青下第1ダムとは
青下第1ダムは、宮城県仙台市青葉区熊ヶ根の青下川に築かれた水道専用の堰堤で、昭和9年(1934年)に完成し、平成11年(1999年)6月7日に登録有形文化財(建造物)となった。青下川は広瀬川の支流で、深く切れ込んだこの谷には下流から順に第1・第2・第3の三つのダムが並ぶ。青下第1ダムはその最下流にあたり、上の二基から流れ下ってきた水を最後に受け止める。
仙台で水道の給水が始まったのは大正12年(1923年)のことである。市街地が広がるにつれて水量が足りなくなり、昭和6年(1931年)から第一次拡張工事が始まった。その水源に選ばれたのが青下川で、仙台市が自ら建設したのがこの三基の水道専用ダムである。三つの貯水池を合わせた容量は約59万立方メートル。完成から90年を超えた今も現役で、ためた水は中原浄水場へ送られている。
登録台帳に記された構造は、コンクリート造の堰堤に玉石を張り、副堰堤と青下橋が附属するというもの。主堰堤は堤高13.4メートル、堤長41.8メートル。下流側に置かれた副堰堤は堤高2.4メートル、堤長25.7メートルで、堤頂を渡る青下橋は長さ43.6メートル、幅員1.8メートルある。
玉石を張るという工法
青下第1ダムの姿を決めているのは、堤体の表面をびっしりと覆う玉石である。打ち上げたコンクリートの面に川原石を張り込んでおり、越流した水は平滑な壁ではなく、無数の丸いふくらみの上を分かれながら滑り落ちていく。晴れた日の午後、白い筋が石の列に沿って幾筋も走るのはこのためだ。
この物件が登録された基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。昭和初期の地方都市が、国の補助に頼らず自前の技術陣で水源施設を組み立てた記録として評価されたと考えてよい。堰堤そのものは越流式の重力ダム、つまり水を堤体の上から溢れさせて流す型式で、ゲートや放流管に頼らない単純な構造をとる。仕組みが単純であることが、結果として長い寿命につながった。
下流側の副堰堤は、主堰堤から落ちた水が川床を掘り込むのを防ぐために置かれている。堤高2.4メートルという低さだが、これがあるおかげで本体の足元が守られてきた。主堰堤と副堰堤のあいだにできた小さな水面をのぞくと、水がいったん勢いを失い、あらためて下流へ向かう様子が見てとれる。
青下第1ダムの見どころ
いちばんの見どころは、堤頂に架かる青下橋の上である。長さ43.6メートル、幅員1.8メートルの細い桁橋で、ここに立つと越流面が真下に来る。水の落ちる音が足元から立ちのぼり、飛沫が手すりの高さまで届く日もある。橋はダムの管理のために設けられたもので、散策路の一部として歩けるようになっている。
橋の途中には、円柱状の取水塔が水面から立ち上がっている。青下第1ダム取水塔として別に登録されている構造物で、堤体と塔と橋が一体になった構成はこの水源地の特徴といえる。
堤体を斜め下から眺められる位置に回ると、玉石の並びが石垣のように見えてくる。石の大きさは漬物石ほどで、色も一様ではない。水量の少ない時期には濡れた部分と乾いた部分の境目がはっきりと出て、越流の水位が読み取れる。
青下第1ダムは昭和60年(1985年)に「近代水道百選」に選ばれている。すぐそばに建つ仙台市水道記念館では、来館者に青下第1ダムのダムカードを配布しており、希望する場合は事務室に声をかける。
見学方法とアクセス
青下第1ダムは青下水源地の敷地内にあり、散策路から自由に見学できる。入場できるのは午前9時30分から午後4時まで。堤体の内部や管理施設に立ち入ることはできないが、青下橋を渡って越流面を真上から見ることは可能である。
ダムまでの最短経路は、青下ダム旧管理事務所を起点とする「歴史まんきつコース」で、往復500メートル、所要はおよそ10分。坂を下りきったところに青下第1ダムが現れる。散策路は舗装されておらず、落ち葉や土の感触が残る道になっている。歩行に不安がある場合、仙台市水道記念館に介助式の電動車いすが1台用意されており、平坦な区間で利用できる。予約が優先されるので、あらかじめ記念館へ連絡しておくとよい。
撮影について制限を示す案内は公表されていない。屋外の散策路からの撮影は差し支えないが、三脚を据える場合や商用の撮影を考えている場合は、仙台市水道記念館(電話022-393-2188)へ事前に相談してほしい。
公共交通機関では、仙台市営バスの仙台駅前発・定義行きに乗り「大手門入口」で下車し、徒歩8分。JR仙山線を使う場合は熊ヶ根駅から徒歩20分になる。車では仙台駅からおよそ40分、仙台宮城インターチェンジからおよそ30分。冬期は仙台市水道記念館が12月1日から3月31日まで休館するため、訪問はその前後の季節を選びたい。
Q&A
- 青下第1ダムは見学できますか。入場時間と料金は?
- 青下水源地の散策路から見学できます。入場できる時間は午前9時30分から午後4時までで、料金はかかりません。隣接する仙台市水道記念館も入館無料です。
- 青下第1ダムへの行き方を教えてください。
- 仙台市営バスの仙台駅前発・定義行きで「大手門入口」下車、徒歩8分です。JR仙山線熊ヶ根駅からは徒歩20分。車の場合は仙台駅からおよそ40分、仙台宮城インターチェンジからおよそ30分かかります。
- 青下第1ダムはいつ登録有形文化財になったのですか。
- 平成11年(1999年)6月7日の登録です。この物件の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。青下水源地では同じ日に8件の建造物が登録されました。
- 青下第1ダムは今も使われているのですか。
- 現役の水道専用ダムです。青下川の水は青下第1ダムから取水され、導水隧道を通って中原浄水場へ送られ、仙台市中心部の一部に配られています。
- 青下第1ダムでダムカードはもらえますか。
- ダム本体では配布していませんが、同じ敷地内の仙台市水道記念館を訪ねると青下第1ダムのダムカードを受け取れます。事務室で申し出てください。記念館は12月1日から3月31日まで休館します。
基本データ
| 名称 | 青下第1ダム(あおしただいいちだむ) |
|---|---|
| 所在地 | 宮城県仙台市青葉区熊ヶ根字大原道17-2地先 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成11年(1999年)6月7日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 主堰堤 堤高13.4メートル・堤長41.8メートル/副堰堤 堤高2.4メートル・堤長25.7メートル/青下橋 長さ43.6メートル・幅員1.8メートル |
| 所有者 | 仙台市水道事業管理者 |
| 公開状況 | 青下水源地の散策路から見学可(午前9時30分から午後4時、無料)。堤体内部は非公開 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「青下第1ダム」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001086
- 仙台市水道局「青下水源地のご紹介」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/404.html
- 仙台市水道局「青下水源地おさんぽマップ」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/405.html
- 仙台市水道局「青下水源地と水道記念館のご利用案内」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/soshiki/somu-eigyo/koho/7/403.html
- 仙台市水道局「水源となるダム」
- https://www.suidou.city.sendai.jp/jigyo/suigen-shisetsu-suishistsu/syuyoshisetsu/625.html
最終更新日: 2026.09.08