赤膚山元窯大型窯とはどんな窯か

赤膚山元窯大型窯は、奈良県奈良市赤膚町にある赤膚焼の窯元・赤膚山元窯の煉瓦造の連房式登窯で、江戸末期(1830〜1867年)に築かれ、平成19年(2007年)7月31日に登録有形文化財に登録された。奈良市の文化財講座の資料では「大型登り窯」とも呼ばれている。

文化庁の解説によると、赤膚山元窯大型窯は敷地の北側の傾斜地を使い、南北方向に築かれている。焚き口となる胴木間が2つ連なり、その上に8房の焼成室が続いて、いちばん上に煙道を設ける。規模は奥行18メートル、幅5.4メートル、高さ6メートルで、煉瓦を積んで築いたうえ、表面を土で塗って仕上げている。

勾配は3寸、つまり水平に10進むごとに3上がる傾きで、上のほうでは緩やかになる。文化庁はこの窯を、近世にさかのぼる大規模な登窯と評している。

赤膚山元窯大型窯の登録と、修理でわかったこと

赤膚山元窯大型窯の登録番号は29-0116で、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。中型窯、展示室及び旧作業場と同じ日に登録された。

平成27年(2015年)9月に始まった解体修理と発掘調査で、赤膚山元窯大型窯が築かれてから何度も手を入れられてきたことがわかった。奈良市の講座資料によれば、煉瓦の積み直しをはじめとする改修や改造、部材の取り替えが繰り返されており、窯の形には瀬戸式と京式の両方の特徴が見られる。8室のうち4の間では、後ろ側の壁に前側より古い時期の部材が使われているという。

修復を担当した丸田勉氏(元沖縄県立芸術大学教授)の報告は、さらに踏み込んだ見方を示す。第5室と第6室がこの窯でもっとも古い部分で、焼成を重ねたために部屋全体がうねっている。第7室が本来の最後の部屋で、赤煉瓦を使った第8室は後の時代に足された可能性がある。炉床を掘ってみると少なくとも2回は全面的に作り直されており、いまの窯は3代目ではないかと推測している。

文化庁が示す「江戸末期」という年代が、こうした作り直しのどの段階にあたるのかは、公開されている資料からはわからない。

赤膚山元窯大型窯の見どころ:混ざり合う煉瓦と開いた炉口

赤膚山元窯大型窯の壁には、時期の違う煉瓦が混ざっている。奈良市の講座資料は第6室(6の間)を、さまざまな煉瓦が使われている部屋として写真で紹介している。修理で外した第1・第2室の煉瓦は再利用のために保管されており、1個が縦約17センチ、横約24センチ、奥行き約14センチ、重さは約12キロある。

丸田氏の報告では、第3室は質のよい煉瓦で組まれ、焼成の頻度が高かったため、煉瓦を守る塗り材が厚めに塗られている。第6室は炉口のアーチが大きくずれていたため、大がかりに解体して直された。第3室と第6室はどちらも、見学者が中をのぞけるよう、炉口を閉じない方針がとられた。

修復にあたっては3次元計測も行われ、土壁を塗り直してもとの姿に戻す作業が続けられた。修理の方針には、登録有形文化財として公開すること、そして実際に焼成にも使うことが掲げられている。赤膚山元窯大型窯は、見せるための遺構としてではなく、これからも火を入れる窯として直されたことになる。

赤膚山元窯大型窯を見るには

赤膚山元窯大型窯は、展示室及び旧作業場の北側の斜面にある。近畿経済産業局の見学案内(2015年)は、窯元の見学範囲に登り窯を含めている。修理の方針どおりであれば、第3室と第6室の炉口から窯の内部をのぞくことができる。

同じ案内が撮影を禁じているのは展示室と作業場の中で、登り窯については書かれていない。赤膚山元窯大型窯を撮りたいときは、受付で確かめてからにしたい。焼成の日程は公開されていないため、火の入った窯を見られるかどうかも窯元への問い合わせが必要になる。受付時間と行き方は、赤膚山元窯のページにまとめてある。

Q&A

Q赤膚山元窯大型窯はいつ築かれ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A文化庁のデータベースでは江戸末期(1830〜1867年)の築造です。平成19年(2007年)7月31日に登録有形文化財に登録され、登録番号は29-0116です。ただし修理の調査では、少なくとも2回全面的に作り直されている可能性が指摘されています。
Q赤膚山元窯大型窯の大きさと構造を教えてください。
A煉瓦造の連房式登窯で、奥行18メートル、幅5.4メートル、高さ6メートルです。2つ連なる胴木間の上に8房の焼成室が並び、最上部に煙道があります。表面は土塗りで仕上げています。
Q赤膚山元窯大型窯の勾配「3寸」とはどういう意味ですか?
A水平に10進むと3上がる傾きのことです。文化庁の解説によると、上部ではこれより緩やかな勾配に変わります。
Q赤膚山元窯大型窯の修理では何がわかりましたか?
A平成27年(2015年)9月からの解体修理と発掘調査で、煉瓦の積み直しや改造が繰り返されてきたこと、瀬戸式と京式の両方の特徴をもつことがわかりました。第5室と第6室がもっとも古く、第8室は後から足された可能性があると報告されています。
Q赤膚山元窯大型窯の中は見られますか?撮影はできますか?
A修理の方針では、第3室と第6室の炉口を閉じずに公開することになっています。撮影については、展示室と作業場の中が禁止とされているだけで、窯の記載はありません。受付で確認してください。

基本情報

名称赤膚山元窯大型窯(あかはだやまもとがまおおがたがま)
所在地奈良県奈良市赤膚町1049他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2007年7月31日登録
員数1棟
寸法煉瓦造、奥行18メートル、幅5.4メートル、高さ6メートル
所有者個人(窯元)
公開状況窯元の見学範囲として公開(受付時間は要確認)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)赤膚山元窯大型窯
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005982
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2017 第5回 資料「赤膚山元窯大型窯の修復について」(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/18288.pdf
奈良市 奈良の文化財をもっと知る講座2017 第5回 資料「赤膚山元窯 八代 古瀬堯三」(PDF)
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/18286.pdf
近畿経済産業局 Kansai Technical Visit Guide: Akahada-yama Motogama Pottery Gyozo Furuse
https://www.kansai.meti.go.jp/english/tvlist/kohyo/e330.html

最終更新日: 2026.10.14