3棟が登録された、中条の商家
荒惣は、新潟県胎内市本町28にある商家で、3棟が2017年(平成29年)10月27日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。最も古い内蔵は1751年から1830年の範囲に建てられている。
3棟は、店舗兼主屋、見世蔵、内蔵である。
文化庁は店舗兼主屋を、旧宿場町中条の中心にあり東面する、と記す。ふりがなは、あらそう、である。名称に家の字はなく、屋号がそのまま名になる。
蔵が二つあり、内と見世とで呼び分けられる
二つの蔵の名が、見せるか見せないかで分かれている。
見世蔵は、敷地北に東西棟で建ち、通りに面する2階北面は黒漆喰塗の両開の窓を三所開き、街路景観を重厚に形作る、とされる。見世は店、人に見せる所をいう。
内蔵は、敷地中央の南寄りに東西棟で南面する、とされる。正面のみ両開扉と2階に片開窓を二所設ける、とある。
一つは通りに顔を向け、一つは敷地の内に構える。名称の見世と内が、その違いを表す。
大石家住宅の内蔵は、主屋と裏ノ部屋のあいだに建つという位置からの名だった。
本件は、内と見世とが対になる。通りから見える蔵と見えない蔵とが、名で呼び分けられることになる。
扉の塗り重ねが、三段と四段に分かれる
二つの蔵の扉が、同じ技法で段の数だけ違う。
内蔵は、三段の掛子塗とし、扉下部に桃の漆喰彫刻が施され珍しい造形を見せる、とされる。
見世蔵は、両妻面の両開扉を四段の掛子塗とする、とされる。
掛子塗は、土蔵の扉の合わせ目を段状に塗り重ね、火や煙が入らないようにする作りをいう。
内蔵は1751年から1830年、見世蔵は1901年である。古い蔵が三段、新しい蔵が四段になる。
内蔵の扉には、さらに桃の漆喰彫刻が添えられる。段の数ではなく、飾りで扉をしつらえることになる。
店の間が、繁栄とともに広がった
主屋の間取りが、商いの伸びに合わせて形を変えている。
文化庁は店舗兼主屋を、南側の通り土間に沿って、ミセ、茶の間、板の間を並べ、北に座敷二室を増築する、と記す。
続けて、ミセは北へも増築しコの字平面となり、繁栄の過程を示す大型町家、とある。
ミセは商いをする部屋をいう。そこが北へ広がり、平面がコの字形になる。
楠森河北家住宅では、座敷と新座敷が別の棟として建てられていた。
本件は、同じ建物のなかに増築を重ね、増えた部分が形として残る。建物の形が商いの伸びを記録することになる。
見学
所在は新潟県胎内市本町28である。3棟とも同じ地番で記される。
店舗兼主屋は1824年、見世蔵は1901年、内蔵は1751年から1830年とされる。およそ150年にわたる建物が同じ敷地に並ぶ。
店舗兼主屋は232平方メートル、見世蔵は46平方メートル、内蔵は35平方メートルである。
所有者の記録がなく、公開の有無や条件は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。
名称に家の字がなく、商家の屋号で3棟がまとまる。
参考文献
- 文化遺産オンライン 荒惣店舗兼主屋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/222824
- 文化遺産オンライン 荒惣見世蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/256555
- 文化遺産オンライン 荒惣内蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/286166
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.22
基本情報
| 名称 | 荒惣 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県胎内市本町28 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 38.05151, 139.40295 |