高上町通りに南面する乾物商の店構え

星野家住宅店舗及び主屋は、茨城県桜川市真壁町真壁288にある明治中期建築・昭和初期改造の商家で、平成14年(2002年)8月21日に国の登録有形文化財に登録された。

建つのは、真壁の中心部を東西に走る四本の通りのひとつ、高上町通りの北側である。登録の対象は接続した二棟分。通りに面して切妻造・平入・桟瓦葺の二階建店舗が建ち、その奥に平屋の住居部分が続く。

星野家の屋号は諸川屋(もろかわや)。江戸末期、現在の古河市三和地区にあたる諸川からこの地へ移り住んだことに由来する。乾物を商い、真壁に陣屋を置いていた笠間藩の御用商人を務めたと伝わる。現在の当主で六代目にあたる。

年代が二つある建物―明治の住居と昭和の店舗

文化庁のデータベースは年代を「明治中期/昭和初期改造」と記す。この短い表記の背後に、茨城県教育委員会の調査が明らかにした経緯がある。

明治35年(1902年)当時の家屋調査書に記された間取りが、現在の間取りとほぼ一致する。ここから住居部分は明治中期の建築と考えられている。店舗のほうは事情が異なる。大正12年(1923年)の関東大震災の際に建て直したという伝承が家に残り、震災前に撮られたとみられる写真と比べると、下屋の軒高がわずかに違って見えるという。調査は、震災で傷んだ店舗をほぼ同じ間取りで改修したものと読み、住居は明治中期、店舗は昭和初期と位置づけている。

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。単体の傑作としてではなく、通りを構成する一要素としての価値が評価された建物である。

規模は大きくない。店舗は間口4間、奥行3間半で、うち正面約4尺分が下屋庇となる。奥の主屋は桁行4間半、梁間3間、そこに台所部分が1間張り出す。建築面積109平方メートル、員数1棟、登録番号は08-0071である。

店構えが語らないこと

まず二階を見る。柱を見せて壁を白漆喰で塗る真壁造で、妻側には腰板が張られている。軒先は垂木を並べただけで漆喰の塗り込めがなく、木部がそのまま外気に触れている。

この最後の点には意味がある。真壁の有力商家は、天保8年(1837年)の大火を経て、正面を厚い土壁で覆う見世蔵を建てた。防火のためである。星野家の店舗にはその配慮がほとんどない。炎の届く位置に木部が露出しているという事実が、商いの規模と、何を優先したかを示している。

一階正面は、西寄りに設けた約4尺のガラスの飾り棚を除き、ほぼ全面が開放されている。この飾り棚こそ登録解説文が取り上げる特徴で、正面が明治ではなく昭和初期の店構えに見える理由でもある。建具は後にアルミサッシへ替わった。

内部について、県教育委員会の調査は、住居側にあたる西側に帳場の痕跡が残ると記す。当初は広い土間であったと考えられている。

奥の主屋は書院造風の造りで、八畳の居間と八畳の客間からなる。

見学の実際

星野家住宅は現在ギャラリーとして使われており、内部に入れることがある。ただし開放は不定期で、家の都合による。平日にふらりと訪れて閉まっていることも珍しくない。外観は通りからいつでも見られ、費用はかからない。

確実性が高いのは、毎年2月4日から3月3日まで開かれる「真壁のひなまつり」の期間である。町内100軒を超える住宅や商店が雛人形を飾り、星野家でも約100年前の古今雛が公開される。真壁の商店は水曜定休の店が多いため、土日祝を選ぶほうが無難である。

真壁の町並みは平成22年(2010年)6月29日、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。全国で87地区目、茨城県内では初の選定になる。保存地区とその周辺には約100棟の登録有形文化財がある。平成23年(2011年)の東日本大震災では全国の伝建地区のうち最も被害が大きく、伝統的建造物の9割以上が損傷し、その後長く復旧工事が続いた。

真壁に鉄道駅はない。つくばエクスプレスつくば駅から筑波山口方面のバスに乗り、桜川市バスに乗り継いで約70分。車の場合は北関東自動車道桜川筑西インターチェンジから約20分である。真壁町真壁279-1の高上町駐車場は普通車65台分あり、星野家住宅まで徒歩1分ほどの位置にある。

通りからの外観撮影に制限はない。ギャラリー内部では、撮影前にひと声かけたい。

Q&A

Q星野家住宅店舗及び主屋の内部は見学できますか。
A個人の住宅であり、ギャラリーとして不定期に開放されています。決まった公開日程や受付はありません。確実性が高いのは2月4日から3月3日の「真壁のひなまつり」の期間で、町全体の雛飾りに参加します。外観は通りから常時見学でき、費用はかかりません。
Q星野家住宅店舗及び主屋はいつ建てられたのですか。
A文化庁のデータベースは「明治中期/昭和初期改造」と記載しています。県教育委員会の調査では、明治35年の家屋調査書の間取りが現状とほぼ一致することから住居部分を明治中期、関東大震災で傷んだ後にほぼ同じ間取りで改修された店舗部分を昭和初期と読んでいます。
Q星野家住宅店舗及び主屋の見どころはどこですか。
A一階正面の西寄りに設けられた約4尺のガラスの飾り棚です。登録解説文が昭和初期の商家の店構えを示す特徴として挙げています。二階は柱を見せる真壁造の白漆喰塗で、軒先は垂木のみ。町内の見世蔵と違い防火の塗り込めがない点も見比べたいところです。
Q星野家住宅店舗及び主屋へは公共交通でどう行けますか。
A真壁に鉄道駅はありません。つくばエクスプレスつくば駅から筑波山口方面のバスに乗り、桜川市バスに乗り継いで約70分です。便数が少ないため事前に時刻を確認してください。ひなまつり期間の週末にはつくば駅から臨時バスが運行されることがあります。
Q星野家住宅店舗及び主屋の星野家はどのような家ですか。
A屋号を諸川屋といい、江戸末期に現在の古河市三和地区の諸川から真壁へ移り住んだと伝わります。乾物を商い、真壁に陣屋を置いた笠間藩の御用商人を務めたとされます。現在で六代目にあたります。

基本情報

名称星野家住宅店舗及び主屋(ほしのけじゅうたくてんぽおよびしゅおく)
所在地茨城県桜川市真壁町真壁288
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 08-0071
指定年登録 平成14年(2002年)8月21日/告示 同年9月3日
員数1棟
寸法木造2階及び平屋建、瓦葺、建築面積109平方メートル
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況外観は通りから常時見学可・無料。内部はギャラリーとして不定期開放、真壁のひなまつり(2月4日〜3月3日)期間が最も確実

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 星野家住宅店舗及び主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002877
茨城県教育委員会 星野家住宅店舗及び主屋
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6609/
桜川市 桜川市真壁伝統的建造物群保存地区
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
茨城県教育委員会 桜川市真壁伝統的建造物群保存地区
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-8557/

最終更新日: 2026.08.06