掻落しとは
掻落しは、外壁にモルタルなどを塗り、硬化しきる前に表面を剣山のような道具で掻き落として、粗くざらついた質感に仕上げる左官技法である。記録では「掻落仕上」「掻落し仕上げ」とも書く。表面に細かな凹凸ができるため、石を思わせる重みのある表情になり、汚れやひび割れも目立ちにくい。
近代の洋風建築や、昭和初期の事務所・店舗などの外壁に多く用いられた。平滑に仕上げる金鏝仕上げや、骨材を洗い出して見せる洗い出しとは、表面の処理の仕方で区別される。
なお、色の異なる漆喰を重ねて塗り、上の層を部分的に掻き落として下の色で模様を表す技法も掻き落としと呼ばれるが、記録の「モルタル掻落仕上」は、前者の粗面仕上げを指すことが多い。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では「外壁モルタル掻落仕上」のように、材料と合わせて書かれる。広島県庄原市のヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)の旧研究室棟は、上部半円アーチの縦長窓を開けた洋風の建物で、外壁をモルタル掻落仕上とする。同じ会社の旧本社事務所兼主屋も、外壁をモルタル掻落仕上、腰を石貼として、出窓や丸窓など幾何学的な意匠で飾る。
現地では、外壁の表面に指でなぞれるほどの細かなざらつきがあるかを見る。近づくと、掻き落とした跡が細かな粒状の凹凸として見える。
参考文献
- ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)旧研究室棟|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015242
- ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)旧本社事務所兼主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015241
最終更新: 2026.09.26