黒漆喰の主屋と白漆喰の蔵

岩佐家住宅は、兵庫県明石市鳥羽538にある明治37年(1904年)建築の住宅で、主屋と土蔵の2棟が平成19年(2007年)7月31日に登録有形文化財として登録された。主屋は敷地の中央西寄りに南面して建ち、土蔵はその東に南北棟で建つ。

2棟は外壁の仕上げが対照的である。主屋は黒漆喰の塗屋、土蔵は白漆喰塗。同じ年に同じ敷地へ建てられながら、黒と白が並ぶ。岩佐家住宅の構えは、この対比によって成り立っている。

明治37年の農家建築

文化庁の記録は、2棟とも年代を明治37年(1904年)とする。明石市の東部にあたる鳥羽の地で、住まいと収納の建物が一度に整えられたことになる。

主屋は木造2階建、瓦葺、建築面積121平方メートル。桁行6間、梁間3間の入母屋造、桟瓦葺で、南・西・北の三方に下屋が付く。土蔵は土蔵造2階建、瓦葺、建築面積15平方メートルで、方2間という小ぶりな規模である。面積では主屋が土蔵の8倍を超える。

登録有形文化財は、原則として建設後50年を経過した建造物のうち、国土の歴史的景観に寄与しているものなどを対象とする届出制の制度である。許可制の指定制度とは仕組みが異なり、文化財として「指定」されるのではなく「登録」される。岩佐家住宅の2棟もこの制度による登録であり、指定ではない。

主屋と土蔵をつなぐ納戸

この住宅で目を引くのは、2棟の関係の取り方である。土蔵の戸口は西面、つまり主屋に向いた側にある。そして主屋と土蔵の間に設けた納戸が、蔵前として使われている。

蔵前とは、蔵の出入口の前に設ける作業の場である。通常は屋外の土間や庇下にあたるが、ここでは主屋との間の納戸がその役目を担っている。土蔵は単独で建つのではなく、主屋と一続きの動線に組み込まれている。戸口には片引きの土戸、板戸、格子戸が建て込まれ、用途に応じて開け閉めできるようになっている。

主屋の内部は、東に土間を取り、西に口の間、座敷8畳、居間8畳、仏間3畳などを喰い違いに配する。部屋を一直線に並べず互い違いにずらす配置で、農家建築に見られる形式である。文化庁は、黒漆喰の塗屋という外壁と、起りのある破風とをあわせて、重厚な外観と評している。

見学方法

岩佐家住宅は民有の住宅であり、公開施設ではない。拝観料や開館時間にあたるものはなく、内部を見学できるという案内は公的な資料では確認できない。

主屋は南面、土蔵は主屋の東という配置のため、敷地の外から見える範囲は限られる。黒漆喰の主屋と白漆喰の土蔵という対比は、この住宅の特徴ではあるが、見学を前提とした構えではない。

所在地は明石市鳥羽538。現に人が住む住宅であるため、敷地内へ立ち入らず、住民の生活を妨げないようにしたい。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 岩佐家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006251
文化庁 国指定文化財等データベース 岩佐家住宅土蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006252
文化遺産オンライン 岩佐家住宅主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/152855
文化遺産オンライン 岩佐家住宅土蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/182466

最終更新日: 2026.09.23

基本情報

名称岩佐家住宅
所在地兵庫県明石市鳥羽538
所有者個人
指定登録有形文化財 2件
座標34.66748, 134.96811