杉原商店 ― 五箇の紙問屋が構えた屋敷

杉原商店は、福井県越前市不老町で明治4年(1871年)に創業した越前和紙の問屋で、大正から昭和初期にかけて建てられた屋敷の建物6件が令和5年(2023年)に登録有形文化財に登録されている。

不老は「おいず」と読む。越前和紙の産地として知られる五箇地区の集落の一つで、谷あいの通りに紙漉きの工房や紙業の家が並ぶ。杉原商店は自ら紙を漉くのではなく、産地で漉かれた紙を集めて全国へ卸す産地問屋として商いを広げてきた。

杉原商店の公式サイトによると、この地に店を構えたのは杉原半四郎で、のちに東京・日本橋小舟町に出した「杉原紙店」は大正天皇の御大典に用いる紙を納めたという。福井県の文化財解説も、東京に店を持ち和紙問屋として栄えたことを記している。現在の屋敷の建物は、ちょうどこの繁栄期にあたる大正6年(1917年)から昭和8年(1933年)の間に建てられた。

杉原商店の屋敷の配置

杉原商店の屋敷は、北側の通りに面して表門を構える。表門をくぐると前庭があり、その奥、敷地のほぼ中央に主屋が建つ。主屋の西には西土蔵が東を向いて立ち、東には東土蔵が西を向いて立つ。主屋の北東、通りに近い位置には事務所があり、東土蔵とあわせて敷地北東の角の外観をつくっている。

納骨堂だけは主屋の一画から離れ、敷地の南東の高台に建つ。地番も不老町23字堂谷と別になっている。

建てられた順に並べると、西土蔵が大正6年(1917年)、東土蔵が大正10年(1921年)、主屋が大正14年(1925年)、表門が大正後期、納骨堂が昭和6年(1931年)、事務所が昭和8年(1933年)となる。事務所は昭和50年(1975年)頃に現在の位置へ移されている。

杉原商店の6件の登録

杉原商店の6件は、令和5年(2023年)2月27日の第104回登録で、そろって登録有形文化財になった。登録番号は18-0235から18-0240までの連番である。

登録の基準は2つに分かれる。上質な近代和風住宅とされた主屋と、昭和初期の鉄筋コンクリート造の小堂である納骨堂は「造形の規範となっているもの」。表門・西土蔵・東土蔵・事務所の4件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。前者は建物単体の質を、後者は通りから見た問屋の屋敷構えを評価したものといえる。

文化庁の解説は、大型の土蔵について「和紙問屋の繁栄を示す」と書く。和紙の製品や道具を納めた蔵が3棟並ぶ規模そのものが、産地問屋の商いの大きさを示している。

杉原商店の見学方法とアクセス

杉原商店の屋敷は個人の所有で、住まいと事務所として使われている。内部に入れるのは、西土蔵を改修したギャラリー兼ショップ「和紙屋」だけである。

和紙屋は完全予約制で、公式サイトの案内では、営業は火曜日から金曜日の午前9時から午後1時までと、毎月第4土曜日の午前9時から午後5時まで。訪ねる前に電話(0778-42-0032)かメールで予約する。入館料の案内はない。撮影や駐車の可否も、予約の際に確かめておきたい。

杉原商店の公式サイトによれば、北陸新幹線の越前たけふ駅からは車で約10分、北陸自動車道の武生インターチェンジからも車で約10分。越前たけふ駅から歩くと約60分かかる。公共交通では、ハピラインふくいの武生駅から福鉄バスの南越線または池田線に乗り、約30分の「和紙の里」で降りる。そこから杉原商店までは南へ約500メートルで、地図上の目安では徒歩7分前後である。

表門・東土蔵・事務所は通りに面しているため、外観は通りから見ることができる。主屋や納骨堂の見え方は、それぞれのページにまとめた。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「杉原商店主屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014476
文化遺産オンライン「杉原商店主屋」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/597630
福井の文化財「杉原商店主屋」
https://bunkazai.pref.fukui.lg.jp/search_category/content?detail_id=948-0
WASHIYA 和紙屋の杉原商店(公式サイト)
https://www.washiya.com/
越前和紙の里「アクセスマップ」
https://www.echizenwashi.jp/access/

最終更新日: 2026.10.01

基本情報

名称杉原商店
所在地福井県越前市不老町17字東町2-1他
所有者個人
指定登録有形文化財 6件
座標35.90709, 136.24452