姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)とは

姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)は、兵庫県姫路市山野井町の姫路文学館の敷地にある近代和風の邸宅建築で、大正5年(1916年)から昭和4年(1929年)にかけて実業家の濱本家の別邸として建てられ、和室・茶室・廊下・棟門・石垣の5件が平成21年(2009年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ひめじぶんがくかんぼうけいてい(きゅうはまもとけじゅうたく)」。

場所は姫路城の北西、男山に近い住宅地である。姫路文学館は安藤忠雄の設計で、平成3年(1991年)4月に開館した。現代建築の本館の奥へ進むと、瓦屋根の座敷と池のある庭が現れる。いまの望景亭は文学館の付属施設で、和室・茶室・洋間を備え、催しの会場としても使われている。

濱本家の別邸から文学館の付属施設へ

姫路フィルムコミッションの紹介によると、姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)は、市内の実業家濱本氏の別邸として、約13年をかけて造営された建物群の一部である。文学館の英語版案内も建築年を1916年から1929年としている。国立映画アーカイブのロケ地データベースは、建て主を濱本八治郎と記す。

濱本家のあと、この屋敷には皇族の賀陽宮恒憲王が住んだ。陸軍の騎兵第10連隊長として姫路に在任していた時期のことである。姫路市の調査報告は、皇族が滞在するなど迎賓の役割を担った建物と位置づけている。

昭和33年(1958年)に姫路市の所有となり、昭和51年(1976年)までは「男山市民寮」の名で結婚式場として市民に使われた。昭和62年(1987年)、市民寮の跡地に文学館を建てることが決まり、元の建物のうち西側のおよそ3分の1を残して、和室・茶室・唐破風の玄関を修復した。平成2年(1990年)から平成3年(1991年)にかけての整備では、洋間などが増築されている。市の報告によれば、令和2年(2020年)に耐震診断と補強設計を済ませた。

姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)の5件と登録

5件は平成21年(2009年)8月7日付でそろって登録有形文化財となり、登録番号は28-0394から28-0398まで続く。和室・茶室・棟門の3件が「造形の規範となっているもの」、廊下と石垣の2件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準による。文化庁のデータベースに載る年代と規模は次のとおり。

  • 和室:大正前期。木造平屋建、瓦葺、建築面積177㎡
  • 茶室:大正前期。木造平屋建、瓦葺、建築面積55㎡
  • 廊下:大正前期。木造平屋建、瓦葺、建築面積12㎡
  • 棟門:昭和前期、平成3年(1991年)移築。木造、銅板葺、間口1.5m
  • 石垣:昭和前期。石造一部煉瓦造、総延長64m

座敷・茶室・渡り廊下という住まいの中心と、門と石垣という外まわりが、別々の基準で拾われている。棟門の移築年は、データベースの年代欄が平成3年とするのに対し、西暦欄は2001年と記していて食い違う。文学館の開館が平成3年(1991年)であることから、本稿は年代欄に拠った。

姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)の配置と庭

文化庁の解説を順にたどると、姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)の配置が見えてくる。棟門は望景亭の敷地の東端にあり、文学館本館からの導入路に向けて東面する。和室は敷地の西奥に建ち、茶室は池を挟んで和室と向き合う。この2棟を矩折れにつなぐのが廊下で、廊下の下には南北の庭を行き来する通路が抜けている。庭の南辺から西辺には石垣が延び、広場と和室の前庭を区切りながら和室に取り付く。

登録された5件のほかにも、唐破風の玄関、平成の整備で増築された洋間(応接間)、庭の腰掛待合が残る。姫路フィルムコミッションによれば、建物の中には色彩の鮮やかな板戸絵が計8面ある。

姫路市は、文学館2階のテラスから秋に眺める望景亭を、第3回の「景観遺産」に選んでいる。推薦の言葉は、どっしりとした建物が周りの緑になじんでいる点を挙げる。各棟の造りと見どころは、それぞれのページにまとめた。

姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)の見学とアクセス

姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)の建物は、貸室として使われていない日に見学できる。文学館の英語版案内がそのように明記しており、市の報告では建物内の一般公開の見学者は年に7,000人から8,000人ほどである。望景亭の見学に別の料金がかかるかどうかは、文学館の案内に記載がない。文学館の常設展観覧料は一般450円、18歳未満は無料である。

開館時間は午前10時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)。毎週月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土曜日・日曜日の場合は開館)、12月25日から1月5日までが休館日となる。和室・茶室・洋間は文化的な催しに有料で貸し出され、茶会や演奏会、婚礼の前撮りなどに使われている。催しのある日は内部に入れないことがあるので、出かける前に文学館(電話079-293-8228)へ確かめておくと安心である。撮影の可否は公式の案内に書かれていない。

JR・山陽電車の姫路駅前にある神姫バスターミナルの9・10・17・18番乗り場からバスで約6分、「市之橋文学館前」で降りて北へ約4分歩く。乗り場の便がすべてこの停留所に止まるわけではないので、乗る前に確かめたい。6番乗り場から城周辺観光ループバスに乗れば約10分で「清水橋(文学館前)」に着き、西へ約3分である。文学館には無料の駐車場が50台分あるが、満車になることもある。

姫路市は令和7年度(2025年度)、望景亭の耐震改修と民間事業者による活用に向けた調査を行い、令和8年(2026年)2月に結果を報告した。今後、見学の形が変わる可能性があるので、訪れる前に文学館の最新の案内を見ておくとよい。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)和室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007768
国指定文化財等データベース(文化庁)姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)茶室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007769
国指定文化財等データベース(文化庁)姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)廊下
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007770
国指定文化財等データベース(文化庁)姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)棟門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007771
国指定文化財等データベース(文化庁)姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)石垣
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007772
姫路文学館 望景亭
https://www.himejibungakukan.jp/gaiyou/sisetu/boukeitei/
姫路文学館 ご利用案内
https://www.himejibungakukan.jp/riyou/
姫路文学館 アクセス
https://www.himejibungakukan.jp/riyou/access/
姫路文学館 貸室利用
https://www.himejibungakukan.jp/riyou/kasisitu/
Himeji City Museum of Literature, Bokeitei House
https://www.himejibungakukan.jp/en/bokeitei.html
姫路フィルムコミッション 木造建築の粋を集めた姫路文学館の「望景亭」
https://www.himeji-kanko.jp/fc/article.php?eid=00185
ジャパン・ロケーション・データベース(国立映画アーカイブ)望景亭(旧濱本家住宅)
https://jl-db.nfaj.go.jp/location/280212005/
国土交通省 スモールコンセッション形成推進事業 姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)利活用検討調査 成果報告会資料
https://www.mlit.go.jp/smcn/info/content/001984036.pdf
姫路市 登録されている景観遺産の一覧
https://www.city.himeji.lg.jp/sangyo/0000007451.html

最終更新日: 2026.10.01

基本情報

名称姫路文学館望景亭(旧濱本家住宅)
所在地兵庫県姫路市山野井町字宮根86他
所有者姫路市
指定登録有形文化財 5件
座標34.84170, 134.68767