佐藤家住宅(竹田市)とは
佐藤家住宅は、大分県竹田市竹田町の旧城下町に明治12年(1879年)に建てられた町家の屋敷で、主屋・旧店舗兼主屋・旧味噌蔵・土蔵の4棟が平成18年(2006年)11月29日に登録有形文化財に登録された。
屋敷は城下町の東寄り、田町と呼ばれる地区にあり、東側の通りに面している。通りに沿って主屋、旧味噌蔵、旧店舗兼主屋が並び、敷地の奥に小さな土蔵が建つ。4棟の年代はいずれも明治12年、土蔵だけが「明治12年頃」とされており、屋敷の構えがほぼ一度に整えられたことがうかがえる。
竹田市は、城下町に残る登録有形文化財を、近世末から近代にかけて商家や料亭として使われた建物と位置づけている。佐藤家住宅もその一つで、「旧店舗兼主屋」「旧味噌蔵」という名称が、かつて商いの場を兼ねた家であったことを伝える。ただし何を商っていたかは、確認できた公的資料には記されていない。
岡藩の城下町と田町
竹田の市街地は、文禄3年(1594年)に播磨国三木から入った岡藩初代藩主中川秀成が築いた城下町を起源とする。竹田市の歴史的風致維持向上計画によれば、稲葉川右岸の沼地を埋め立て、周辺の町から町家を移して碁盤目状の町割りをつくった。その町割りは現在もほぼそのまま残っている。
田町は城下の東端に近い一画で、高台には岡神社が鎮座する。岡神社は明治41年(1908年)に岡城内の愛宕神社の社殿を移したもので、同じ年に田町にあった善神王社も合祀された。竹田市の計画は、岡神社の周辺に佐藤家住宅、廣瀬神社、市立図書館があることを記している。
通りに並ぶ3棟と奥の土蔵
竹田市の計画は佐藤家住宅の外観を、平入の主屋と旧店舗兼主屋が妻入の旧味噌蔵をはさんで並び、変化のある町並みをつくっていると説明する。棟を通りと平行に置く平入の大きな町家が2棟あり、そのあいだに妻面を通りへ向けた妻入の蔵が挟まる。屋根の向きが交互に変わることで、通りから見た軒線に起伏が生まれている。
文化庁の解説から位置を拾うと、主屋は東側の道路に面して敷地の北端に、旧店舗兼主屋は敷地の南東の角に建つ。旧味噌蔵は道路側に下屋を張り出し、それが両脇の建物を行き来する通路になっている。土蔵は主屋の西側の後方、つまり通りから奥まった位置にある。
なお、旧味噌蔵について文化庁の解説は「主屋の北側に接して建つ」と書く。主屋が敷地の北端にあるとする記述と合わせると、ここでいう主屋は旧店舗兼主屋を指すと読むのが自然だが、解説自体はそこまで述べていない。
登録の内容
佐藤家住宅の4棟は、平成18年(2006年)11月29日付の第53回登録で登録有形文化財(建造物)となり、同年12月19日に告示された。登録番号は44-0125から44-0128までの連番で、4棟とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準による。
- 主屋(44-0125):明治12年(1879年)、木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積184平方メートル
- 旧店舗兼主屋(44-0126):明治12年(1879年)、木造2階建、瓦葺、建築面積143平方メートル
- 旧味噌蔵(44-0127):明治12年(1879年)、木造2階建、瓦葺、建築面積64平方メートル
- 土蔵(44-0128):明治12年(1879年)頃、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積29平方メートル
上の構造と面積は文化庁データベースの構造欄による。主屋と旧店舗兼主屋については、同じデータベースの解説文が階数を逆に記しており(主屋を2階建、旧店舗兼主屋を平屋建一部2階とする)、竹田市の計画も桁行9間・梁間5間の規模を主屋の側に書いている。2棟の記述の対応には資料によって揺れがあり、各棟のページでは両方の記述を示している。
町の行事のなかの佐藤家住宅
竹田市の計画は、佐藤家住宅を城下町の祭りの舞台の一部として取り上げている。夏越祭では、城原八幡社の神輿が城下の町々をめぐり、年によっては田町通りを進んで佐藤家住宅の前を通り、岡神社へ向かう。岡神社の善神王様祭では、神事のあとに御霊を移した榊が、佐藤家住宅などの古い建物に囲まれた御仮屋へ運ばれる。早春の恵比寿講についても、計画は佐藤家住宅を城下の町家の例として挙げている。
見学とアクセス
佐藤家住宅は個人の屋敷で、2026年10月時点で内部の公開や見学受付の案内は確認できなかった。見学は東側の通りから外観を眺める形になる。通りに面した主屋、旧味噌蔵、旧店舗兼主屋の3棟が並ぶ様子は道路から見られるが、敷地奥の土蔵がどこから見えるかは確認できていない。住まいとして使われている可能性もあるので、敷地に立ち入ったり、窓をのぞき込んだりするのは控えたい。
最寄り駅はJR豊肥本線の豊後竹田駅である。佐藤家住宅は駅の南東、直線でおよそ700メートルの位置にあり、城下町の通りを歩いて向かえる。見学者向けの駐車場の案内は見当たらない。
名称について
佐藤家住宅の読みは「さとうけじゅうたく」。文化庁のデータベースでは、4棟がそれぞれ「佐藤家住宅主屋(さとうけじゅうたくしゅおく)」「佐藤家住宅旧店舗兼主屋(きゅうてんぽけんしゅおく)」「佐藤家住宅旧味噌蔵(きゅうみそぐら)」「佐藤家住宅土蔵(どぞう)」の名で登録されている。竹田市の資料では所在地の地区名として田町が使われる。
同じ大分県内では、速見郡日出町大神にも「佐藤家住宅離れ」が登録されているが、竹田の佐藤家とは別の家の建物である。佐藤家住宅の名をもつ文化財は全国に数多くあるため、このページでは竹田市の屋敷であることを名称に添えている。
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「佐藤家住宅主屋」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006073
- 文化庁 国指定文化財等データベース「佐藤家住宅旧店舗兼主屋」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006074
- 文化庁 国指定文化財等データベース「佐藤家住宅旧味噌蔵」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006072
- 文化庁 国指定文化財等データベース「佐藤家住宅土蔵」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006071
- 竹田市「竹田市歴史的風致維持向上計画 第2章 竹田市の維持向上すべき歴史的風致」
- https://www.city.taketa.oita.jp/material/files/group/23/chapter2.pdf
- 竹田市「第2章 竹田市の文化財の概要」
- https://www.city.taketa.oita.jp/material/files/group/23/2syo6syo.pdf
- 竹田市「竹田市内指定文化財等一覧表」
- https://www.city.taketa.oita.jp/material/files/group/23/data.pdf
最終更新日: 2026.10.08
基本情報
| 名称 | 佐藤家住宅(竹田市) |
|---|---|
| 所在地 | 大分県竹田市大字竹田町102-2他 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 32.96669, 131.39537 |