パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館とは

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館は、京都市東山区粟田口三条坊町に大正9年(1920年)に建てられた古美術品の展示・収蔵施設で、平成15年(2003年)に国の登録有形文化財に登録された。

古美術商・山中商会の京都支店(大正5年(1916年)に山中合名会社として独立)が、明治の木造の店に加えて建てた新しい陳列館である。煉瓦造の地上2階・地下1階建てで、建築面積は198平方メートル。設計は池村元之助、施工は清水組(いまの清水建設)が受け持った。

いまはパビリオンコートの会場の中心となる建物で、1階の「カメリア」、天窓のあるホール「ダイアナ」、地階の「セラー」の3室が、結婚式や演奏会に使われている。

パビリオンコート洋館が登録された理由

パビリオンコート洋館は登録番号26-0158として、平成15年(2003年)12月1日に登録有形文化財となった。登録基準は「造形の規範となっているもの」である。

文化庁の解説が着目するのは構造の組み立てだ。壁体は煉瓦を積んでつくり、床は鉄筋コンクリート造の梁とスラブで張る。煉瓦の壁とコンクリートの床を組み合わせたこの方式を、文化庁は鉄筋コンクリートを用いた初期の建築の好例と位置づけている。運営会社も、京都でもごく早い時期の鉄筋コンクリート造の建物だと説明している。

京都市は使われ方の面から評価を加えている。洋館は燃えにくい収蔵庫の役目を果たすと同時に、海外から訪れる顧客を迎えることを意図して建てられたとされる。1階・2階とも天井は折上格天井で、和風・洋風・中国風を折り混ぜた独特の意匠をもつ。室内に東洋趣味を取り入れたのは、欧米の顧客を意識したためと考えられている。

パビリオンコート洋館の見どころ

タイル貼りの外観と内側の煉瓦

外観は昭和11年(1936年)に改修され、地上階の部分はタイル貼りになった。通りの側から見えるのはこの改修後の姿である。

煉瓦造であることがはっきり分かるのは室内のほうだ。ホールのダイアナは煉瓦の壁に囲まれた部屋で、運営会社は、音響機材に頼らなくても生の音が客席に届くと案内している。

カメリアの折上格天井

1階のカメリアは約123平方メートル(13メートル×9.5メートル)。運営会社によれば、竣工時のまま残る折上格天井には、正倉院裂の復元を手がけた龍村美術織物の唐草文の絹織物が一面に張られている。部屋の中央に立つ2本の円柱には、東洋風の鳳凰と天馬の浮き彫りがある。

壁を飾るのは、部屋名の由来になった椿の手彩色銅版画で、1841年から1843年にかけて出版された椿図譜からとられたものだという。和の天井、東洋の円柱、西洋の版画が1室に同居しており、京都市のいう和洋中の折衷をもっとも分かりやすく見られる場所である。

天窓のホール「ダイアナ」と地階のセラー

ダイアナは約140平方メートル(14.5メートル×9.5メートル)、天井高3.8メートルのホールで、天井の中央に大きな天窓をとる。昼は天窓からの光、夜はシャンデリアの灯りと、時間帯で表情が変わる。吹き抜けの階段とひと続きになった開放的な部屋である。

地階のセラー(約80平方メートル)は、美術商の時代に事務所や倉庫として使われていた部屋を、英国のパブ風に改装したもの。客を迎えた上階に対し、収蔵と事務を担った建物の裏方がここにあった。

パビリオンコート洋館の見学方法

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館の内部は常時公開されていない。結婚式や演奏会、展示会の会場として貸し出されているため、中を見るには会場見学を予約するか、一般向けに開かれた演奏会などの催しに足を運ぶことになる。カメリアは玄関から段差なしで入れると運営会社は案内している。

館内の撮影について公式の案内は見当たらないので、見学を予約する際に確かめておきたい(2026年10月2日確認)。行き方と敷地全体の見学条件は、パビリオンコートのページにまとめてある。

Q&A

Qパビリオンコート洋館はいつ、誰が建てたのですか?
A大正9年(1920年)に、古美術商・山中商会の京都支店だった山中合名会社が、古美術品の展示・収蔵施設として建てました。設計は池村元之助、施工は清水組です。
Qパビリオンコート洋館はどのような構造ですか?
A煉瓦造の地上2階・地下1階建てで、建築面積は198平方メートルです。壁体は煉瓦積み、床は鉄筋コンクリート造の梁とスラブでつくられています。
Qパビリオンコート洋館の外壁はなぜタイル貼りなのですか?
A昭和11年(1936年)に外観が改修され、地上階の部分がタイル貼りになったためです。煉瓦の壁はホールのダイアナなど室内で見られます。
Qパビリオンコート洋館の天井で見ておきたいところはどこですか?
A1階カメリアの折上格天井です。運営会社によれば龍村美術織物の唐草文の絹織物が張られ、竣工時のまま残っています。ホールのダイアナでは天井中央の大きな天窓が見どころです。
Qパビリオンコート洋館の中は見学できますか?
A常時公開はされていません。会場見学の予約か、一般向けの演奏会などの催しに参加するのが中に入る方法です。撮影の可否は予約時に確認してください(2026年10月2日確認)。

基本情報

名称パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館
所在地京都府京都市東山区粟田口三条坊町14-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成15年(2003年)登録
員数1棟
寸法煉瓦造地上2階地下1階建、建築面積198平方メートル
所有者株式会社京都山中商会
公開状況内部は会場見学の予約時や催しの際に見学可

参考文献

パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003679
パビリオンコート(旧山中合名会社美術館)洋館(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/194679
パビリオンコート(株式会社 京都山中商会)(京都市 京都を彩る建物や庭園)
https://kyoto-irodoru.city.kyoto.lg.jp/higashiyama/pavilion_court.html
Space 会場(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/wedding/wedding-space/
Concert(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/concert/
History(パビリオンコート公式サイト)
https://www.pavilion-court.com/history/

最終更新日: 2026.10.02