ふたつの時代のあいだに立つ家
旧國場家住宅主屋(旧国場家住宅主屋)は、沖縄県国頭郡恩納村字山田にある昭和5年(1930年)建築の木造平屋建民家で、平成27年(2015年)8月4日に国の登録有形文化財に登録された。平成23年(2011年)に琉球村の園内へ移築されている。
外から見れば、教科書どおりの沖縄の民家である。赤い琉球瓦の入母屋造屋根が低く広く伸び、瓦の上には魔除けのシーサーが据えられている。ところが、近づくと印象が変わる。
伝統の平面、近代の開口部
建物は北東を正面とする。その正面右手から十畳大の一番座、二番座、三番座が横に並び、背面に裏座、さらに土間の台所が突き出す。沖縄の民家を見慣れた人なら一目で理解できる構成で、軸組も同様に伝統的な手法に従っている。
違うのは目の高さの部分だ。本来なら雨端に直接開くはずの一番座の正面に、玄関庇が架けられている。建具にはガラスが入る。どちらも従来の沖縄民家の語彙にはなく、昭和初期の農村ではまだ目新しい要素だった。
登録の理由はここにある。純粋に旧来の形式で建てられた家は、旧来の形式について語る。この家が記録しているのは、本土の材料や生活習慣が沖縄の建築の型を壊さないまま入り込みはじめた瞬間である。登録基準は「造形の規範となっているもの」とされた。
建築面積は125平方メートル。建築年については資料に食い違いがある。文化庁のデータベースは昭和5年(1930年)とするが、恩納村の文化財多言語解説事業のページは1928年頃と記す。文化庁の記載を優先して読むのが妥当だろう。
八棟の登録文化財が集まる園
琉球村は琉球王国時代の集落を再現したテーマパークだが、そこに建つ古民家は複製ではない。八棟が登録有形文化財で、いずれも各地から移築されて建て直されたものである。國場家住宅主屋のほかに、旧玉那覇家住宅、旧西石垣家住宅主屋、旧大城家住宅主屋、旧島袋家住宅主屋と高倉、旧比嘉家住宅主屋、そして琉球石灰岩で築いた旧平田家住宅フールが並ぶ。
まとめて見られることが、この園の面白さを比較の体験に変えている。旧大城家住宅主屋は首里士族の系譜を引く家で、築二百年を超える。旧島袋家住宅高倉は四本の丸柱の上、高さ2.3メートルに床を張った穀倉である。それらに対して國場家の家はいかにも新しく、単独で見れば些細に思えたガラス戸が、園内で最も分かりやすい変化の指標になってくる。
これらの建物は内部にも入ることができる。個人・法人所有の登録有形文化財としては珍しい扱いといえる。
訪問の手引き
琉球村の所在地は恩納村字山田1130。営業は9時30分から17時まで、最終受付は16時である。年中無休。入場料は大人2,000円、高校生1,500円(学生証の提示が必要)、6歳から15歳の小人800円で、6歳未満は無料。ウェブ前売り券には割引があり、料金は改定されることがあるため、訪問前に公式サイトで確認しておきたい。
園内は撮影可能で、赤瓦の家並みは沖縄本島中部でも指折りの被写体になっている。エイサーの演舞は10時、12時、14時、16時の一日4回。
那覇空港からは国道58号を北へ約30キロ、車でおよそ60分。那覇からの名護行き路線バスも同程度の所要時間で、「琉球村前」で下車する。真栄田岬の青の洞窟までは車で5分ほど、北へ足を延ばせば万座毛にも無理なく回れる。
Q&A
- 旧國場家住宅主屋はどこにあり、内部に入ることはできますか。
- 沖縄県恩納村字山田の琉球村園内にあります。入場料を払えば、園内のほかの登録有形文化財と同様に内部を見学できます。
- 旧國場家住宅主屋を見学できる時間と料金を教えてください。
- 琉球村は9時30分から17時まで(最終受付16時)、年中無休です。入場料は大人2,000円、高校生1,500円、6歳から15歳は800円。料金は改定される場合があるため公式サイトでご確認ください。
- 旧國場家住宅主屋はいつ建てられ、いつ移築されたのですか。
- 文化庁のデータベースでは昭和5年(1930年)建築、平成23年(2011年)移築とされています。地元の解説事業のページには1928年頃という記載もあります。
- 旧國場家住宅主屋は他の沖縄の民家とどこが違うのですか。
- 平面構成と軸組は伝統形式のままですが、一番座正面の玄関庇とガラス戸建具が昭和初期の新しい要素です。沖縄の住宅建築が変わりはじめた段階を示しています。
- 旧國場家住宅主屋へは公共交通でどう行けばよいですか。
- 那覇から名護行きの路線バスで約60分、「琉球村前」下車です。車の場合は那覇空港から国道58号経由でおよそ60分です。
基本情報
| 名称 | 旧國場家住宅主屋(きゅうこくばけじゅうたくしゅおく) |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県国頭郡恩納村字山田1437-1(琉球村園内、村の所在地表示は字山田1130) |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号47-0083 |
| 指定年 | 平成27年(2015年)8月4日登録・告示 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積125平方メートル |
| 所有者 | 寺川原株式会社 |
| 公開状況 | 琉球村の入場料により見学可(9時30分〜17時、最終受付16時、年中無休) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010711
- 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/246905
- 琉球村 公式サイト
- https://www.ryukyumura.co.jp/
- 日本文化財情報サイト 恩納村
- https://onna.hiddenheritage.jp/1
最終更新日: 2026.08.06