碧雲荘(旧熊本家住宅)とは

碧雲荘(旧熊本家住宅)は、長崎県壱岐市石田町にある昭和16年(1941年)完成の実業家熊本利平の本宅で、主屋・門・石垣の3件が平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録された(文化庁)。読みは「へきうんそう(きゅうくまもとけじゅうたく)」。登録番号は42-0111から42-0113までの連番で、3件とも壱岐市が所有する。

壱岐島の南東部、印通寺港を見下ろす高台に建つ(長崎県)。九州本土と対馬のあいだに浮かぶ島の玄関口のひとつで、屋敷の前には壱岐水道の海が開けている。

熊本利平と屋敷の造営

建て主の熊本利平(1876〜1968年)について、壱岐市は次のように紹介している。24歳で朝鮮半島に渡り、同郷の松永安左エ門を介して財界人から資金の援助を受け、約4,000町歩の土地を買って農場を経営した。帰郷後は印通寺の防波堤の築造、石田小学校の敷地と講堂の寄贈、壱岐高等女学校への寄附など、島の産業・教育・社会基盤の整備に力を尽くしたという(壱岐市議会会議録)。

工事は石垣から始まった。長崎県によれば、昭和13年(1938年)秋ごろに地均しに着手し、石積みは翌昭和14年(1939年)1月からおよそ1年をかけて仕上げた。文化庁は石垣の建造年を昭和15年(1940年)、門を昭和16年(1941年)頃、主屋を昭和16年(1941年)としている。

屋敷の構成

屋敷は海側の低い入口から高台の主屋へ、段階を踏んで上がっていく配置である。

  • 石垣:敷地南辺の東寄りに築かれた玄武岩の切石積みで、入口から東の隅へ、また斜路に沿って延びる。地番は主屋・門と異なり印通寺浦に属する(文化庁)
  • 門:南の入口から約70メートル上りきった位置、主屋の南東に建つ間口三間の腕木門(文化庁、長崎県)
  • 主屋:高台に建つ木造平屋建・入母屋造の本宅で、中庭を囲んで座敷や応接室を配する(文化庁)

文化庁は主屋を「造形の規範となっているもの」、門と石垣を「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録した。長崎県は、昭和前期の豪華な和風住宅として良好な状態を保ち、価値が高いと評価している。現在は碧雲荘の一部が石田総合福祉センターの建物と直結して使われている(長崎県)。

壱岐市は碧雲荘と、同じ敷地にある茶室の花雲亭などをあわせて「熊本利平旧宅群」と呼んでいる。花雲亭は登録の対象ではない(壱岐市議会会議録)。

見学とアクセス

壱岐市の議会答弁(令和7年(2025年)9月)によれば、主屋の外観と門・石垣は、印通寺側の裏の入口から入れば市民に限らず自由に見学できる。主屋の内部を見たい場合は石田の社会福祉協議会(石田社協)に連絡すれば、申請書なしで見学できるとされている。見学料や公開時間についての公的な案内は確認できなかった。

島外からは、佐賀県の唐津東港から印通寺港へ九州郵船のフェリーが通い、令和8年(2026年)11月からの時刻表で所要はおよそ1時間45分である。碧雲荘は印通寺港を見下ろす高台にある(長崎県)。駐車場の有無は公的な案内で確認できなかった。

参考文献

碧雲荘(旧熊本家住宅)主屋(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010239
碧雲荘(旧熊本家住宅)門(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010240
碧雲荘(旧熊本家住宅)石垣(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010241
碧雲荘(旧熊本家住宅)主屋・門・石垣(長崎県の文化財)
https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/735
令和7年壱岐市議会定例会9月会議 会議録(第3日)
https://www.city.iki.nagasaki.jp/material/files/group/23/5_3gou202509.pdf
航路・ダイヤ案内(九州郵船)
https://www.kyu-you.co.jp/route/

最終更新日: 2026.10.28

基本情報

名称碧雲荘(旧熊本家住宅)
所在地長崎県壱岐市石田町石田西触字白水1486-1ほか
所有者壱岐市
指定登録有形文化財 3件
座標33.74471, 129.75334