参拝者が正面から向き合う拝の空間

今宮神社では社殿そのものが境内北方に控え、参拝者が実際に正面から向き合うのがこの一群である。本殿前に幣殿を建て、その前面に拝所を構え、幣殿の左右に廻廊をのばす。いずれも明治35年(1902)の建築で、明治29年の火災後に再建された本殿と同時期にあたる。

幣殿は切妻造の妻入で、正面には向唐破風造の拝所を据える。幣殿からは左右に廻廊がのびる。

造作と装飾

全体が円柱で建つ。幣殿では柱を絵様虹梁で繋ぎ、その上に大斗と実肘木を載せる。廻廊は舟肘木で桁を受け、前面の柱間に吹寄菱欄間を入れる。

もっとも目を引くのが拝所の妻壁で、雲紋の透彫が施され、抑制のきいた建物のなかで装飾性を一段高めている。拝礼の前に足を止めて見上げたい部分である。

価値と登録

この一群は平成30年(2018)3月27日、「造形の規範となっているもの」の基準で登録有形文化財となった。本殿とあわせ、明治後期の再建になる一体的に計画された拝の正面を構成している。

5月上旬の今宮祭では、三基の神輿がこの拝の空間へ上げられる「神輿出し」が行われる。幣殿は日々の拝礼の場であると同時に、祭礼の年中行事を支える場でもある。

Q&A

Qこの文化財は具体的に何?
A本社の拝の正面を構成する建物群で、幣殿・その前の向唐破風の拝所・左右にのびる廻廊からなる。いずれも明治35年(1902)の建築。
Qもっとも特徴的な部分は?
A拝所の妻壁に施された雲紋の透彫。あわせて向唐破風の拝所、廻廊の吹寄菱欄間も見どころとなる。
Q本殿はなぜこの建物ではない?
A本殿は背後、境内北端に建つ。参拝者は前面のこの拝所から拝礼するため、本殿と一体で捉えるとわかりやすい。
Q年中行事はある?
A5月上旬の今宮祭では、三基の神輿をこの空間へ上げる「神輿出し」が行われる。

基本データ

名称今宮神社幣殿・拝所・廻廊
所在地京都府京都市北区紫野今宮町21
指定区分登録有形文化財(建造物)/平成30年(2018)3月27日登録
登録番号26-531
年代明治35年(1902)
員数・構造1棟/木造平屋建、銅板葺、建築面積約65㎡
所有者宗教法人 今宮神社
交通市バス「今宮神社前」下車すぐ/「船岡山」下車 徒歩約7分
公開境内自由。参拝はこの拝所から行う

参考文献

国指定文化財等データベース — 今宮神社幣殿・拝所・廻廊
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012183
紫野 今宮神社 公式サイト — 境内
http://www.imamiyajinja.org/guide/
京都十六社朱印めぐり — 今宮神社
https://kyoto-16sha.jp/imamiyajinja/

最終更新日: 2026.07.02