遊佐家住宅(鳴子温泉馬場)―温泉地の農家に残る6棟の屋敷構え

遊佐家住宅(鳴子温泉馬場)は、宮城県大崎市鳴子温泉字馬場にある農家の屋敷で、明治10年代(1877年から1886年)の主屋と明治から昭和中期の付属屋5棟からなり、平成10年(1998年)12月11日に6棟が国の登録有形文化財となった。

登録された6棟は、主屋・板倉・外風呂・味噌部屋・材料小屋・室である。登録番号は04-0005から04-0010までの連番で、第15回の登録(平成10年(1998年)12月25日告示)に一括して加えられた。6棟とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録されている。

文化庁の国指定文化財等データベースによる建築年代は、主屋が明治10年代、板倉が棟札にもとづき明治18年(1885年)、味噌部屋が大正期、室が昭和10年(1935年)頃、材料小屋が昭和20年(1945年)頃である。外風呂はデータベースで昭和11年(1936年)頃とされる一方、大崎市の一覧では明治11年(1878年)頃とされており、資料によって半世紀以上の開きがある。

屋敷の構えと棟の配置

中心は、広い土間に厩を取り込んだ大型の主屋である。文化庁の解説は、広い土間と厩をもつ平面を、かつて馬の産地であったこの地方の民家に共通する特色としている。

主屋の東面には温泉を引いた外風呂が付き、西側には味噌部屋が建つ。材料小屋は味噌部屋の南に並び、そのさらに東、地面の段差を利用した場所に石積みの室が口を開けている。板倉は敷地の東側に離れて建つ。

温泉の湯を使う風呂、味噌の仕込み、薪や資材の置き場、漬物野菜の貯蔵と、付属屋の1棟1棟が生活の具体的な場面に対応している。規模の小さな建物まで含めて登録されたことで、温泉地の農家の暮らしが屋敷単位で記録された形になっている。

見学とアクセス

遊佐家住宅(鳴子温泉馬場)は個人の屋敷である。文化庁のデータベースに所有者の記載はなく、文化庁と大崎市の資料には一般公開日や見学受付の案内が見当たらない。敷地は私有地なので、無断で立ち入ることは控えたい。

最寄り駅はJR陸羽東線の鳴子御殿湯駅で、地図上の直線距離でおよそ1キロの位置にある。鳴子温泉の中心にある鳴子温泉駅からは、直線でおよそ2.6キロ離れる。

同じ鳴子温泉の要害にも、平成9年(1997年)に登録された遊佐家住宅主屋がある。名称は同じだが別の登録物件で、この屋敷からは南東へ直線でおよそ1キロ離れている。

各棟の写真は、文化庁のデータベースと文化遺産オンラインに掲載されている。市内の文化財についての問い合わせ先は、大崎市教育委員会文化財課(大崎市古川七日町、電話0229-23-2214)である。

参考文献

国登録文化財(大崎市)
https://www.city.osaki.miyagi.jp/shisei/soshikikarasagasu/kyoikuiinkaijimukyoku/bunkazaika/4/3402.html
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅主屋」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000925
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅板倉」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000926
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅外風呂」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000927
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅味噌部屋」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000928
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅材料小屋」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000929
国指定文化財等データベース「遊佐家住宅室」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000930
文化遺産オンライン「遊佐家住宅主屋」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/147535

最終更新日: 2026.09.25

基本情報

名称遊佐家住宅(鳴子温泉馬場)
所在地宮城県大崎市鳴子温泉字馬場102
指定登録有形文化財 6件
座標38.73739, 140.74468