油津赤レンガ館とは
油津赤レンガ館(旧河野宗泰家倉庫)は、宮崎県日南市油津1丁目に大正11年(1922年)に建てられた煉瓦造2階建の倉庫で、平成10年(1998年)10月9日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あぶらつあかれんがかん(きゅうかわのむねやすけそうこ)」、登録番号は45-0005である。
建物は堀川運河の東、中町通りに北面して建つ。屋根は瓦葺で、建築面積は132平方メートル。宮崎県の観光サイトと日南市観光協会によれば、飫肥杉の取引で財を成した油津の商人河野宗四郎の四男、宗人(むねと)が、主屋に2階を増築するのと同じ時期に建てたもので、使われた煉瓦はおよそ22万個にのぼる。なお、日南市のホームページは建築を大正10年(1921年)としており、文化庁の記録(大正11年)と1年の差がある。
同じ屋敷の主屋も「旧河野宗泰家主屋及び炊事場」として同じ日に登録されている。主屋は町の中心を東西に通る下町通りに南面し、倉庫は反対側の中町通りに面するので、2棟は通りを背中合わせにした配置になる。
登録の理由と価値
油津赤レンガ館は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、港と運河の水運で栄えた町の姿をよく示す建物であることを評価の中心に置く。油津は堀川運河と港を結ぶ水運で栄えた町で、この倉も飫肥杉の取引で財を成した商家が建てたものである。木造の町家が並ぶ通りに2階建の煉瓦の壁が立ち上がる景色は、そうした時代の繁栄を具体的に伝えている。
造りの面では、文化庁が出入口の門構えの意匠に工夫があることを挙げる。宮崎県の観光サイトはさらに、内部中央のアーチ天井の通路や各室入口上部のアーチなど洋風の意匠が随所に取り入れられ、大正期の煉瓦造建築を知ることのできる建物だと述べている。
建物の来歴も、この倉庫の価値を形づくっている。日南市観光協会によれば、油津赤レンガ館が競売にかけられることになった際、取り壊しを案じた地元の人々が行政に支援を求めたものの財政上の理由で断られ、1人100万円を30人から集めて自ら買い取る計画を立てた。必要な資金は3,000万円で、商店主や僧侶、市議会議員など31人が出資して「合名会社油津赤レンガ館」を設立し、建物を守った。その後、建物は市に寄付されている。文化庁の解説も、現在は地域文化活動の拠点として再利用されていると記す。
見どころ
まず外から、中町通り側の正面を見たい。煉瓦の壁の出入口まわりに設けた門構えは、文化庁が特に意匠の工夫として挙げた部分である。屋根が瓦葺である点も、洋風の煉瓦壁と和の屋根を組み合わせた大正期の倉らしい取り合わせとして目にとまる。
中に入ると、建物の中央を奥へ抜ける通路の天井がアーチ形に組まれている。通路を挟んで左右に1室ずつがあり、内部が2室に分かれるという文化庁の記録どおりの構成が、そのまま体で分かる。各室の入口の上部もアーチ状に造られているので、通路から左右の入口を見比べるとよい。
1階には、堀川橋の周辺で撮影された映画「男はつらいよ 寅次郎の青春」の写真や出演者のサイン、シリーズのポスターなども展示されている(日南市観光協会)。かつて堀川資料館にあった資料で、この界隈の水辺の景色が映画の舞台になったことを伝えている。
見学方法
油津赤レンガ館は日南市の施設として公開されており、1階は観光・歴史案内の休憩室と多目的室として無料で開放されている。2階の多目的交流スペースも、個人での一時利用や休憩、見学は無料である。個人で利用する場合は1階の受付で利用受付簿に記入する。2階を貸し切る場合は1時間280円(冷暖房を使うときは別に1時間100円)で、利用日の1週間前までに申請が要る。2階が貸し切り中のときは個人利用ができない。
開館時間について、日南市のホームページは午前9時から午後6時としている。一方、日南市観光協会のページは平日を午前10時から午後5時、土日祝日を午前9時から午後5時と案内しており、両者が一致しない。訪ねる前に油津赤レンガ館(電話0987-27-3600)か日南市観光・クルーズ振興課(電話0987-27-3315)に確かめるのが確実である。
場所はJR日南線の油津駅から徒歩約15分(宮崎県の観光サイト)。宮崎県の観光サイトには多目的トイレの写真が載り、Wi-Fiが使える施設として分類されている。撮影の可否について公的な案内は見当たらないので、館内では受付で確かめたい。
Q&A
- 油津赤レンガ館の入館料と開館時間は?
- 見学は無料です。開館時間は日南市のホームページでは午前9時から午後6時、日南市観光協会のページでは平日が午前10時から午後5時、土日祝日が午前9時から午後5時となっており、案内が分かれています。
- 油津赤レンガ館はいつ、誰が建てたのですか?
- 文化庁の記録では大正11年(1922年)の建築です。飫肥杉の商いで栄えた河野宗四郎の四男、宗人が主屋の2階増築と同じ時期に建てたと伝えられます。日南市のホームページは大正10年(1921年)としています。
- 油津赤レンガ館が登録有形文化財になったのはいつですか?
- 平成10年(1998年)10月9日に国の登録有形文化財に登録されました。同じ屋敷の旧河野宗泰家主屋及び炊事場も同じ日に登録されています。
- 油津赤レンガ館の2階は借りられますか?
- 借りられます。2階の多目的交流スペースは1時間280円(冷暖房使用時は別に1時間100円)で貸し切りでき、利用日の1週間前までに申請書を出します。個人での見学や休憩は無料です。
- 油津赤レンガ館へのアクセスは?
- JR日南線の油津駅から徒歩約15分です。建物は堀川運河の東、中町通りに面しています。
基本情報
| 名称 | 油津赤レンガ館(旧河野宗泰家倉庫) |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県日南市油津1-9-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成10年(1998年)10月9日登録(登録番号45-0005) |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 煉瓦造2階建、瓦葺、建築面積132平方メートル |
| 所有者 | 合名会社油津赤レンガ館(文化庁の登録記録による。その後日南市に寄付) |
| 公開状況 | 公開(無料)。開館は午前9時から午後6時(日南市)、平日午前10時から午後5時・土日祝日午前9時から午後5時(日南市観光協会) |
参考文献
- 油津赤レンガ館(旧河野宗泰家倉庫)(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000922
- 旧河野宗泰家主屋及び炊事場(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000923
- 油津赤レンガ館(旧河野宗泰家倉庫)(文化遺産オンライン)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/166232
- 油津赤レンガ館(日南市ホームページ)
- https://www.city.nichinan.lg.jp/soshikikarasagasu/kanko_cruiseka/1/1/799.html
- 油津赤レンガ館(日南市観光協会)
- https://www.kankou-nichinan.jp/tourisms/314/
- 油津赤レンガ館(旧河野宗泰家倉庫)(宮崎県公式観光サイト みやざき観光ナビ)
- https://www.kanko-miyazaki.jp/spot/2120
最終更新日: 2026.10.02