明治37年に指定された室町の門
本山寺二王門は、香川県三豊市豊中町本山にある室町時代中期の三間一戸八脚門で、明治37年(1904年)8月29日に国の重要文化財に指定された。文化庁のデータベースは建立年代を1393年から1466年の間とし、構造を三間一戸八脚門、切妻造、本瓦葺と記録する。地元では「仁王門」と表記されることが多いが、国の記録上の名称は「二王門」である。
明治37年という指定年は、少し立ち止まって見る価値がある。日本の建造物保護は明治30年(1897年)の古社寺保存法に始まり、この門はその7年後に国の保護下に入っている。全国でも最初期の保護対象の一群にあたる。昭和25年(1950年)に文化財保護法が施行された際、旧法下の指定は重要文化財として引き継がれた。つまりこの門は、一世紀以上にわたって途切れることなく国の保護を受け続けてきたことになる。
門の奥にあるのは本山寺、正しくは七宝山持宝院本山寺である。高野山真言宗の寺院で、四国八十八ヶ所霊場の第70番札所。寺伝では大同2年(807年)に空海が長福寺として開創したと伝える。本尊は馬頭観世音菩薩で、八十八ヶ所のうち馬頭観音を本尊とするのはこの寺だけとされる。
門を読む
八脚門という呼び名は柱の数に由来する。扉を支える本柱が4本並び、その前後に控柱が4本ずつ、計8本立つ。平面は三間、中央の一間が通路になる。これが「三間一戸」の意味で、左右の二間には金剛力士像、すなわち仁王が納まる。門の名の由来はここにある。
屋根は切妻造。より大きな門や時代の下る門に見られる入母屋の張り出しはない。しかし簡素であることは貧しさではない。参道を歩いて近づく者に対し、切妻は端正な三角形を正面に差し出す。そしてその三角形の内側の構造は、隠されずにそのまま見える。
三豊市をはじめとする地元の資料は、この門を和様に唐様(禅宗様)と天竺様(大仏様)を取り込んだ折衷様の建築とし、全国的にも珍しい手法だと説明している。文化庁のデータベースには二王門についての解説文が置かれていないため、この読み方は地元の研究に基づくものである。実際に確かめたい人は、組物の形式と、貫が柱を貫通する納まりに目を向けるとよい。
通り抜けるときは、いったん立ち止まって振り返ってみたい。屋根裏まわりと通路上部の架構は、門の下に立ったときにだけ見える。後世の修理の手が最も及んでいないのも、この見上げの部分である。
門の先にあるもの、そして参拝の実際
門をくぐると、四国でも屈指の伽藍がそろった境内が広がる。正面に建つのが国宝の本堂。正安2年(1300年)の建立で、桁行五間、梁間五間、一重、寄棟造、向拝三間、本瓦葺。大正13年(1924年)に国の保護対象となり、昭和30年(1955年)6月22日に国宝に指定された。天保13年から14年(1842年から1843年)の修理で外観が江戸風に改められていたが、昭和30年の解体修理によって旧規に復されている。厨子3基と棟木の一部が附として指定に含まれる。さらに大師堂、十王堂、大日堂、宝蔵、鐘楼、大門、冠木門の7棟が、平成26年(2014年)12月に登録有形文化財となった。
左手に立つ五重塔は、周囲の田園から遠望できる目印である。現在の塔は明治43年(1910年)の再建で、住職の頼富実毅が古い塔の傷みを受けて建て直した。四国八十八ヶ所で五重塔をもつ寺は竹林寺、善通寺、志度寺とこの本山寺の4か寺だけである。
門と本堂には、ひとつの伝承がついている。16世紀後半の長宗我部氏の侵攻で讃岐の寺院建築の多くが焼けたが、この寺に攻め入った兵は、本堂内陣の厨子を開いたところ阿弥陀如来の体から血が流れるのを見て、火を放たずに引き上げたという。発掘調査でも焼土層は確認されていない。建物が残ったことは確かで、なぜ残ったのかについては伝承として受け止めておきたい。
境内は開かれており、拝観料はかからない。門は現役の入口として、そのまま通り抜けられる。境内での撮影は通常制限されないが、堂内は別で、現地の掲示に従っていただきたい。本尊は秘仏で本堂内部は通常非公開だが、7月の土用の丑の日に行われるきゅうり加持の日には内陣に入ることができる。所在地は三豊市豊中町本山甲1445。JR予讃線の本山駅から徒歩約20分、さぬき豊中インターチェンジから車で約5分、駐車場は約30台。
混同しやすい点をひとつ。重要文化財である二王門と、平成26年に登録有形文化財となった「大門」は別の建物である。境内には冠木門もあり、門が複数あることを覚えておくと迷わない。
Q&A
- 本山寺二王門は見学できますか。拝観料はかかりますか。
- 見学できます。本山寺の境内は開かれており拝観料もかかりません。二王門は現役の入口として使われているため、そのまま通り抜けて境内に入ることができます。
- 本山寺二王門はいつ建てられ、いつ重要文化財に指定されたのですか。
- 文化庁は建立年代を室町時代中期、1393年から1466年の間としています。指定は明治37年(1904年)8月29日で、当時の古社寺保存法によるものが昭和25年の文化財保護法施行にともない重要文化財として引き継がれました。
- 本山寺へのアクセスを教えてください。
- 所在地は香川県三豊市豊中町本山甲1445です。JR予讃線の本山駅から徒歩約20分、車の場合はさぬき豊中インターチェンジから約5分。駐車場は約30台分あります。
- 本山寺の本堂内部は拝観できますか。
- 通常は非公開です。本尊の馬頭観世音菩薩像は秘仏で、本堂内部は普段閉じられています。7月の土用の丑の日に行われるきゅうり加持の日には内陣に入ることができます。
- 本山寺二王門のほかに境内で見るべきものは何ですか。
- 正安2年(1300年)建立の本堂は国宝です。明治43年再建の五重塔は、四国八十八ヶ所で五重塔をもつ4か寺の一つ。大師堂、十王堂、鐘楼、大門など7棟は平成26年に登録有形文化財となっています。
基本情報
| 名称 | 本山寺二王門(もとやまじにおうもん) |
|---|---|
| 所在地 | 香川県三豊市豊中町本山(寺の住所は豊中町本山甲1445) |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物)/指定番号 00331 |
| 指定年 | 明治37年(1904年)8月29日 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 三間一戸八脚門、切妻造、本瓦葺/室町中期(1393年から1466年) |
| 所有者 | 本山寺 |
| 公開状況 | 境内は開放、拝観料なし。二王門は入口として通り抜け可能 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 本山寺二王門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3304
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 本山寺本堂(国宝)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3305
- 文化遺産オンライン — 本山寺二王門
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/148501
- 三豊市 — 四国八十八ヶ所霊場第70番札所本山寺
- https://www.city.mitoyo.lg.jp/kakuka/seisaku/sangyo/14_1/2/2510.html
- 四国八十八ヶ所霊場会 — 七宝山 持宝院 本山寺
- https://88shikokuhenro.jp/70motoyamaji/
最終更新日: 2026.08.09