旧堀切家住宅とは

旧堀切家住宅は、福島県福島市飯坂町字東滝ノ町にある豪農・豪商堀切家の屋敷で、明治14年(1881年)に再建された主屋をはじめ、明治前期から昭和40年頃にかけて建てられた6件が、令和2年(2020年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「きゅうほりきりけじゅうたく」で、施設としては「旧堀切邸」の名で知られる。

屋敷は福島市が所有し、平成22年(2010年)5月に飯坂温泉の観光交流拠点として開館した。残っていた建物を補修・復原し、足りない部分を新築して整えたもので、敷地はおよそ4,000平方メートルある。明治13年(1880年)より前は、いまの2倍を超える広さがあったと伝えられている。

旧堀切家住宅は摺上川の右岸、飯坂温泉の湯町通りから路地を少し入ったところにある。温泉街の家並みのなかに、表門と書庫が通りに面して並ぶ。

堀切家の歩みと旧堀切家住宅

旧堀切邸の公式サイトによると、堀切家の始まりは天正6年(1578年)にさかのぼる。若狭国から上飯坂村へ移った梅山太郎左衛門菅原治善が名を「若狭」と改め、川跡の田畑4町歩あまりを開いて農業と養蚕に力を入れた。村を流れる赤川がたびたびあふれたため、堀を切って流れを変え、埋め立てた土地を田や宅地にした。そこからこの地が「堀切」と呼ばれ、家の名にもなったという。

江戸時代の堀切家は大庄屋を務めた家で、白河藩の分領だった時代の寛政12年(1800年)8月には、藩主の松平定信が領地の巡視をかねて飯坂温泉を訪れ、この屋敷に数日間とどまった。定信は屋敷にあった茶室を「詠帰亭」と名づけ、扁額を書いて主人に贈ったと自ら書き残している。茶室は失われたが、扁額は今も残る。

明治13年(1880年)の火災で屋敷は大きな被害を受け、翌年に主屋が建て直された。14代の堀切良平は明治16年(1883年)に上飯坂村ほか5村の戸長となり、明治21年(1888年)に飯坂の湯町から出た火が173戸を焼いたあとには、私財を投じて焼け跡の整備にあたった。のちに町会・郡会・県会の議員を務め、河野広中とともに民権運動にも加わっている。

良平の長男で15代の堀切善兵衛は、明治45年(1912年)に30歳で衆議院議員に初当選し、連続10期を務めて衆議院議長や駐イタリア大使を歴任した。次男の善次郎は関東大震災後の帝都復興に携わり、東京市長や内務大臣を務めている。末弟の久五郎も衆議院議員として福島の経済界で重きをなした。旧堀切家住宅の書庫は、文化庁の解説によれば、十七代当主が弁護士の仕事のために建てた書庫兼書斎である。

旧堀切家住宅の6件と屋敷の配置

旧堀切家住宅の6件は令和2年(2020年)4月3日付で登録有形文化財となり、登録番号は07-0231から07-0236まで続く。登録の基準は、主屋が「造形の規範となっているもの」、ほかの5件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースに載る年代と規模は次のとおり。

  • 主屋:明治14年(1881年)。木造平屋建、スレート葺、建築面積281㎡
  • 新蔵:明治中期。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積28㎡
  • 中蔵:明治前期。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積21㎡
  • 道具蔵:明治前期。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積37㎡
  • 書庫:昭和40年(1965年)頃。木造平屋建、瓦葺、建築面積11㎡
  • 表門:明治前期。木造、間口2.6m。構造欄は瓦葺・袖壁付、解説文は切妻造銅板葺で南脇に袖塀が付くとする

旧堀切家住宅の主屋は、敷地の西側に南を向いて建つ。表門は敷地の西辺に開き、主屋の南西の隅には書庫が廊下でつながって、表門とともに通りに面した構えをつくる。主屋の北には新蔵と中蔵、北東には道具蔵が並び、新蔵と道具蔵も廊下で主屋と結ばれている。3棟の蔵はいずれも切妻造の土蔵で、赤い桟瓦の屋根をかけた同じ意匠でそろえられ、主屋の後ろ側にまとまった景色をつくっている。

登録の6件のほかに、敷地には安永4年(1775年)建築と伝わる十間蔵、井戸小屋、新築された離れと下蔵、足湯・手湯がある。十間蔵は桁行が10間(約18メートル)ある米蔵で、平成19年(2007年)に福島市の文化財に指定された。庭には推定樹齢260年を超えるケヤキが立つ。旧堀切家住宅の各棟の構造と見どころは、それぞれのページにまとめた。

旧堀切家住宅の見学とアクセス

旧堀切家住宅は「旧堀切邸」として公開されており、開館は午前9時から午後9時まで、休館日はなく、入館は無料である(2026年10月確認。燻蒸などで臨時休館する日がある)。新蔵・中蔵・道具蔵には堀切家ゆかりの資料が展示されている。主屋の研修室と調理実習室、下蔵は5人以上の団体に有料で貸し出されているため、催しの最中は使用中の部屋に入れないことがある。

土曜・日曜・月曜の午前10時から午後3時までは、「旧堀切邸案内人の会」のボランティアガイドが無料で邸内を案内している(休む日もある)。10名以上の団体で見学するときは、前もって申込書を出す。機材を持ち込んだ写真・動画の撮影や、撮った写真を雑誌などに載せる場合は、事前に行為許可の申請が必要とされる。邸内は全面禁煙で、ペットを連れての入場は控えるよう求められている。

旧堀切家住宅へは、JR福島駅から福島交通飯坂線(いい電)に乗り、終点の飯坂温泉駅で降りる。乗車時間はおよそ23分、大人の運賃は430円である(2026年10月時点)。駅からは歩いて5分から7分ほどで、福島市のページは徒歩5分、旧堀切邸の公式サイトは徒歩7分と案内している。

車の場合は、東北自動車道の福島飯坂インターチェンジから10分から15分ほど。公式サイトは、若葉町駐車場と旧飯坂支所駐車場(いずれも無料、徒歩4分)、パルセいいざか駐車場(無料、徒歩6分)を案内している。若葉町は午前6時から午後9時まで、旧飯坂支所は午前8時30分から午後9時までの利用で、時間外は閉められる。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013218
国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅表門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013223
国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅書庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013222
国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅新蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013219
国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅中蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013220
国指定文化財等データベース(文化庁)旧堀切家住宅道具蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013221
福島市 福島市の文化財-【国登録】旧堀切家住宅-
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/7/1032/2/1/4/2944.html
福島市 福島市の文化財 -登録有形文化財(建造物) 66件-
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/7/1032/2/1/3/725.html
福島市 旧堀切邸
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/5/1019/2/1208.html
旧堀切邸 旧堀切邸について
https://kyu-horikiritei.fckk.co.jp/about/
旧堀切邸 施設案内
https://kyu-horikiritei.fckk.co.jp/information/
旧堀切邸 利用案内
https://kyu-horikiritei.fckk.co.jp/guide/
旧堀切邸 アクセス
https://kyu-horikiritei.fckk.co.jp/access/
福島交通 飯坂電車 運賃表
https://ii-den.jp/fare/index.php
福島交通 飯坂電車 時刻表
https://ii-den.jp/time/

最終更新日: 2026.10.02

基本情報

名称旧堀切家住宅
所在地福島県福島市飯坂町字東滝ノ町16
所有者福島市
指定登録有形文化財 6件
座標37.83342, 140.45224