赤膚山元窯の敷地と窯の並び

赤膚山元窯は、奈良県奈良市赤膚町(五条山)にある赤膚焼の窯元で、江戸末期(1830〜1867年)の大型窯、昭和26年(1951年)頃の中型窯、明治後期の展示室及び旧作業場の3件が、平成19年(2007年)に登録有形文化財に登録された。読みは「あかはだやまもとがま」。窯元は代々「古瀬堯三(ふるせぎょうぞう)」の名を継いでおり、奈良市の文化財講座の資料には「八代 古瀬堯三」とある。

文化庁の解説によると、赤膚山元窯は奈良市西部の丘陵地にある。敷地の南寄りに展示室及び旧作業場が東西に棟を通して建ち、その北側の傾斜地に登り窯が南北方向に築かれている。中型窯は大型窯とほぼ並んでおり、データベースの座標では大型窯の西隣にあたる。

文化庁は展示室及び旧作業場を、住まいと窯とを結ぶ敷地の要と位置づける。住まいの側から展示室の脇を抜け、斜面の窯場へ上がっていく。赤膚山元窯の配置は、この順に歩くとつかみやすい。

赤膚焼と「中の窯」の来歴

赤膚焼の始まりは、天正年間(1573〜1592年)に大和郡山城主の豊臣秀長が尾張常滑の陶工・与九郎を招き、窯を開かせたことと伝わる。いまの赤膚焼につながる再興は18世紀後半のことで、郡山藩主の柳沢保光(堯山)が京都から陶工の治兵衛を招いた。奈良市の文化財講座の資料は、この治兵衛の窯を受け継いでいるのが赤膚山元窯(古瀬窯)だとしている。

赤膚焼の窯はその後、東の窯・中の窯・西の窯の3つに分かれた。赤膚山元窯は、このうちの中の窯がのちに名を改めたものである。奈良県の観光案内でも、窯元は「赤膚山元窯 古瀬堯三 中の窯治兵衛」の名で紹介されている。

同じ講座の資料は、赤膚山元窯の値打ちとして二つの点を挙げる。一つは、3基の登り窯が並んで残り、登り窯が小さくなっていった移り変わりをよく示していること。もう一つは、近くで採れる粘土を裏山に蓄え、敷地内の水簸場で精製し、釉薬も自家で調えるという、原料から製品までの工程を今も一つの敷地で行えることである。資料はどちらも全国的に珍しいとし、窯道具や土型、ろくろなど多くの道具も残っていると記す。

周辺は古墳時代に埴輪をつくった土師氏の里とされ、中世の西の京での土器や瓦づくりなど、焼き物の生産が長く続いてきた土地でもある。

赤膚山元窯の登録3件と大型窯の修理

赤膚山元窯の3件は平成19年(2007年)7月31日にそろって登録有形文化財に登録された。登録番号は29-0115から29-0117までの連番で、登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

  • 赤膚山元窯展示室及び旧作業場(29-0115):明治後期、昭和17年(1942年)増築。木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積215平方メートル
  • 赤膚山元窯大型窯(29-0116):江戸末期。煉瓦造の連房式登窯で、焼成室は8房。奥行18メートル、幅5.4メートル、高さ6メートル
  • 赤膚山元窯中型窯(29-0117):昭和26年(1951年)頃。煉瓦造の連房式登窯で、焼成室は5房。奥行9.7メートル、幅3.3メートル、高さ4.4メートル

2基を並べると、焼成室は8房から5房へ、奥行は18メートルから9.7メートルへと縮んでいる。講座の資料がいう登り窯の小型化は、この数字の差に表れている。3基目にあたる小型窯も同じ敷地に残るが、登録の対象には含まれていない。

大型窯は平成27年度(2015年度)に保存活用事業の対象となり、同年9月から解体修理と発掘調査が始まった。平成30年(2018年)2月には奈良市の文化財講座が赤膚山元窯大型窯を会場に開かれ、修理の経過が報告されている。令和5年(2023年)には、奈良市教育委員会と赤膚山元窯保存会が共催する講座で、赤膚山元窯の見学が行われた。

赤膚山元窯の見学と行き方

赤膚山元窯はいまも作陶を続ける窯元で、展示室及び旧作業場と登り窯を見学できる。近畿経済産業局の産業見学の案内(2015年3月更新)では、受付は火曜日から日曜日の午前9時から午後5時までで、毎月第4水曜日は休み、展示室と作業場の中は撮影できないとされている。料金がかかるのは絵付けと手びねりの体験で、所要時間は絵付けがおよそ1時間、手びねりがおよそ2時間。団体は電話かファクスで申し込む。

同じ案内には、事前に予約すれば英語を話すスタッフが対応できること、赤膚山元窯の歴史を記した英語のパンフレットがあることも書かれている。更新から年月がたっているので、営業日や体験の内容は、訪ねる前に窯元(電話0742-45-4517)へ確かめておきたい。

電車で行く場合は、近鉄奈良線の学園前駅の南口から奈良交通バスの「赤膚山」行きに乗り、約10分の終点「赤膚山」で降りて徒歩約2分である。近鉄橿原線の西ノ京駅からはバスかタクシーを使う。歩くと約4キロメートルある。車で行く場合は無料の駐車場があり、大型バス2台分の広さがある。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)赤膚山元窯大型窯
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005982
国指定文化財等データベース(文化庁)赤膚山元窯中型窯
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005983
国指定文化財等データベース(文化庁)赤膚山元窯展示室及び旧作業場
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005984
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2017 第5回 資料「赤膚山元窯の特徴・価値」(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/18287.pdf
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2017 第5回 資料「赤膚山元窯 八代 古瀬堯三」(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/18286.pdf
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2017 第5回 資料「赤膚山元窯大型窯の修復について」(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/18288.pdf
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2023 第2回 案内(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/166528.pdf
近畿経済産業局 Kansai Technical Visit Guide: Akahada-yama Motogama Pottery Gyozo Furuse
https://www.kansai.meti.go.jp/english/tvlist/kohyo/e330.html
奈良県観光[公式サイト]あをによし なら旅ネット 赤膚山元窯 古瀬堯三 中の窯治兵衛 赤膚焼絵付け体験
https://www.yamatoji.nara-kankou.or.jp/04public/03hall/01north_area/0yivb3x4u2/event/k99funs1j2/

最終更新日: 2026.10.14

基本情報

名称赤膚山元窯
所在地奈良県奈良市赤膚町1049他
指定登録有形文化財 3件
座標34.67362, 135.76417