重要無形民俗文化財とは

重要無形民俗文化財は、無形の民俗文化財のうち特に重要なものとして文部科学大臣が指定した文化財である。文化財保護法第78条第1項に根拠がある。

民俗文化財は同法第2条第1項第3号に定義がある。衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術、およびこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないものを指す。このうち有形のものが重要有形民俗文化財に、無形のものが重要無形民俗文化財に指定される。祭礼や芸能そのものが無形、その場で使われる用具や山車が有形にあたる。

令和8年8月1日現在、重要無形民俗文化財は342件、重要有形民俗文化財は229件である。

指定は官報に告示して行われる。有形の文化財と違って所有者に交付する指定書がなく、告示だけで効力を生じる点が手続上の特徴になる。

保持者の認定がないこと

無形文化財では、指定にあたって保持者または保持団体の認定が行われる。人間国宝と通称されるのはこの認定を受けた個人である。これに対して無形の民俗文化財では、保持者の認定という仕組みが置かれていない。地域の人々が共同で担い、特定の個人の技量に帰せられるものではないという性格を反映している。

保存の支援は別の形をとる。文化庁長官は重要無形民俗文化財について自ら記録の作成その他の措置を執ることができ、国は地方公共団体その他保存に当たることが適当と認められる者に対して経費の一部を補助できる。担い手ではなく、保存の事業に対して支援が向けられる。

指定とよく似た用語に選択がある。重要無形民俗文化財にも登録無形民俗文化財にもならない無形の民俗文化財のうち、特に必要のあるものを選択して記録を作成する制度で、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財と呼ばれる。令和7年4月1日現在で661件あり、指定件数を大きく上回る。選択は記録を残すための措置であって指定ではないため、記事で扱うときは選択と指定を書き分ける必要がある。

参考文献

e-Gov法令検索 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214
文化庁 文化財の紹介 民俗文化財
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/minzoku/
文化庁 文化財指定等の件数(令和8年8月1日現在)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.html
文化庁 文化財の紹介 概要(文化財の種類,指定・選定・登録)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/gaiyo/

最終更新: 2026.08.30