神武天皇を祀る宮崎の大社
宮崎神宮は、宮崎県宮崎市神宮にある神社で、明治40年(1907年)に完成した社殿群と明治42年(1909年)建築の徴古館をあわせた11件が、平成22年(2010年)1月15日に登録有形文化財に登録されている。
祭神は神日本磐余彦天皇、すなわち初代とされる神武天皇である。相殿には父君の鵜鷀草葺不合尊と母君の玉依姫命が祀られる。地元では古くから「神武さま」と呼ばれ、この呼び名は祭神そのものと、秋の大祭である御神幸祭の両方を指す言葉として使われてきた。
社伝によれば、創建は神武天皇の孫にあたる健磐龍命が九州の長官に就いた際、祖父の遺徳をたたえて鎮祭したことに始まると伝えられる。明治以前は神武天皇宮あるいは神武天皇社と呼ばれ、明治6年に宮﨑神社、明治11年に宮﨑宮、大正2年に宮﨑神宮と改称された。公式には﨑の字を用いるが、一般には宮崎神宮と書かれることが多い。
足掛け8年の大造営
現在の宮崎神宮の社殿は、明治期の大規模な造営によるものである。明治31年(1898年)、二条基弘、島津忠亮、高木兼寛らを中心に神武天皇御降誕大祭会が組織され、翌明治32年(1899年)9月の神武天皇御降誕二千六百年大祭を機に、社格に見合う規模へ境内を整えようという動きが起こった。皇室からの下賜金と政府の支出、そして全国規模の募財によって工事は進み、足掛け8年を経て明治40年(1907年)に竣工した。
設計を担ったのは伊東忠太である。東洋の古建築を調査し、日本建築史を学問として成り立たせた人物で、明治神宮や靖國神社神門の設計も手がけている。宮崎では復古的で端正な社殿形式を選び、南北の軸に対して左右対称となる配置を敷いた。用材には樹齢百年を超える地元の狭野杉が充てられている。
昭和15年(1940年)には、神武天皇ご即位から二千六百年にあたる節目として境内地の拡張工事が行われ、このとき徴古館の改築も進められた。宮崎神宮の所有する境内地は現在、約25ヘクタールに及ぶ。
境内の配置と歩く順序
宮崎神宮の登録建造物は、参道の南北軸に沿ってほぼ一列に並ぶ。南から順にたどるのが分かりやすい。
最初に立つのが正門で、間口5.5メートルの四脚門である。その左右から東西へ延びるのが玉垣、総延長119メートルの屋根付きの垣で、門の手前に前庭を囲む。門をくぐると拝所があり、四方に壁を持たない吹放ちの建物で、参拝者が拝礼するのはここになる。
拝所の北に幣殿が横たわる。桁行7間の東西棟で、この境内でもっとも規模の大きい社殿である。幣殿の北面からは渡殿が伸び、神殿へとつながる。神殿は最奥に位置し、背後には船塚古墳が控える。その神殿を半八角形に囲むのが透間垣で、延長88メートル、腰板壁の上に連子窓を並べて透かす造りになっている。
透間垣の起点となる神饌所と御料屋は、囲いの一部を兼ねる位置に建つ。石柵はさらに外側を画す。以上10件が明治40年(1907年)の造営によるもので、これらとは別に、神門の東南、木立のなかに徴古館が建つ。外壁全体を海鼠壁で覆った木造2階建で、明治42年(1909年)の建築である。
登録有形文化財11件
平成22年(2010年)1月15日に登録され、告示は同年2月3日。登録番号は45-0056から45-0066までが充てられている。
- 宮崎神宮神殿(45-0056)
- 宮崎神宮幣殿(45-0057)
- 宮崎神宮渡殿(45-0058)
- 宮崎神宮神饌所(45-0059)
- 宮崎神宮御料屋(45-0060)
- 宮崎神宮透間垣(45-0061)
- 宮崎神宮拝所(45-0062)
- 宮崎神宮正門(45-0063)
- 宮崎神宮玉垣(45-0064)
- 宮崎神宮石柵(45-0065)
- 宮崎神宮徴古館(45-0066)
登録基準は、神殿が造形の規範となっているもの、それ以外の10件が国土の歴史的景観に寄与しているものである。
例祭と御神幸祭
宮崎神宮の例祭は10月26日に行われる。祭神が日向国を発った日を現在の暦に当てると10月27日となることから、その前日が例祭日と定められたと伝えられる。
例祭に続く土曜日と日曜日には御神幸祭が斎行される。これが「神武さま」と呼ばれる県下最大の祭で、神輿の行列が市街へ出る。隊列を組む現在の形が固まったのは明治42年頃からで、流鏑馬武者行列やシャンシャン馬の行列などの神賑行事が加わり、今日の規模になった。この期間は境内も参道も混み合うため、建造物を落ち着いて見たい場合は日程を外すのが無難である。
ほかに祈年祭が2月17日、新嘗祭が11月23日に行われる。
参拝と見学の条件
宮崎神宮は開かれた境内で、参拝に料金はかからない。各所の開閉時刻は公式に定められている。
- 神門 開門 午前5時30分/閉門 午後5時30分(通年)
- 幣殿(御社殿) 開殿 午前6時/閉殿 午後5時30分(通年)
- 神符守札授与所 午前8時から午後5時まで
- ご祈願の受付 午前9時から午後4時30分まで(正月と七五三の時期は変更あり)
登録建造物のうち、内部に立ち入れるのは吹放ちの拝所だけである。幣殿と神殿の内部は非公開で、透間垣に囲われた区域にも入れない。徴古館は現在、来館者を迎える施設としては運営されておらず、外観を見る建物となっている。境内の撮影について公式サイトに制限の記載はないが、祭典やご祈願の最中は控えるのが望ましい。
宮崎神宮へのアクセス
鉄道ではJR日豊本線の宮崎神宮駅が最寄りで、そこから徒歩約10分。バスは宮崎駅からデパート前を経由する路線と、宮交シティから出る路線があり、いずれも「宮崎神宮」停留所で下車して徒歩約5分である。
タクシーの場合、JR宮崎駅から約10分、宮崎空港から約30分。宮崎空港からは空港バスで宮交シティまたは宮崎駅へ出る経路もある。車で訪れる場合は境内西側の西神苑駐車場を利用する。
所在地は宮崎県宮崎市神宮2丁目で、文化庁の登録上の表記は宮崎市神宮2-485-1他となっている。
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 宮崎神宮神殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008076
- 文化庁 国指定文化財等データベース 宮崎神宮幣殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008077
- 文化庁 国指定文化財等データベース 宮崎神宮徴古館
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008086
- 宮崎神宮 公式サイト 宮﨑神宮の由来
- https://miyazakijingu.or.jp/publics/index/18/
- 宮崎神宮 公式サイト 宮﨑神宮とは(ご祭神)
- https://miyazakijingu.or.jp/publics/index/3/
- 宮崎神宮 公式サイト 例祭・御神幸祭(神武さま)
- https://miyazakijingu.or.jp/publics/index/20/
- 宮崎神宮 公式サイト 各所開閉時刻
- https://miyazakijingu.or.jp/publics/index/25/
- 宮崎神宮 公式サイト 交通のご案内
- https://miyazakijingu.or.jp/publics/index/4/
- 宮崎市 国登録有形文化財
- https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/culture/art/626.html
最終更新日: 2026.09.14
基本情報
| 名称 | 宮崎神宮 |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県宮崎市神宮2-485-1他 |
| 指定 | 登録有形文化財 11件 |
| 座標 | 31.93817, 131.42354 |