尼崎城本丸跡に建つ昭和の鉄筋コンクリート校舎

旧尼崎市立高等女学校校舎(現在の尼崎市立歴史博物館・尼崎市立成良中学校琴城分校)は、兵庫県尼崎市南城内10-2に建つ鉄筋コンクリート造3階建の学校建築で、昭和13年(1938年)に竣工し、令和6年(2024年)3月6日に国の登録有形文化財に登録された。

敷地は尼崎城の本丸跡にあたる。城そのものは明治初期に取り壊され、地上には何も残っていない。かわりに建つのが、昭和初期の尼崎が鉄筋コンクリートで築いた女学校の校舎である。

尼崎市の資料によれば、工事は二期に分かれた。東側のおよそ3分の1が昭和8年(1933年)3月、残るおよそ3分の2が昭和13年3月の竣工である。文化庁のデータベースは登録対象の年代を昭和13年とし、昭和41年と令和2年に改修が加えられたことを記録している。建築面積は約2,106平方メートル。

平面は閉じた四角形をなす。教室と廊下の四つの棟が中庭をぐるりと囲む、いわゆる「ロ」の字型の構成で、廊下を歩き続ければ必ず出発点に戻る。中庭はつねに片側にある。

登録の理由と建築的な価値

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。登録番号は28-0794で、第106回登録として令和6年3月6日に告示・登録された。正面に立つ校門も同じ日に28-0795として登録されている。

評価の柱は二つある。ひとつは希少性で、重工業都市として発展し戦災も受けた尼崎に、戦前期の校舎はもうわずかしか残っていない。もうひとつは意匠である。正面は横長の窓を連ねて装飾を抑えつつ、中央部だけをわずかに前方へ突き出す。玄関の上には片持ちの車寄庇がのび、それを太い円柱二本が受け止める。

この円柱が、訪れた人の記憶に残る。

平成30年度(2018年度)から令和2年(2020年)にかけての改修で内装は全面的に更新されたが、尼崎市の説明によれば外壁は当初の色に戻され、玄関前の二本の丸柱と八角形の窓は残された。文化庁の解説文はこの校舎を城内地区の象徴的存在と記す。実際、徒歩数分の範囲には復元された尼崎城天守や市立の駐車場、小学校が並び、この長い鉄筋コンクリートの正面が街区の骨格をつくっている。

見どころと訪問の手引き

歴史博物館としての開館は令和2年10月10日。入館は無料で、開館時間は午前9時から午後5時まで、入館は午後4時30分までとなっている。休館日は月曜日(祝日にあたる場合は直後の平日)と12月29日から1月3日まで。特別な催しの際には観覧料を徴収することがあるため、出かける前に博物館のページを確認しておきたい。

まずは外から眺めるとよい。玄関ポーチは立ち止まる価値のある一角で、庇と二本の円柱、そして中央部のわずかな張り出しが目に入る。少し離れて左右にのびる横長窓の帯まで視界に収めると、全体の構成が理解できる。

館内では2階が常設展示室にあてられ、原始・古代から近現代までの尼崎の歩みをたどる。3階は企画展示室と、地域研究史料室「あまがさきアーカイブズ」。歴史的公文書などの閲覧ができる。常設展には尼崎城に関する展示も含まれるので、復元天守へ足を運ぶ前にここを訪ねる順路が理にかなう。

1階の一部は博物館ではない。尼崎市立成良中学校琴城分校、すなわち夜間中学校が置かれている。平日の夜には授業が行われており、竣工から90年近くを経てなお、この建物は建てられた目的どおりの役目を果たしている。

外観の撮影は道路側から自由に行える。登録された校門を手前に入れた北面が定番の構図である。館内の展示については撮影の扱いが展示ごとに異なるので、各室の掲示に従い、判断に迷う場合は職員に尋ねるのが確実だ。

アクセスは阪神尼崎駅南口から南東へ徒歩約10分。車の場合は県道57号「開明橋」交差点から東へ約500メートル。専用駐車場はないため、隣接する市立城内地区自動車駐車場(有料)を利用する。

Q&A

Q旧尼崎市立高等女学校校舎は内部を見学できますか。開館時間と入館料は?
A見学できます。建物は尼崎市立歴史博物館として使われており、開館時間は午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)。入館料は無料ですが、特別な催しの際には徴収されることがあります。休館日は月曜日(祝日の場合は直後の平日)と12月29日から1月3日までです。
Q旧尼崎市立高等女学校校舎への行き方と駐車場は?
A阪神尼崎駅の南口から南東へ徒歩約10分です。車では県道57号「開明橋」交差点から東へ約500メートル。専用の駐車場はないため、隣接する市立城内地区自動車駐車場(有料)をご利用ください。
Q旧尼崎市立高等女学校校舎は今も学校として使われているのですか。
A一部は学校として使われています。1階の一部分に尼崎市立成良中学校琴城分校という夜間中学校が併設され、博物館と同居しています。2階と3階は展示室および地域研究史料室にあてられています。
Q旧尼崎市立高等女学校校舎の中では何が見られますか。
A2階の常設展示室では原始・古代から近現代までの尼崎の歴史を扱い、尼崎城に関する展示も含まれます。3階では企画展・特別展が開かれるほか、地域研究史料室「あまがさきアーカイブズ」で歴史的公文書や地域資料の閲覧ができます。
Q旧尼崎市立高等女学校校舎は撮影できますか。
A外観は道路側から自由に撮影できます。登録有形文化財の校門をあわせて写せる北面が撮りやすい位置です。館内の展示撮影は展示ごとに扱いが異なるため、各室の掲示を確認し、必要に応じて職員にお尋ねください。

基本情報

名称旧尼崎市立高等女学校校舎(尼崎市立歴史博物館・尼崎市立成良中学校琴城分校)
所在地兵庫県尼崎市南城内10-2
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 28-0794
指定年令和6年(2024年)3月6日登録・第106回
員数1棟
寸法鉄筋コンクリート造3階建、建築面積約2,106平方メートル
所有者尼崎市
公開状況歴史博物館として公開。午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)、無料。月曜および12月29日から1月3日は休館

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 旧尼崎市立高等女学校校舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014880
文化遺産オンライン — 旧尼崎市立高等女学校校舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/602880
尼崎市 — 旧尼崎市立高等女学校(尼崎の登録文化財)
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/manabu/bunkazai_0/1028308/1028313/1035993.html
尼崎市 — 歴史博物館について
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/manabu/bunkazai_0/1037406/1037423.html
尼崎市 — 開館時間・休館日・交通アクセス
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/manabu/bunkazai_0/1037406/1034949.html

最終更新日: 2026.08.26