8棟が登録された、うきはの農家

楠森河北家住宅は、福岡県うきは市浮羽町山北2056にある住宅で、8棟が2004年(平成16年)3月2日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。最も古い米蔵は1812年に建てられている。

8棟は、主屋、座敷、新座敷、米蔵・器蔵、秤蔵、材木小屋、炭部屋、味噌部屋である。

文化庁は主屋を、上層民家に相応しい雄大な規模と、格式のある構成を備えている、と記す。ふりがなは、くすもりかわきたけじゅうたく、である。

年代が、江戸から大正まで111年に散る

8棟の建てられた時期が、大きく隔たっている。

最も古いのは米蔵で、江戸、1812年である。棟木に文化9年の墨書があるとされる。

器蔵は1857年の増築で、柱に安政4年の墨書がある。炭部屋は江戸の1861年頃である。

主屋は明治、1881年。座敷、秤蔵、材木小屋、味噌部屋は明治の1868年から1911年の範囲とされる。

最も新しい新座敷は大正、1912年から1925年である。1812年から数えて111年の幅になる。

観音正寺の7棟は132年に散り、樟徳館の6棟はすべて1939年で幅ゼロだった。本件はその間にあたる。

年の根拠が、墨書と家相図と絵様で分かれる

いつ建てられたかの手がかりが、棟ごとに違う。

米蔵・器蔵は墨書による。北半分の米蔵は棟木に文化9年、南半分の器蔵は柱に安政4年の墨書がある、とされる。

秤蔵は、床材に万延2年の墨書があるが、家相図より明治後期に現在地に移動し、改造されたと考えられる、と記される。墨書の年と、建物が今の場所に来た年が別になる。

家相図は屋敷の配置を描いた図をいう。その図と突き合わせることで、移動の時期が分かる。

萬福寺では、棟札、構造手法、絵様細部、記載なしの四通りだった。旧高橋家住宅では、棟札、範囲、伝承の三段階である。

本件は、墨書と家相図という二つの文書が根拠になる。書かれたものが二通り残っていることになる。

座敷が三つあり、それぞれ性格が違う

人を迎える部屋が、別棟として三つ建てられている。

主屋は木造2階建、建築面積254平方メートルで、8棟のなかで最も大きい。

座敷は主屋の南西方に接続して建つ離れ座敷で、木造平屋建、3室からなるL字型平面、建築面積83平方メートルである。全体に繊細な数寄屋風のつくり、とされる。

新座敷は主屋南面の東に廊下で結ばれている接客用の座敷で、建築面積71平方メートルである。内部は1間半の大床を備えた12畳半の1室、とされる。

座敷は数寄屋風の3室、新座敷は大床付きの1室になる。接続の仕方も、一方は接続、一方は廊下で結ばれる。

三菱電機高輪荘主屋では、座敷の組が三つ雁行していた。あちらは一棟のなかの部屋である。本件は棟そのものが分かれる。

収納の棟が、納めるもので呼び分けられる

付属の棟の名が、中に何を入れるかを示している。

米蔵は米、器蔵は器、材木小屋は材木、炭部屋は炭、味噌部屋は味噌、秤蔵は秤である。

材木小屋は桁行約16メートルの土蔵造で、建築面積95平方メートル、屋敷内で最も大きい収納施設、とされる。

炭部屋は建築面積68平方メートルで、1階3室、2階に居室を設けた重厚なつくりの付属施設、とされる。物を納めるだけでなく人も使う。

味噌部屋は建築面積23平方メートルで、8棟のなかで最も小さい。主屋北西方の裏庭空間の構成要素のひとつ、と位置づけられる。

秤蔵は現在は車庫等になっているが、屋敷構成の変遷を知る上で欠かせない存在である、とされる。用途は変わっても配置に意味が残る。

見学

所在は福岡県うきは市浮羽町山北2056である。8棟とも同じ地番で記される。

主屋は東面して建つ妻入で、屋根は東面入母屋造、西面切妻造、桟瓦葺とされる。前後で屋根の形が違う。

各面には高さの異なる下屋を廻し、南面や西面に角屋を突出するなど、複雑な平面に対応した変化ある外観をつくる、と記される。

炭部屋は主屋の北西方に離れて建ち、西で米蔵と接する。味噌部屋は主屋の西方、秤蔵は材木小屋の西妻面に接続する。

所有者の記録がなく、公開の有無や条件は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。

参考文献

文化遺産オンライン 楠森河北家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/141351
文化遺産オンライン 楠森河北家住宅米蔵・器蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/117167
文化遺産オンライン 楠森河北家住宅秤蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/150695
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.17

基本情報

名称楠森河北家住宅
所在地福岡県うきは市浮羽町山北2056
指定登録有形文化財 8件
座標33.32990, 130.80787