屋敷の使用人が働いた場所

小河家住宅の敷地西辺、主屋と納戸の間に建つのが、女中部屋と呼ばれる質素な平屋である。桁行三間、梁間二間、二十八平方メートルほどの規模で、寄棟造、桟瓦葺とする。内部は七畳半の一室を主とし、西側に廊下を通し、南に浴室、北に便所を付ける。更衣室は主屋の台所へと連絡する。

外観はこの建物の役目を一目で伝える。外壁は縦板張とし、上部を漆喰で塗り、庭に面しながらも座敷にほどこされた装飾を欠く。働くための建物であり、そのように見える。

日常の建物がなぜ登録されたか

女中部屋は平成十八年(二〇〇六年)十一月二十九日、あわせて十一棟が登録された建物群の一つとして国の登録有形文化財となった。この種の建物はめったに残らない。大邸宅の勝手側は暮らし方が変われば真っ先に改変され取り壊されるため、浴室や便所、台所への通路を備えたまま遺る明治末期の使用人部屋は、まことに稀な記録である。

その質素さこそが価値を生む。主屋の十畳客座敷や上段の間の傍らに置かれると、この慎ましい建物は屋敷のもう半分、すなわちこの規模の別邸を動かしていた人々の側を描き出す。登録は磨かれた表側だけでなく、屋敷という仕組み全体を評価している。

訪れて見るべきところ

台所との結びつきに目を向けたい。主屋へ通じる更衣室は小さな造作ながら含みが多い。使用人は自らの空間と家事の中心とを、客の動線を横切ることなく行き来できた。こうした連絡を読み解くと、簡素な一室が日々の暮らしの図面に変わる。

ここの縦板張と漆喰の壁を、隣の精緻な建具と見比べれば、二つの世界の隔たりが材料そのものに現れているのがわかる。管理は三木市、木曜から日曜まで無料で公開される。

よくある質問

Qこの建物は何に使われましたか。
A屋敷の女性使用人とその作業のための建物で、居室・浴室・便所・台所に通じる更衣室を備える。
Q大きさはどのくらいですか。
A桁行三間、梁間二間、約二十八平方メートルで、主室は七畳半である。
Q使用人の建物がなぜ重要なのですか。
A勝手側は改変や撤去を受けやすく、明治末期の例が完存するのは稀で、別邸の働く側を示すためである。
Q見学できますか。
A住宅は木曜から日曜の10時から16時に無料で公開される。

基本情報

指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成18年(2006年)11月29日
所在地兵庫県三木市本町3-6-24
管理三木市
アクセス神戸電鉄粟生線 三木駅から徒歩約7分
公開木曜〜日曜 10時〜16時、入館無料
構造木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺、建築面積約28平方メートル、1棟

参考文献

文化遺産オンライン(文化庁) — 小河家住宅女中部屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/143281
三木市 — 旧小河家別邸
https://www.city.miki.lg.jp/soshiki/33/2987.html
三木市立みき歴史資料館 — 小河家住宅(国登録文化財)
https://www.city.miki.lg.jp/site/mikirekishishiryokan/4099.html

最終更新日: 2026.07.04