二宮家住宅一号土蔵
主屋の西方に、南北棟で建つ小ぶりな二階建の蔵がある。二宮家の一号土蔵で、明治8年(1875年)の建立。桁行5間、梁間2間で、建築面積は約33平方メートルと小さい。だが、この建物は家の文庫蔵、すなわち書類や宝物を納める蔵であり、規模に似合わぬ丁寧な造作が施されている。
東面の北寄りには土庇付きの戸口が設けられている。蔵は石の基礎に載り、腰は簓子下見板、上部は白漆喰。軒裏まで塗り込めて、外気に触れる木部を残さない造りとしている。
登録の理由と価値
一号土蔵は平成18年(2006年)、造形の規範となっているものとして登録された。その判断を支えるのが二つの細部である。妻壁には家紋が漆喰で浮き出され、重い塗戸は掛子塗とされている。掛子塗とは、戸の合わせ目に沿って漆喰を段状に重ね、火や湿気に対して戸をぴたりと閉じる技法である。
文庫蔵は、地主の家が所有や格式を証する文書を収める場所であり、長く保つよう、また格のある姿に見えるよう建てられた。家紋と入念な塗戸はその意図の証であり、この小さな建物が登録に選ばれた理由でもある。
見どころと訪ね方
蔵は当主が暮らす私邸の内にあるため、近くで見られるのは庭園とバラ園が公開される時期、例年5月下旬から6月中旬に限られる。その折も、建物は外から読み取るのがよい。
まず妻壁の高みに据えられた漆喰の家紋を見上げ、次いで戸口に目を移したい。掛子塗の段重ねが細かな段を作り、光を受けて陰影を刻む。これらは、家にとって最も大切なものを守る蔵に込められた印である。
よくある質問
- 一号土蔵には何が納められていましたか。
- 文庫蔵として使われ、書類や宝物を収めました。地主の家にとって、所有や格式を証する文書を守る蔵でした。
- 壁に家紋があるのはなぜですか。
- 妻壁に漆喰で家紋を浮き出しています。格のある家の蔵であることを示し、入念に建てられたことの表れです。
- 「掛子塗」とは何ですか。
- 蔵の戸の合わせ目に漆喰を段状に重ねる技法です。段がかみ合って戸が密に閉じ、火や湿気への備えとなります。
- 米蔵とはどう違いますか。
- 米蔵は年貢米を収める長大な平屋の蔵で、こちらは書類や宝物のための小さな二階建の蔵です。仕上げもより丁寧です。
- 建物の中に入れますか。
- 入れません。私邸の内にあります。屋敷地は例年短い期間に公開され、蔵は外から眺めます。
基本データ
| 名称 | 二宮家住宅一号土蔵(にのみやけじゅうたく いちごうどぞう) |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県北蒲原郡聖籠町大字蓮野1087 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 15-0243 |
| 登録年月日 | 2006年(平成18年)11月29日(告示 同年12月19日) |
| 年代 | 1875年(明治8年) |
| 構造形式 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積 約33平方メートル、員数1棟 |
| 規模 | 桁行5間、梁間2間 |
| 所有 | 二宮家(個人・私邸) |
| 公開 | 私邸につき通常非公開。庭園とバラ園が例年5月下旬〜6月中旬に公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005964
- にいがた観光ナビ「国登録有形文化財 二宮家庭園『静勝園』とバラ園」
- https://niigata-kankou.or.jp/experience/11906
- まいぷれ[新発田・胎内・聖籠]「二宮家の歴史」
- https://shibata-niigata.mypl.net/article/ninomiyaketeien_shibata-niigta/11615
最終更新日: 2026.06.25