蔵並みの北端に立つ

北前船主屋敷蔵六園(旧酒谷長一郎家住宅)土蔵3は、石川県加賀市橋立町にある木造2階建の土蔵造で、明治23年(1890年)に建てられ、平成11年(1999年)2月17日に登録有形文化財となった。

建築面積は26平方メートル。主屋の建つ敷地の向かい側に連なる一連の土蔵群の、北端にあたる建物である。道路に接する切石積みの基礎の上に建ち、南の妻側に庇屋根を架けて蔵前とし、そこに出入口を設ける。

納めていたのは家財道具である。味噌の蔵や文書の蔵と違って中身に特別なところはないが、そのぶん造りに無理がなく、屋敷の蔵の標準形がよく残っている。

標準的であることの価値

登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁の解説は土蔵3の外観を「標準的なつくり」と評している。文化財の説明で標準的と書かれるのは珍しいが、これは減点ではない。

加賀橋立の集落は、江戸後期から明治中期にかけて北前船の交易を背景に建てられた船主や船頭の家屋が残る一帯で、平成17年(2005年)12月27日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。石垣や石段に淡い緑青色の笏谷石を使い、屋敷の周囲に土蔵や付属屋を配するという集落の姿を、北前船主屋敷蔵六園の土蔵3のような蔵が一棟ずつ支えている。突出した一棟ではなく、並びを成立させる一棟として登録された。

切石積みの基礎と南向きの蔵前

見るなら足元からがよい。道路に接する側は切石を積んだ基礎で、その上に蔵が乗る。雪と雨の多い土地で床下を切るための工夫で、土蔵3のように道に近い蔵ほど基礎が効いている。

南の妻側に回ると、庇屋根が張り出して蔵前をつくっている。荷を出し入れするあいだ、扉を雨に当てずに済ませるための空間である。外壁は軒廻りを除いて竪板貼り。北前船主屋敷蔵六園の蔵並みを北から南へ歩くと、この土蔵3を起点に土蔵4、土蔵5と造りが変わっていくのがたどれる。

土蔵3の見学

土蔵3は主屋の向かい側、道路に接して建つ。北前船主屋敷蔵六園の入園券がなくても、通りの側から外観を見ることができる。

内部の公開については一次資料で確認できなかった。撮影の可否とあわせて、訪問前に問い合わせておくとよい。開園時間と加賀温泉駅からの行き方は蔵六園のページにまとめてある。

よくある質問

Q北前船主屋敷蔵六園の土蔵3はどこにありますか。
A主屋の敷地の向かい側に並ぶ土蔵群の北端です。道路に接して建っています。
Q北前船主屋敷蔵六園の土蔵3には何を納めていましたか。
A家財道具です。屋敷の蔵は用途で分かれており、味噌や文書、漁労具、米はそれぞれ別の蔵に納められていました。
Q北前船主屋敷蔵六園の土蔵3の基礎はどうなっていますか。
A切石を積んだ基礎の上に建っています。道路に接する位置にあるため、床下を上げる基礎がよく効いています。
Q北前船主屋敷蔵六園の土蔵3はいつ建てられましたか。
A明治23年(1890年)です。土蔵1、土蔵2、土蔵5と同じ年で、この4棟が同時期に整えられました。
Q北前船主屋敷蔵六園の土蔵3は外から見られますか。
A道路に面しているため、外観は通りの側から見られます。内部公開の有無は事前にお問い合わせください。

基本データ

名称北前船主屋敷蔵六園(旧酒谷長一郎家住宅)土蔵3
所在地石川県加賀市橋立町ラ47
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成11年(1999年)2月17日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積26平方メートル
所有者個人(文化庁の国指定文化財等データベースに所有者名の記載なし)
公開状況「北前船主屋敷 蔵六園」として公開。午前10時から午後4時、入園料400円、小学生以下200円

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 北前船主屋敷蔵六園(旧酒谷長一郎家住宅)土蔵3
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001061
文化遺産オンライン 北前船主屋敷蔵六園(旧酒谷長一郎家住宅)土蔵3
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/138331
日本遺産ポータルサイト 北前船主屋敷蔵六園(旧酒谷長一郎家住宅)
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/2681/
石川県 加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/denken/2.html

最終更新日: 2026.09.13