玉御殿とは

玉御殿(たまうどぅん)は、沖縄県島尻郡伊是名村の伊是名島にある琉球王家の墓所で、康熙27年(1688年)に現在の石造の姿に整えられ、平成29年(2017年)7月31日に国の重要文化財に指定された。琉球王国第二尚氏王統の初代、尚円王(しょうえんおう)の父である尚稷(しょうしょく)らが葬られている。地元では「伊是名玉御殿」とも呼ばれる。

伊是名島は沖縄本島の北西に浮かぶ島で、尚円王の生まれた島として知られる。玉御殿は島の南東に突き出た小山の北麓にあり、山の上には伊是名城跡がある。墓所の背後に岩山が迫る配置で、墓室は山の岩盤に接して築かれている。

指定の員数は2棟で、石造の墓室と、その正面と側面を囲む石牆(せきしょう)からなる。所有者は伊是名村である。なお那覇市首里にも同じ読みの王陵「玉陵(たまうどぅん)」があるが、こちらとは別の墓所である。

玉御殿が重要文化財に指定された理由

文化庁は、玉御殿を築造年代の明らかな琉球王家の墓所として貴重であるとし、琉球地方の造墓の形式と築造技術の特色がよく表れている点を評価している。指定基準は「流派的又は地方的特色において顕著なもの」である。

墓室は琉球石灰岩を積んでつくられ、石製の棟木に平らな石を切妻形に載せ、表面を漆喰で仕上げている。屋根を家形にかたどったこの形式は破風墓(はふばか)と呼ばれ、沖縄の墓の代表的な形の1つである。内部は東西の2室に分かれる。墓室の構造は文化庁の記載で「石造、切妻造」とされている。

創建については、尚真王(在位1477〜1526年)の代にさかのぼるとする伝承が地元に伝わる。現在の墓室と石牆が整えられたのは康熙27年(1688年)で、文化庁の記載もこの年を築造年としている。年代の確かな王家の墓が、王の出身地の離島に残っていることに意味がある。

玉御殿の見どころ

玉御殿の正面に立つと、石段の上に石牆が横に延び、その中央にアーチ形の門が口を開けている。文化庁の記載によると石牆の延長は36.9メートルで、この門1か所を含む。石牆の内側に破風墓の墓室が収まり、三角形の屋根の稜線が石牆の上にのぞく。

見るべきは、石の扱いの違いである。石牆は琉球石灰岩をきっちりと積み上げた壁で、墓室の屋根は棟木から両側へ平石を葺き下ろし、継ぎ目を漆喰で固めている。背後の岩山と墓室が接するところに目を向けると、自然の岩盤を墓の一部として取り込んだ造り方が分かる。

いぜな島観光協会によると、東室には中国産の輝緑岩でつくった石の厨子(遺骨を納める器)が納められている。伊是名村はこの石厨子2基を村内の文化財の一覧に載せている。墓室の内部は通常は見られないため、外観から構成を読み取る見学になる。

玉御殿の見学方法

いぜな島観光協会の案内では、玉御殿の敷地は自由に見学でき、料金は無料、予約も要らない。付近には無料の駐車スペースがある。墓室の中には入れず、外観を見る形になる。いまも王家ゆかりの祖先をまつる場所なので、石牆や石段に上らず静かに見学したい。撮影の可否について公的な案内は示していない。照明のない場所なので、明るい時間帯に訪れるのがよい。

伊是名島へは、沖縄本島北部の今帰仁村にある運天港からフェリーで渡る。いぜな島観光協会によれば、那覇空港から運天港までは車で約1時間30分、フェリー「いぜな尚円」の所要時間は約55分で、1日2〜3便が運航している。人だけの乗船は予約が不要で、車を載せる場合は予約が必要になる。島の玄関口である仲田港から玉御殿までは車で約5分である。フェリーは天候で欠航することがあるため、当日の運航状況を確かめてから出かけたい。

Q&A

Q玉御殿にはどなたが葬られていますか?
A琉球王国第二尚氏王統の初代、尚円王の父である尚稷らが葬られています。文化庁は玉御殿を尚稷らの墓所と説明しています。
Q玉御殿はいつ重要文化財に指定されましたか?
A平成29年(2017年)7月31日に、墓室と石牆の2棟が国の重要文化財に指定されました。現在の姿に整えられたのは康熙27年(1688年)です。
Q玉御殿は見学できますか?料金はかかりますか?
A敷地は自由に見学でき、料金は無料で予約も不要です。墓室の内部には入れないため、外観を見学します。
Q玉御殿へはどうやって行きますか?
A今帰仁村の運天港からフェリー「いぜな尚円」で約55分の仲田港に渡り、港から車で約5分です。那覇空港から運天港までは車で約1時間30分かかります。
Q伊是名島の玉御殿と首里の玉陵は同じものですか?
A別の墓所です。どちらも「たまうどぅん」と読みますが、伊是名島の玉御殿は尚円王の父らの墓、首里の玉陵は那覇市にある王家の陵墓です。

基本情報

名称玉御殿(たまうどぅん)
所在地沖縄県島尻郡伊是名村伊是名元島20番
指定区分重要文化財
指定年平成29年(2017年)
員数2棟(墓室、石牆)
寸法石牆 延長36.9メートル(墓室の寸法は文化庁データベースに記載なし)
所有者伊是名村
公開状況敷地は自由見学・無料(墓室内部は非公開)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):玉御殿 墓室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005026
国指定文化財等データベース(文化庁):玉御殿 石牆
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005027
文化遺産オンライン:玉御殿 墓室
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/294630
文化遺産オンライン:玉御殿 石牆
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/247171
伊是名村:文化財一覧
https://vill.izena.okinawa.jp/about/cultural_assets/
いぜな島観光協会:玉御殿(国指定重要文化財)
https://izena-kanko.jp/introduce/tamaudun/
いぜな島観光協会:伊是名島へのアクセスガイド
https://izena-kanko.jp/access/

最終更新日: 2026.10.03

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