 | 関埼灯台(せきさきとうだい) |
|---|---|
| 所在地 | 大分県大分市大字佐賀関字大黒4057-2 |
| 初点灯 | 1901年(明治34年)7月20日 |
| 構造 | 鉄造3階建、円筒形灯塔(直径3.0m)+扇形付属舎、高さ11m、建築面積39㎡ |
| 光達距離 | 12.5海里(約23.15km) |
| 光源 | LED(2009年2月より) |
| 所有者 | 第七管区海上保安本部 |
| 文化財指定 | 国登録有形文化財(建造物)、2022年(令和4年)6月29日登録 |
| アクセス | JR大分駅から車で約1時間。赤い鳥居そばの駐車場から徒歩約10分 |
参考文献
- 関埼灯台 - 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/544478
- 関埼灯台 - 大分市公式サイト
- https://www.city.oita.oita.jp/o204/bunkasports/rekishi/sekizakitoudai.html
- 関埼灯台 - おおいた市観光ナビ
- https://www.oishiimati-oita.jp/spot/2872
- 関埼灯台 - Wikipedia
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E5%9F%BC%E7%81%AF%E5%8F%B0
- JX金属 関崎みらい海星館 公式サイト
- https://kaiseikan.jp/
最終更新日: 2026.04.10