電波のために建ち、風景として残された塔

さっぽろテレビ塔は、北海道札幌市中央区大通西1丁目の大通公園東端に建つ昭和32年(1957年)竣工の高さ144メートルの自立式鉄塔で、令和7年(2025年)3月13日に国の登録有形文化財に登録された。設計は、大阪の通天閣や名古屋テレビ塔、のちの東京タワーを手がけた構造家・内藤多仲による。

建設の動機は具体的だった。昭和20年代後半、NHKが札幌でテレビ放送を始めたものの、石狩平野に電波を届けるには高さが要る。送信鉄塔だけでも用は足りたはずである。実際に建ったのは、展望台と映画劇場を備え、同年12月には4階にプラネタリウムまで開いた複合施設だった。

着工は昭和31年(1956年)6月。同年12月に塔体が完成し、22日にはNHK札幌放送局がここから初めてテレビ電波を発信している。一般公開は翌昭和32年8月24日、総工費は1億7000万円だった。

構造の読みどころと、登録の理由

文化庁が適用した登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。そこに住む人々にとって、街の見え方の一部になった建造物に用いられる区分だ。

足元から順に見上げると、内藤の手法が形に出ている。四本の脚は基部で35メートルの間隔をとり、上へゆくにつれて内側へ絞られる。下方が広がるこの立面は末広がりと表現される。四隅では鋼材を三角錐状のトラスに組み、主塔部は全14節に区切られる。その上に、アンテナを支持する鉄塔部が別に載る。地下は2階分あり、鉄骨造と鉄筋コンクリート造を併用した構造となっている。

電光時計が付いたのは昭和36年(1961年)10月のこと。「街の真ん中に塔があるなら時計もあってよいのでは」という市民の声に応えたもので、この種の塔で時計を備えるのは全国でもここだけとされる。昭和38年(1963年)には改修が加えられた。

内藤が設計した塔のうち、通天閣は平成19年(2007年)、東京タワーは平成25年(2013年)に登録されている。さっぽろテレビ塔の令和7年の登録は、20年近く続いた流れの締めくくりにあたる。その頃までに、塔が本来担っていた役目はほぼ終わっていた。かつて置かれていたFMの中継設備は市内の別の建物の屋上へ移り、アンテナはもう建設の目的だった放送を送ってはいない。

展望台に上る

展望台は地上約90メートルにある。エレベーターは3階から発着し、所要は約60秒。眼下には大通公園が西へ一直線に伸び、晴れた日には石狩平野とその先の日本海まで見渡せる。

時間・料金と、いつ行くか

展望台の営業時間は9時から22時、展望最終入場は21時50分。一般料金は大人(高校生以上)1,200円、小学生・中学生600円、幼児(小学生未満)は無料。15名以上の団体は900円・500円、札幌市内在住であることを証明できるものを提示すれば800円・400円になる。年間パスポートは2,000円。年に数回、設備点検のため終日休業する日があるので、出かける前に公式サイトを確認しておきたい。

一度の滞在で二つの表情を見るという選び方もある。昼・夜チケットは大人1,700円で、購入から3日間のうちに2回入場できる。昼の公園の緑と、暗くなってからの街明かりでは景色がまったく別物になるためだ。冬にはさっぽろホワイトイルミネーションとさっぽろ雪まつりの会場が、そのまま塔の足元に広がる。

真下を覗き込む窓

南東側の3枚のガラスは、床から天井まで続く一枚ガラスに取り替えられている。この部分の壁は外側へ傾いているため、ガラスに寄ると自分の足の真下に地面が見える。塔ではこの一角を「怖窓(こわそう)」と呼んでいる。

展望台からの撮影は、個人で楽しむ範囲であれば自由に行える。3階には売店と、塔のマスコット「テレビ父さん」を祀る小さな社があり、限定のグッズはここでしか手に入らない。地下にはグルメコートが入り、地下鉄大通駅の出入口は塔の足元にある。

Q&A

Qさっぽろテレビ塔の展望台の入場料と営業時間を教えてください。
A営業時間は9時から22時まで、展望最終入場は21時50分です。一般料金は大人(高校生以上)1,200円、小学生・中学生600円、幼児は無料。入場券は3階の展望台入場券売場で購入します。
Qさっぽろテレビ塔を設計したのは誰ですか。いつ建てられましたか。
A設計は「塔博士」と呼ばれた構造家の内藤多仲です。昭和31年(1956年)6月に着工し、同年12月に塔体が完成、昭和32年(1957年)8月24日に開業しました。
Qさっぽろテレビ塔の展望台は地上何メートルの高さにありますか。
A展望台は地上約90メートルの位置にあります。塔全体の高さはアンテナ部を含めて144メートルです。3階からエレベーターで約1分で到達します。
Qさっぽろテレビ塔はなぜ2025年に登録有形文化財となったのですか。
A令和7年3月13日に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録されました。末広がりの四脚形状、上下2か所の展望台、そして68年にわたり札幌の景観の基準点であり続けたことが評価されています。
Qさっぽろテレビ塔へのアクセス方法は。札幌駅から行けますか。
A地下鉄大通駅27番出入口が塔の足元に直結しており、これが最も分かりやすい経路です。JR札幌駅南口からは徒歩約15分。冬季も地下歩行空間で大部分をつないで歩けます。

基本データ

名称さっぽろテレビ塔(さっぽろてれびとう)
所在地北海道札幌市中央区大通西一丁目1他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和7年(2025年)3月13日登録/登録番号 01-0171
員数1基
寸法鉄骨造及び鉄筋コンクリート造、高さ144メートル、脚間35メートル、地下2階付
所有者株式会社さっぽろテレビ塔
公開状況展望台を公開。9時〜22時(最終入場21時50分)、大人1,200円

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— さっぽろテレビ塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015270
さっぽろテレビ塔 公式サイト — 展望台入場料金・営業時間
https://www.tv-tower.co.jp/pricetime.html
さっぽろテレビ塔 公式サイト — 登録有形文化財記念プロジェクト
https://www.tv-tower.co.jp/tcp/
ようこそさっぽろ(札幌観光協会)— さっぽろテレビ塔
https://www.sapporo.travel/spot/facility/sapporo_tv_tower/
ようこそさっぽろ — 登録有形文化財認定の特集記事
https://www.sapporo.travel/spot/feature/sapporo-tvtower-cultural-property/

最終更新日: 2026.08.27