屋敷の角を締める小さな建物

大賀家住宅雑具物置及び臼場は、岡山県岡山市北区今保にある江戸時代後期の付属屋で、平成14年(2002年)6月25日に登録有形文化財となった。木造平屋建、瓦葺、建築面積は20平方メートル。表門の南側にぴたりと接して建っている。

大賀家は畳表の取引を江戸と直接行った商家で、屋敷には9棟の登録有形文化財が残る。主屋や離座敷が屋敷の中心を占めるのに対し、大賀家住宅雑具物置及び臼場は敷地の外周に位置し、道を歩く人の目に最初に触れる建物のひとつである。

名前のとおり、用途はふたつ。表門に近い側が雑具の物置、南側が臼場である。

L字の平面と、梁間1間という薄さ

平面はL字型である。表門から南へ伸び、途中で折れる。屋敷の角地をそのままなぞる形で、敷地の境界に沿って壁が立っている。

奥行きは梁間1しかない。間は日本建築の基準寸法で、1間はおよそ1.8メートル。つまりこの建物は、人が両手を広げた程度の幅しかない細長い箱である。臼を据え、雑具を積むにはそれで足りた。

屋根は切妻造本瓦葺。屋敷の内側には鉄板葺の庇が付く。外に見せる面には重い本瓦を使い、内側の庇には軽い鉄板を使う。見られる面と使う面で材料を変える判断が、この小さな建物にも出ている。

小さいのに重く見える

大賀家住宅雑具物置及び臼場の面白さは、規模と印象が釣り合っていないところにある。梁間1間の付属施設でありながら、外観は重厚である。本瓦の厚みと、屋根の勾配と、壁の低さの取り合わせがそう見せている。文化庁の解説も、この建物が屋敷正面の角地の景観をうまく整えていると評価している。

臼場は米を搗き、殻を落とす場である。畳表を江戸へ送る商家であっても、日々の食事は自前でまかなう。表門のすぐ隣にそういう場所があることが、この屋敷が商いの拠点であると同時に大きな所帯の住まいでもあったことを示している。

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。角を曲がったところで壁と屋根が続いていく、その連続がこの建物の価値である。

大賀家住宅雑具物置及び臼場の見学方法

内部は見られない。屋敷は個人の住まいで、岡山県教育委員会の文化財紹介も公開状況を「公開されていません」としている。予約や申し込みの窓口はない。

それでも、この建物は9棟のうちで最も外から追いやすい。表門の南から道沿いに壁と屋根が連なっているので、歩きながらL字の折れを目で追える。表門と続けて見るのがよい。

撮るなら公道の上から。壁のすぐ裏は住人の暮らしの場なので、塀に体を寄せすぎないようにしたい。

行き方は2通り。ひとつは岡山駅東口から岡電バスで約23分、「ポリテクセンター岡山前」下車、徒歩8分。もうひとつはJR山陽本線の庭瀬駅から2.6キロメートルを歩く方法で、35分ほどかかる。タクシーなら7分。駐車場はない。

Q&A

Q大賀家住宅雑具物置及び臼場は見学できますか。
A内部は見学できません。個人の住居の敷地内にあり、公開されていません。外観は表門の南側の公道から見ることができます。
Q臼場とは何をする場所ですか。
A臼を据えて米を搗き、殻を落とすための場です。大賀家住宅雑具物置及び臼場では、表門から遠い南側がこの用途にあてられていました。
Q大賀家住宅雑具物置及び臼場はいつの建物ですか。
A文化庁のデータベースでは江戸時代後期、1751年から1829年の間とされています。平成14年(2002年)6月25日に登録有形文化財となりました。
Q大賀家住宅雑具物置及び臼場はどれくらいの大きさですか。
A建築面積20平方メートル、奥行きは梁間1間ほどの細長い建物です。平面はL字型で、屋敷の角地に沿って折れています。
Q大賀家住宅雑具物置及び臼場へはどう行けばよいですか。
A最寄りは「ポリテクセンター岡山前」の停留所です。岡山駅東口から岡電バスで約23分、そこから歩いて8分ほどになります。

基本データ

名称大賀家住宅雑具物置及び臼場(おおがけじゅうたくざつぐものおきおよびうすば)
所在地岡山県岡山市北区今保755
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成14年(2002年)6月25日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積20平方メートル
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況非公開。外観のみ公道から見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 大賀家住宅雑具物置及び臼場
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002818
岡山県教育委員会文化財課 岡山県内の国登録文化財
https://www.pref.okayama.jp/page/detail-50777.html
岡山県教育委員会文化財課 おかやまの文化財 大賀家住宅主屋他
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/260971.pdf

最終更新日: 2026.09.08