山の鉄道が宿場に出会う場所

湯尾トンネルは旧北陸線の峠区間の北端、南越前町湯尾に位置し、現在線のJR今庄駅の北およそ1.6キロメートルにある。山中のサミットを下ってきた旅人にとって、今庄へ里が開けていく手前の最後の隧道の一つである。今庄は、峠に働く補助機関車の基地となった旧宿場町であった。にぎわう分岐の町に近いこの立地が、より人里離れた南の隧道群のなかで、この一基に独自の性格を与えている。

迎えるための坑門

トンネルは緩やかに湾曲しながら延長約368メートルを走り、煉瓦で築かれるが、目はまず坑門へ向かう。南北の坑口はともに、江戸切り仕上げの安山岩の切石積とする。堂々としているのは北坑門で、パラペットを左右に長く張り出し、面には四本の壁柱を並べて、幅広く格式ある迎えの構えを見せる。素っ気ない実用の坑口というより、峠越えの果てにふさわしい、れっきとした門のように読める。

価値と見学

南越前町が所有する湯尾トンネルは、2016年に路線の他構造物とともに登録有形文化財となった。北端という立地から、見学の起点にも終点にもしやすく、近くに残る今庄宿の町並みと自然に組み合わせられる。改装された今庄駅舎には、この地域の鉄道の歴史を伝える展示が整えられている。

トンネルは旧線に沿う道路上にある。ルートの他所と同様、信号があれば従い、前照灯を点け、補修や冬季の積雪で区間が閉鎖されることがあるため、南越前町や今庄の観光窓口などで通行状況を確かめてほしい。

Q&A

Q湯尾トンネルはどこにありますか。
A南越前町湯尾、JR今庄駅の北約1.6キロメートルにあります。旧北陸線の峠区間の北端に位置します。
Q坑門の何が特別ですか。
A南北の坑門とも、江戸切り仕上げの安山岩切石積です。とくに北坑門は、長いパラペットと面に並ぶ四本の壁柱をもつ堂々とした構えです。
Q今庄宿と合わせて訪問できますか。
Aできます。トンネルは今庄宿に近く、古い町並みが残り、改装された今庄駅舎には地域の鉄道史の展示があります。自然に組み合わせられます。
Q所有者と登録時期は。
A南越前町が所有し、2016年(平成28年)2月25日に、旧北陸線の他構造物とともに登録有形文化財となりました。

基本情報

名称旧北陸線湯尾トンネル
所在地福井県南条郡南越前町湯尾
指定区分登録有形文化財(建造物) 2016年(平成28年)2月25日登録
登録番号18-0155
年代明治28年頃(1895年頃)
構造・形式煉瓦造 延長368m、幅員4.1m
所有者南越前町
アクセス旧北陸線跡・今庄付近。トンネル内は信号に従うこと。訪問前に通行状況を確認のこと

参考資料

Agency for Cultural Affairs, National Cultural Properties Database — Yunoo Tunnel
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010963
Minami-Echizen Town Tourism — Former Hokuriku Line Tunnels
https://www.minamiechizen.com/spot/19549/
Imajo-juku Tourism Association — Railway Heritage
https://www.imajo-syuku.com/%E9%89%84%E9%81%93%E9%81%BA%E7%94%A3/

最終更新日: 2026.07.09