パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)とは

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)は、京都府京都市東山区粟田口三条坊町にある古美術商・山中商会の京都支店の跡で、明治37年(1904年)の開店時に建てられた和館、大正9年(1920年)の洋館、門の3件が平成15年(2003年)に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「ぱびりおんこーと(きゅうやまなかごうめいがいしゃびじゅつかん)」。知恩院や青蓮院へ通じる神宮道に面しており、運営会社は所在を「青蓮院前」と案内している。所有者は株式会社京都山中商会で、建物はいま結婚式場や貸会場、カフェとして使われている。

3件の登録番号は26-0158(洋館)、26-0159(和館)、26-0160(門)の連番で、いずれも平成15年(2003年)12月1日に登録有形文化財となった。登録基準は棟ごとに違い、洋館は「造形の規範となっているもの」、和館は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、門は「再現することが容易でないもの」とされている。京都市も「京都を彩る建物や庭園」の制度でこの建物群を選び、認定している(認定番号第190号)。

山中商会の京都支店としての歩み

京都市の解説によると、パビリオンコートは古美術商の山中吉郎兵衛が興した山中吉郎兵衛商店の京都支店として使われた建物である。運営会社の年表では、吉郎兵衛が大阪の北浜に古美術の店を開いたのが明治15年(1882年)。明治27年(1894年)には山中定次郎らがニューヨークに渡って店を構え、山中商会は日本や中国の美術品を欧米の収集家や美術館に売る商社として名を広めた。

京都支店が店を開いたのは明治37年(1904年)である。京都市によれば、当初は木造の本館と2棟の陳列・作業棟があり、本館は残っていない。陳列・作業棟のうち1棟が、いまの和館にあたる。

運営会社の年表は、大正5年(1916年)に京都支店が山中合名会社として独立したと記す。名称にある「旧山中合名会社美術館」は、この時代の社名に由来する。大正9年(1920年)には、収蔵庫の役目を兼ねた洋風の陳列館が加わった。これがいまの洋館である。

洋館の外観は昭和11年(1936年)に改修され、和館は昭和42年(1967年)に敷地のなかで移築された。翌昭和43年(1968年)、古美術の販売部門を引き継いで株式会社京都山中商会が設立される。平成4年(1992年)からは「パビリオンコート」の名で貸会場の営業を本格的に始めた。門は平成14年(2002年)にいまの位置へ移され、その翌年に3件がそろって登録された。

運営会社は、英国の皇太子(のちのエドワード8世)や飛行家チャールズ・リンドバーグらがこの店を訪れたと紹介している。

パビリオンコートの3棟の配置と見て回る順序

神宮道から見ると、まず平屋の和館の正面と、その脇に立つ小さな門が目に入る。和館は瓦屋根の木造平屋で、窓の上に菱形の格子をめぐらせた外観が、通りに向けた店の顔になっている。門は寺院などの古材を寄せて組んだ腕木門で、間口は2.0メートルしかない。

洋館は通りから奥まった位置に建つ、煉瓦造の地上2階・地下1階の建物である。和館がもとは陳列と作業の場、洋館が収蔵と海外の顧客を迎える陳列の場だったことを念頭に置いて、和館から洋館へと進むとよい。明治の木造の店から大正の新しい陳列館へ、京都支店がどう姿を変えたかがたどれる。

京都市は、パビリオンコートの建物群が和風・洋風・中国風を折り混ぜた独特の意匠をもち、戦前に活躍した古美術商の陳列施設を伝えるものとして、近代京都の歴史の一面を示す貴重な建築だと評価している。

パビリオンコートの見学案内(公開状況・アクセス)

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)は博物館ではなく、結婚式や演奏会、展示会などに貸し出される会場として営業している。拝観料を払って見て回る施設ではないため、建物の中に入る手段は、ロビーの一角にあるカフェ「KYOTO YAMANAKA CAFE」の利用、会場見学の予約、一般向けの演奏会などの催しへの参加に限られる。

カフェの営業は午前11時から午後5時まで(ラストオーダーは午後4時30分)で、火曜日と水曜日が定休日。土日と祝日は貸し切りの状況によって臨時休業や時間の変更があり、運営会社はインスタグラムで最新の予定を確かめるよう案内している。会場の見学はブライダルフェアのほか、結婚式以外の相談でも日時を調整して受け付けている(2026年10月2日確認)。

館内の撮影について公式の案内は見当たらない。写真を撮りたいときは、事前に電話(075-561-0931)で確かめるのが確実である。

パビリオンコートへは、地下鉄東西線の東山駅1番出口から歩いて約5分。青蓮院を目印に神宮道を進む。JR京都駅からはタクシーで約20分、地下鉄で約30分かかる。駐車場は台数が限られており、完全予約制である。

参考文献

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003679
パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)和館(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003680
パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)門(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003681
パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/194679
パビリオンコート(株式会社 京都山中商会)(京都市 京都を彩る建物や庭園)
https://kyoto-irodoru.city.kyoto.lg.jp/higashiyama/pavilion_court.html
History(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/history/
Cafe(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/cafe/
よくあるご質問(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/qa/
Access(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/access/

最終更新日: 2026.10.02

基本情報

名称パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)
所在地京都府京都市東山区粟田口三条坊町14-2
所有者株式会社京都山中商会
指定登録有形文化財 3件
座標35.00797, 135.78254