青下ダム記念碑とは
青下ダム記念碑は、宮城県仙台市青葉区熊ヶ根の青下第1ダム右岸へ向かう取付通路の脇に据えられた石造の記念碑で、昭和9年(1934年)に建てられ、平成11年(1999年)6月7日に登録有形文化財(建造物)となった。幅14.4メートル、奥行6.9メートル、高さ2.6メートル。碑というより、平地に築かれた低い石の構築物という言い方のほうが実物に近い。
使われている石材は地元産である。仙台市水道の第一次拡張事業では、堰堤の玉石も導水隧道の坑門も、材料を近隣から集めて組み上げた。青下ダム記念碑もその延長にあり、事業の完成を記録する構築物が、事業そのものと同じ素材でできている。
正面には山羊の頭をかたどった噴水口が設けられ、そこから水が落ちる。背面には「仙台市水道拡張工事誌」と題した銘板が嵌め込まれており、顧問の茂庭忠次郎、技術部長の八島明、技師の杉本宗二郎ら、工事に携わった人々の名が刻まれている。表で水を出し、裏で名前を残す。青下ダム記念碑は、そのふたつの面をあわせ持つ。
誰が造ったかを残す
近代の土木事業は、完成すると設計者や施工者の顔が見えなくなる。堰堤は水を止め、隧道は水を運ぶが、それを誰が考え誰が積んだのかを構造物自体は語らない。青下ダム記念碑の銘板は、その匿名化に抗して置かれたものである。顧問・技術部長・技師と役職まで併記されているのは、事業が組織として動いたことを含めて記録しようとした結果だろう。
刻まれた名前のうち、茂庭忠次郎は顧問として、八島明は技術部長として、杉本宗二郎は技師としてこの事業に関わった。役職ごとに名を並べる書き方は、工事誌という題名とあわせて、この銘板が記録文書の性格を持つことを示している。
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。青下水源地に登録された8件のうち、その他工作物として扱われているのは青下ダム記念碑と青下第1ダム取水塔の二つで、記念碑のほうは水を動かす機能を持たない唯一の登録物件にあたる。それでも噴水口から水が落ちているのは、この構築物が水源地の一部であることを示す仕掛けといえる。
青下ダム記念碑の見どころ
山羊頭の噴水口が正面中央にある。動物の頭部をかたどった吐水口は西洋の泉に古くからある形式で、それが昭和初期の日本の水源地に現れているのがこの記念碑の面白さといえる。口から落ちる水は細く、音も控えめで、耳を澄ませてようやく聞こえる程度である。
幅14.4メートルという横長の寸法は、正面に立つと視界に収まりきらない。全体を一度に見るには数歩下がる必要があり、そのぶん背後の桜や藤棚も画面に入ってくる。青下ダム記念碑が置かれた広場には桜の木と藤棚があり、季節によって背景が大きく変わる。
背面へ回ると銘板が現れる。表側の華やぎとは対照的に、こちらは文字だけの面である。名前を読み上げながら歩くと、青下ダム記念碑が完成の祝いであると同時に名簿でもあることが実感できる。広場にはテーブル付きのベンチが置かれているので、腰を下ろして水音を聞きながら過ごすこともできる。
見学方法とアクセス
青下ダム記念碑は青下水源地の敷地内にあり、散策路から自由に見学できる。入場できる時間は午前9時30分から午後4時まで、料金はかからない。屋外の構築物なので、正面も背面も間近で見ることができる。
行き方は、青下ダム旧管理事務所を起点とする「歴史まんきつコース」をたどる。坂道を下るとすぐに桜と藤棚の広場に出て、その一角に青下ダム記念碑がある。往復500メートル、所要はおよそ10分。広場からさらに道を下れば青下第1ダムに至るので、休憩を挟みながら歩くとよい。散策路は舗装されていないが、この区間の勾配は緩やかである。歩行に不安がある場合、仙台市水道記念館に介助式の電動車いすが1台あり、平坦な区間で利用できる。
撮影を制限する掲示は出されていない。散策路からの撮影は差し支えない。三脚を据える場合や商用の撮影については、仙台市水道記念館(電話022-393-2188)に事前相談を勧めたい。
交通は、仙台市営バス仙台駅前発・定義行きで「大手門入口」下車、徒歩8分。JR仙山線熊ヶ根駅からは徒歩20分。車では仙台駅から約40分、仙台宮城インターチェンジから約30分。仙台市水道記念館は12月1日から3月31日まで休館するため、噴水口の水を見たい場合はその時期を避けたい。
Q&A
- 青下ダム記念碑は自由に見学できますか。
- 見学できます。青下水源地の散策路沿いの広場にあり、入場できる時間は午前9時30分から午後4時まで、料金はかかりません。正面も背面も間近で見られます。
- 青下ダム記念碑の山羊頭の噴水口とは何ですか。
- 記念碑の正面中央に設けられた吐水口で、山羊の頭をかたどっています。ここから細く水が落ちており、青下ダム記念碑の目印になっています。
- 青下ダム記念碑の背面には何が書かれていますか。
- 「仙台市水道拡張工事誌」と題した銘板が嵌め込まれ、顧問の茂庭忠次郎、技術部長の八島明、技師の杉本宗二郎ら、工事に携わった人々の名が刻まれています。
- 青下ダム記念碑の大きさはどれくらいですか。
- 幅14.4メートル、奥行6.9メートル、高さ2.6メートルの石造です。地元産の石材が使われており、縦に立つ碑ではなく横に広がる構築物です。
- 青下ダム記念碑への行き方を教えてください。
- 仙台市営バスの定義行きで「大手門入口」下車、徒歩8分。JR仙山線熊ヶ根駅からは徒歩20分です。水源地に入ったら青下ダム旧管理事務所から坂を下ると、桜と藤棚のある広場に着きます。
基本データ
| 名称 | 青下ダム記念碑(あおしただむきねんひ) |
|---|---|
| 所在地 | 宮城県仙台市青葉区熊ヶ根字大原道18地先 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成11年(1999年)6月7日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 石造、幅14.4メートル、奥行6.9メートル、高さ2.6メートル |
| 所有者 | 仙台市水道事業管理者 |
| 公開状況 | 散策路から自由に見学可(午前9時30分から午後4時、無料) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「青下ダム記念碑」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001093
- 仙台市水道局「青下水源地のご紹介」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/404.html
- 仙台市水道局「青下水源地おさんぽマップ」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/405.html
- 仙台市水道局「青下水源地と水道記念館のご利用案内」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/403.html
最終更新日: 2026.09.08