松谷家住宅砂糖蔵 繁栄を映す長大な商品蔵

明治期の地方において砂糖は貴重な商品であり、大崎市古川の松谷家も食品を扱う商いの一環としてこれを商った。その在庫を納めた建物が、屋敷の西辺にいまも残る砂糖蔵である。敷地内八棟の登録有形文化財の一棟にあたる。

大豆蔵の南隣に南北棟で建ち、建立は明治前期、一八六八年から八二年頃。置屋根形式の土蔵造二階建で、屋根は鋼板葺、建築面積は約五十七平方メートル。最も目を引くのはその長さで、桁行はおよそ十二メートルに及ぶ。蔵としては長大で、当家が動かした商品の量をそのまま物のかたちに表している。

正面の造作

登録は平成二十七年八月四日、他の松谷家の建物とともに、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」による。置屋根形式をとり、東正面には彫刻を施した腕木を張り出して庇を受ける。出入りの面を無地の壁とせず、彫りを加えた意図的な表情としている。

規模と造作は同じことを告げる。単一の高価な商品のために十二メートルの蔵を構えることは相応の商いの証であり、当家はそれを彫刻で装う道を選んだ。

見どころ

注目したい細部が二つある。一つは東面の戸口で、砂糖が出入りした実用の入口である。もう一つは二階に穿たれた木瓜形の窓二所で、日本の紋様や意匠にしばしば現れる瓜を象った輪郭をもつ。漆喰壁に開けたこの形の窓は、採光と通風という実務を意匠の見せ場へと転じている。

長い桁行、彫刻を施した腕木、木瓜形の窓が相まって、砂糖蔵は敷地の蔵群の中で最も主張の強い一棟となっている。個人住宅の一部のため非公開だが、その長さと街路に向く細部は周辺の道から読み取れる。

Q&A

Q砂糖蔵には何を納めたのか。
A松谷家が商った食品のうち砂糖を納めた。名称のとおり砂糖の商品蔵で、その在庫を収めた建物である。
Qなぜこれほど長いのか。
A桁行が約十二メートルに及び、蔵としては長大である。扱った商品の量を反映し、商いの繁栄を示している。
Q木瓜形の窓とは何か。
A二階に開く二所の窓で、瓜を象った丸みのある輪郭をもつ。通風と採光を兼ねつつ、装飾的な形を与えている。
Q見学できるか。
A個人住宅の一部のため非公開である。外観は周辺の街路からうかがえる。

基本情報

名称松谷家住宅砂糖蔵(まつやけじゅうたくさとうぐら)
所在地宮城県大崎市古川七日町15-1
指定区分登録有形文化財(平成27年8月4日登録)
登録番号04-0106
員数1棟
構造土蔵造2階建、鋼板葺、建築面積約57㎡
年代明治前期(1868~1882)/平成26年改修
公開状況個人住宅のため非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 松谷家住宅砂糖蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010544
大崎市 — 国登録文化財
https://www.city.osaki.miyagi.jp/shisei/soshikikarasagasu/kyoikuiinkaijimukyoku/bunkazaika/4/1/3402.html
松谷家住宅 — ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/松谷家住宅

最終更新日: 2026.07.02