火災を経て再建された本社の社殿

今宮神社は船岡山の北、京都市北区紫野に鎮座する。長保3年(1001)に疫病鎮めの御霊会に際して三柱を祀ったことを創祀と伝えるが、現在の本殿は社そのものよりずっと新しい。明治29年(1896)の火災で本社殿を焼失し、明治35年(1902)に再建されたのが今日の本殿である。

本殿は境内北端に位置し、社の母体となった疫神社本殿と並んで建つ。祀られるのは大己貴命・事代主命・奇稲田姫命の三柱で、出雲系の神々とのつながりを示す配神となっている。

建築の見どころ

桁行三間、梁間二間の木造平屋建で、屋根は切妻造の銅板葺。正面には一間の向拝が張り出す。四周には榑縁を廻らせ、両端を脇障子で仕切る。

正面の外陣には板唐戸と蔀を構える。向拝は間口と奥行、そしてけらばを広めにとり、屋根がのびやかに張り出すよう仕立てられている。伝統的な社殿形式を守りながら、均整のとれた明治期社殿らしい優美さを備える。

登録の理由と価値

本殿は平成30年(2018)3月27日、「造形の規範となっているもの」の基準により登録有形文化財となった。古さそのものより、比例と細部の質の高さが評価された登録である。

前面の幣殿・拝所・廻廊、背後の築地塀とあわせて読むと、近世以来の様式を踏まえつつ当時の材料と技術で社殿域を再建した、明治後期の京都の造営の姿がよく見えてくる。

参拝について

境内は自由に参拝できる。本殿へは前面の幣殿・拝所を通して拝礼する形で、社殿そのものは参道側から眺める。朝方は静かなことが多く、春のやすらい祭や東門前に並ぶあぶり餅の二軒でも知られる。

Q&A

Q現在の本殿はいつのもの?
A現在の本殿は明治35年(1902)の再建で、明治29年(1896)の火災で失われた社殿に代わるもの。社の創祀は長保3年(1001)と伝わる。
Q祀られている神は?
A本殿には大己貴命・事代主命・奇稲田姫命の三柱を祀る。隣接する疫神社は、社の母体となった疫神を祀る古い社である。
Q本殿の中に入れる?
A内部には入れない。参拝は前面の幣殿・拝所から行い、社殿は参道側から拝する。境内自体は自由に参拝できる。
Qこの神社は何で知られる?
A京都三大奇祭の一つに数えられる春のやすらい祭、そして八百屋の娘から将軍の生母となった桂昌院にちなむ開運・良縁の信仰で知られる。

基本データ

名称今宮神社本殿
所在地京都府京都市北区紫野今宮町21
指定区分登録有形文化財(建造物)/平成30年(2018)3月27日登録
登録番号26-530
年代明治35年(1902)
員数・構造1棟/木造平屋建、銅板葺、建築面積約44㎡
所有者宗教法人 今宮神社
交通市バス「今宮神社前」下車すぐ/「船岡山」下車 徒歩約7分
公開境内自由。社殿は参道側から拝観

参考文献

国指定文化財等データベース — 今宮神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012182
紫野 今宮神社 公式サイト — 由緒
http://www.imamiyajinja.org/about/
京都十六社朱印めぐり — 今宮神社
https://kyoto-16sha.jp/imamiyajinja/

最終更新日: 2026.07.02