三宅家住宅とは
三宅家住宅(みやけけじゅうたく)は、広島県安芸郡海田町稲荷町にある江戸時代後期(1751年から1830年)の商家の屋敷で、主屋・衣裳蔵・新蔵・古米蔵・新米蔵・裏長屋門の6棟が平成29年(2017年)5月2日に登録有形文化財となった。
海田町の広報によると、文化審議会が登録を答申したのは前年の平成28年(2016年)11月18日で、安芸郡内では初めての国の登録有形文化財である。評価されたのは、旧山陽道(西国街道)沿いの景観と、水陸の中継商業で栄えた海田町の歴史を示す建築物群であるという点だった。
6棟の登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。1棟ごとの出来ばえよりも、街道から川岸まで続く商家の屋敷構えがまとまって残っていることに重きが置かれている。
屋号「新宅屋」と海田の町
三宅家は屋号を「新宅屋」という。広島県の歴史・文化ポータル「江戸の世のひろしま探訪」は、三宅家(本家)が近世後期から近代にかけて、農業を基盤としながら金融業などを営んできた家だと紹介している。敷地の南の新米蔵には小作米を納めていたと文化庁の解説にあり、土地を持ち、貸し付けも手がける在方の商家だったことがうかがえる。
海田は近世、西国街道の宿場町として栄えた。三宅家住宅の敷地は、北が街道、南がかつての瀬野川の流路に沿った河岸で、陸の道と川の舟運の両方に接していた。海田町の文化財紹介は、街道に店を構えた主屋と、河港に面した裏長屋門を、敷地内の通路が結んでいたと説明している。
「水陸の中継商業」という評価は、この南北の配置と重なる。街道側で商いをし、川側で荷を出し入れする家の姿が、敷地の形そのものに残っている。
屋敷の構成と建てられた順序
三宅家住宅の敷地は南北に細長い。北端に主屋が旧西国街道に面して建ち、そこから南へ通る敷地内の通路の両側に4棟の土蔵が向かい合う。敷地の中ほどでは東の衣裳蔵と西の新蔵が、そのさらに南では東の新米蔵と西の古米蔵が対面し、南端を裏長屋門が画している。
建築年代は2つの時期に分かれる。主屋・衣裳蔵・古米蔵・裏長屋門の4棟が江戸時代後期、新蔵と新米蔵の2棟が明治後期(1898年から1912年)の建築で、主屋は明治中期(1883年から1897年)に改修を受けた。「古米蔵」「新米蔵」「新蔵」という呼び名は、この前後関係とよく合っている。
- 主屋(江戸後期、明治中期改修/登録番号 34-0207)
- 衣裳蔵(江戸後期/登録番号 34-0208)
- 新蔵(明治後期/登録番号 34-0209)
- 古米蔵(江戸後期/登録番号 34-0210)
- 新米蔵(明治後期/登録番号 34-0211)
- 裏長屋門(江戸後期/登録番号 34-0212)
主屋の東には分家の建物が接している。海田町によれば、その一部は江戸時代末期に本家の店舗棟として建てられたことが分かっている。登録の対象には入っていないが、三宅家住宅の成り立ちを知るうえで見落とせない建物である。
海田町は三宅家住宅を、同じ旧街道沿いの旧千葉家住宅とともに、海田に残る数少ない近世の町家遺構と位置づけている。旧千葉家住宅は宿駅の要職を勤めた家の旧宅で、宿場の公的な側面を担った家と、商いで栄えた家の屋敷がそれぞれ残っていることになる。
見学とアクセス
三宅家住宅は個人の住宅で、敷地と建物の内部は公開されていない。海田町の文化財紹介にも、公開日や見学受付の案内は掲載されていない(2026年9月27日確認)。訪れて見られるのは、公道からの外観に限られる。
いちばん分かりやすいのは、旧西国街道に面した主屋の正面である。4棟の土蔵は敷地の内側、通路の両側に建つため、街道からはその並びの一部がうかがえる程度と考えておきたい。撮影の可否について、所有者や町による案内は見当たらなかった。個人の住まいなので、門口や窓に向けてカメラを構えるのは控え、道の反対側から眺めるのがよい。
最寄り駅はJR山陽本線・呉線の海田市駅で、三宅家住宅は駅の北東、直線でおよそ300メートルの位置にある。徒歩5分前後が目安になる。駅から北へ向かって旧西国街道に出ると、街道の南側に主屋の妻面が見えてくる。見学者向けの駐車場の案内はない。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 三宅家住宅主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011557
- 国指定文化財等データベース 三宅家住宅新米蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011561
- 国指定文化財等データベース 三宅家住宅裏長屋門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011562
- 文化遺産オンライン 三宅家住宅主屋
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/274812
- 三宅家住宅が国登録有形文化財(建造物)へ(広報かいた 2017年1月号、海田町)
- https://www.town.kaita.lg.jp/img/koenokouhou/201701/02.html
- 文化財(近世)(海田町)
- https://www.town.kaita.lg.jp/site/kaita-info/698.html
- 三宅家住宅主屋(江戸の世のひろしま探訪、広島県)
- https://hiroshima-history.com/spot/miyakeke/
最終更新日: 2026.09.26
基本情報
| 名称 | 三宅家住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 広島県安芸郡海田町稲荷町184 |
| 指定 | 登録有形文化財 6件 |
| 座標 | 34.37352, 132.53312 |