久留米城本丸跡に鎮まる有馬家の神社
篠山神社は、福岡県久留米市篠山町の久留米城本丸跡に鎮座する神社で、明治12年(1879年)に建てられた本殿・拝殿・中門・透塀の4件が、令和4年(2022年)10月31日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ささやまじんじゃ」。久留米城そのものも篠山城の別名で呼ばれてきた。
祭神は江戸時代に久留米藩を治めた有馬家の5人の藩主である。初代の有馬豊氏、和算に通じた7代頼徸、藩政改革を進めた10代頼永、最後の藩主となった11代頼咸、そして競馬の「有馬記念」に名を残す14代当主の頼寧が祀られている。
篠山神社の由緒によれば、始まりは明治10年(1877年)、旧藩士や藩民が豊氏と頼永の2柱を祀ったことにある。幕末から明治初めにかけて久留米藩は藩内の対立と政府軍の出動を経験しており、神社はその混乱からの立て直しと地域の安寧を願って創祀されたと説明している。
城の中心に社殿が建つまで
篠山神社が建つ丘は、筑後川が大きく曲がる左岸の高台である。久留米市の資料によると、元和7年(1621年)に丹波福知山から21万石で入った有馬豊氏が、それまで東を向いていた城の構えを南向きに改め、本丸の南に二ノ丸・三ノ丸・外郭を連ねる城へ造り替えた。本丸は高さ約15メートルの石垣の上を7棟の櫓と多聞櫓で囲み、中央に藩主が政務を執る御殿があった。
有馬家は11代、約250年にわたってこの城を居城とした。明治4年(1871年)に廃城となると建物は売り払われ、明治8年(1875年)までにすべて解体されている。いま本丸に残るのは石垣と正面側の内堀で、南に連なっていた二ノ丸から外郭までの範囲は、現在の市役所のあたりまで含めて市街地になっている。
建物が消えた本丸に、明治12年(1879年)、篠山神社の社殿が建てられた。本殿・拝殿は昭和5年(1930年)に、中門と透塀も同じころに改修を受けている。藩主の御殿があった場所が、そのまま藩主を祀る神域になったわけである。
登録有形文化財4件の配置と歩く順序
篠山神社で登録有形文化財となっているのは、本殿・拝殿・中門・透塀の4件である。令和4年(2022年)7月22日の文化審議会答申を経て、10月31日に登録された。登録番号は40-0200から40-0203までの連番で、4件とも明治12年(1879年)の建築として登録されている。
4件はすべて南を正面とし、境内の南北の軸に沿って並ぶ。いちばん奥(北)に本殿があり、そこから約40メートル南に拝殿が建つ。両者のほぼ中間に中門があり、その左右から延びる透塀が本殿のまわりを東西13間、南北17間の規模で囲む。本殿は石垣と透塀で区切られた一段高い神域の中にある。
文化庁が当てた登録基準は2つに分かれる。本殿・拝殿・中門の3件は「造形の規範となっているもの」、透塀だけが「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。答申は、大型の社殿を中心に近代らしい境内を組み立てた点を4件共通の評価として挙げている。
歩くなら、南の正面から本丸跡へ上がり、まず拝殿の前に立つ。拝殿の背後に中門の屋根が低く見え、その奥に本殿の大屋根がのぞく。そこから境内の西側へ回ると、透塀が石積みの上に長く延び、竪格子のすき間から本殿のある神域がうかがえる。
篠山神社の年中行事
篠山神社でよく知られる行事は、毎年8月の第4土曜日に行われる鈴虫祭である。午後からぼんぼりが並び、夜の祭典、ぼんぼり行列の到着、有馬押太鼓の奉納を経て、最後に鈴虫を境内に放つ。例祭は春(4月3日)と秋(9月29日)の年2回で、拝殿で濃茶を献じるが、参列は招待制である。
本丸跡には約49本の桜があり、3月下旬から4月上旬には石垣と堀の周りが花に包まれる。社殿の東側、本丸御殿の跡地では、例年3月下旬に地元の協議会が主催する音楽祭が開かれる。
篠山神社への行き方と参拝
篠山神社へは、JR久留米駅から歩いて約15分である。バスなら、JR・西鉄の久留米駅から西鉄バスの3・6・8・9・24・52番に乗り、「大学病院」で降りて徒歩3分から5分ほどで着く。車では九州自動車道の久留米インターチェンジから約20分かかる。
駐車場は約15台分で、南の正面から上がった境内のロータリーに約7台、石垣下の東側駐車場に約8台がとめられる。
境内の参拝に拝観料はかからない。社務所の受付は午前9時から午後5時までで、門は午後5時に閉まる。本丸跡の南東には有馬家ゆかりの資料を展示する有馬記念館が建っている。
登録有形文化財の4件は、いずれも現在も祭祀に使われている建物である。ふだんの参拝では外観を境内から見る形になり、内部に上がれるのはご祈祷などの際の拝殿に限られる。棟ごとの見どころと見学の条件は、各棟のページにまとめた。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):篠山神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014427
- 国指定文化財等データベース(文化庁):篠山神社拝殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014428
- 国指定文化財等データベース(文化庁):篠山神社中門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014429
- 国指定文化財等データベース(文化庁):篠山神社透塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014430
- 文化庁:文化審議会答申(令和4年7月22日)登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/93747501_01.pdf
- 久留米市:久留米れきし散歩 No.12 久留米城跡
- https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1080kankou/2015bunkazai/3050kurumeshishi/files/historywalk012.pdf
- 久留米市:久留米入城400年モノ語り 第2回 久留米城と有馬のお殿さま
- https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1080kankou/2015bunkazai/3030shuuzoukan/files/hpmonogatari.02.pdf
- 久留米公式観光サイト ほとめきの街:篠山神社(久留米城跡)
- https://welcome-kurume.com/spots/detail/1a6c3e9c-6caa-4b03-9541-07ddc14a1cc6
- 久留米公式観光サイト ほとめきの街:久留米城跡
- https://welcome-kurume.com/spots/detail/40355fc2-39ee-45a3-beb2-e48ea4c26f91
最終更新日: 2026.09.30
基本情報
| 名称 | 篠山神社 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県久留米市篠山町字六丁目444 |
| 所有者 | 宗教法人篠山神社 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 33.32882, 130.50788 |