梵鐘とは

梵鐘は、寺院の鐘楼などに吊るし、撞木で撞いて鳴らす青銅製の大きな鐘である。釣鐘とも呼ぶ。時刻を告げたり、法会の始まりを知らせたりするために撞かれる。

梵鐘の各部には名称がある。頂部の吊り手を龍頭、その下の丸みを帯びた部分を笠と呼ぶ。鐘身は縦横の帯で区切られ、上段に小さな突起(乳)を並べた乳の間、その下に銘文を刻むことの多い池の間、さらに草の間が続く。撞木が当たる位置には、蓮華文などをかたどった撞座を設け、裾の広がった縁を駒の爪という。東京都調布市指定の西光寺梵鐘の記録は、乳の間を四区として乳を合計108個並べ、池の間の四区に銘文を刻むなど、各部の構成を詳しく記している。

記録と実物で見分ける手がかり

梵鐘は美術工芸品(工芸品・金工)として指定されることが多く、記録では各部の形と銘文が書かれる。形の特徴は年代を知る手がかりになる。静岡県指定の平治2年(1160年)銘の梵鐘の解説は、龍頭と撞座の位置関係や乳の形から、平安時代末期ごろの製作と判断している。千葉市の長徳寺の梵鐘は、二個の撞座が竜頭の方向と平行に位置すると記され、宝徳元年(1449年)の紀年銘をもつ。銘文には、鐘をつくった年や鋳物師、寄進者、のちの移転の経緯などが刻まれることが多い。

建造物の記録では、梵鐘は鐘楼に吊るされるものとして書かれる。京都府南丹市の蓮乗寺鐘楼は、棟木の下に湾曲した鐘釣梁を渡して梵鐘を吊ると記録される。鐘楼と梵鐘は別々に指定されていることが多いので、記事ではどちらが文化財かを区別したい。

参考文献

梵鐘(西光寺、調布市指定)|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/230821
梵鐘(平治二年の陽鋳銘あり)|しずおか文化財ナビ
https://www.pref.shizuoka.jp/kankosports/bunkageijutsu/bunkazai/1002825/1041003/1041889/1004977/1055048.html
梵鐘(宝徳元年在銘)|千葉市
https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/bunkazai/bonshohoutokugan.html
蓮乗寺鐘楼|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013135

最終更新: 2026.09.26