旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室とは
旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室は、岡山県倉敷市福田町古新田のライフパーク倉敷にある大正15年(1926年)建築の天文台観測室で、平成13年(2001年)8月28日に国の登録有形文化財(建造物)となった。日本で最初の民間天文台として開かれた倉敷天文台の観測室で、切妻の屋根を東西へ滑らせて空を開く。
文化庁の記録では、木造一部煉瓦造平屋建、鉄板葺、建築面積24平方メートル。登録番号は33-0053。もとは倉敷市中央2丁目19-10の倉敷天文台の敷地にあり、平成25年(2013年)に倉敷市が公益財団法人倉敷天文台から譲り受けて、ライフパーク倉敷へ移築・復元した。
民間の公開天文台として
大正期の日本の天文台は官立で、研究者でなければ望遠鏡に触れる機会はほとんどなかった。倉敷天文台は、京都帝国大学教授の山本一清や岡山県内のアマチュア天文家水野千里らの考えに動かされた実業家の原澄治が私財を投じ、大正15年(1926年)11月21日に設立した。日本天文学会はこれを、市民への公開を目的に日本で初めて設けられた民間天文台としている。
旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室には、当時国内最大級だった英国ホルランド社製の口径32センチメートルの反射望遠鏡が据えられ、一般に開放された。観望会もこの観測室で開かれ、彗星の観測時には350人が集まった記録があるという(日本天文学会の認定理由)。この望遠鏡は現在、倉敷市の指定文化財として倉敷天文台の原澄治・本田實記念館に保存されている。
昭和16年(1941年)に着任した本田實は、生涯に彗星12個、新星11個を発見した天文家で、この観測室でも星を観測した(倉敷市)。
登録有形文化財としての価値
旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室は平成13年(2001年)8月28日に登録有形文化財に登録された。登録基準は「再現することが容易でないもの」。文化庁の解説は、日本最初の民間天文台として知られることと、屋根を滑らせて開閉する仕組みを挙げ、科学史上においても貴重と評価している。
令和6年(2024年)3月には、日本天文学会が「倉敷天文台と関連遺産」を日本天文遺産に認定し、倉敷天文台とともにこの観測室がその対象に含まれた。
屋根を滑らせる仕組み
旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室の平面は東西4.4メートル、南北5.3メートル。高さ1.1メートルの煉瓦造の基礎の上に、桁高2.2メートルの木造下見板張りの軸部が載る。屋根は鉄板張りの切妻で、室内の歯車付きハンドルを回すと、破風の傾きに沿って東西へ滑り降りるように開く(倉敷市)。
文化庁の解説によれば、望遠鏡の基礎は建物とは別に独立して造られている。屋根を開け閉めする揺れや人の出入りが鏡筒に伝わらないようにする工夫で、外から見ると基礎の高さが際立つ。小屋のような外観のなかに、観測のための考え方が詰まっている。
倉敷科学センターのウェブサイトでは、スライディングルーフが開く様子を撮った動画(約45秒)が公開されている。外観を見る前に一度見ておくと、屋根がどちらへどう動くのかがつかみやすい。
見学について
旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室は倉敷科学センターの屋外保存展示として、ライフパーク倉敷の敷地内に置かれている。外観はセンターの開館時間(午前9時から午後5時15分、入館は午後4時45分まで)に見ることができ、休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)。観測室の内部を常時公開するという案内は見当たらなかった。
公共交通では、JR倉敷駅5番のりばから下電バス51系統(大高・五軒屋経由JR児島駅行き)で約25分、「ライフパーク倉敷西入口」で降りて徒歩約20分。運賃は440円。車では瀬戸中央自動車道水島インター(ETC専用)から約15分で、無料駐車場が430台分ある。閉館後は駐車場が施錠される。
もとの所在地である倉敷市中央の倉敷天文台には、原澄治・本田實記念館があり、口径32センチメートルの反射望遠鏡が保存されている。
Q&A
- 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室はいつ建てられましたか?
- 大正15年(1926年)です。倉敷天文台は同年11月21日に設立されました。
- 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室はどこにありますか?
- 岡山県倉敷市福田町古新田940のライフパーク倉敷(倉敷科学センター)の敷地内です。平成25年(2013年)に倉敷市中央から移築・復元されました。
- 屋根はどのように開くのですか?
- 鉄板張りの切妻屋根が、室内の歯車付きハンドルを回すと破風の傾きに沿って東西へ滑るように開きます。
- 観測室の内部は見学できますか?
- 屋外保存展示として外観を見ることができます。内部を常時公開するという案内は確認できませんでした。
- 登録有形文化財になったのはいつですか?
- 平成13年(2001年)8月28日です。令和6年(2024年)には日本天文学会の日本天文遺産にも認定されました。
基本情報
| 名称 | 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室(きゅうくらしきてんもんだいすらいでぃんぐるーふかんそくしつ) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県倉敷市福田町古新田940(ライフパーク倉敷内) |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成13年(2001年)8月28日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造一部煉瓦造平屋建、鉄板葺、建築面積24平方メートル(東西4.4メートル、南北5.3メートル) |
| 所有者 | 倉敷市 |
| 公開状況 | 屋外保存展示、外観見学可(月曜休館) |
参考文献
- 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002310
- 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室(倉敷市 文化財保護課)
- https://www.city.kurashiki.okayama.jp/5597.htm
- 旧倉敷天文台スライディングルーフ観測室(倉敷科学センター)
- https://kurakagaku.jp/exhibition/formerkuraobs/
- 交通アクセス(倉敷科学センター)
- https://kurakagaku.jp/access/
最終更新日: 2026.10.06