下寺町の源聖寺とはどんな寺か

源聖寺は、大阪府大阪市天王寺区下寺町にある浄土宗の寺院で、寺の縁起では慶長元年(1596年)の創建と伝え、江戸時代の山門と庫裏の2件が平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財となった。

正式には東営山西岸院源聖寺といい、読みは「げんしょうじ」である。大阪市阿倍野区にも同じ読みの源正寺(字が異なる)があり、そちらの楼門も登録有形文化財になっている。英語ではどちらも Genshoji と綴られるので、地図や案内で探すときは「下寺町の源聖寺」と確かめておくと取り違えない。所在地は文化庁のデータベースでは下寺町1-3-1、寺の案内では下寺町1丁目2番25号と書かれている。

源聖寺の由緒と寺町への移転

寺の縁起によれば、源聖寺を開いたのは奥州出身の僧、遠誉荷公である。諸国をめぐった末に西成郡寺嶋(いまの大阪市西区九条のあたり)に草庵を結び、はじめは東営山西岸寺と名乗った。のちに浄土宗の開祖法然(源空)の教えを源とする意をこめて、寺名を源聖寺に改めたという。大坂の陣のあと、市中に散らばっていた寺院を一か所に集める町割りのなかで、源聖寺も西寺町へ移った。大阪市教育委員会の解説は、この西寺町を現在の下寺町にあたるとしている。

創建の年については別の伝えもある。同じ大阪市の解説は、江戸時代の寺院記録『蓮門精舎旧詞』に天正年間(1573〜1592年)の建立と記されていることを紹介している。寺の縁起の慶長元年と食い違うが、どちらも典拠の示された伝えである。

江戸時代初期に建てられた本堂は、およそ9間四方の大きな堂で、大阪の空襲もくぐり抜けたが、昭和48年(1973年)に不審火で焼けた。いまの本堂は平成2年(1990年)の再建である。この火災のあとも残った江戸時代の建物が、通りに面した山門と庫裏で、2件はこの寺の古い姿をいまに残す建物になっている。

本堂には、火除けの地蔵として江戸時代中期から信仰されてきた木造地蔵菩薩立像(像高89.4センチメートル)が安置されている。鎌倉時代、13世紀の作と考えられる一木造の像で、平成24年度(2012年度)に大阪市指定文化財となった。寺では「光のお地蔵様」と呼んでいる。

源聖寺の登録有形文化財2件

源聖寺の2件は同じ日に登録され、登録番号は27-0467と27-0468で続いている。いずれも登録有形文化財(建造物)で、登録基準は2件とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

  • 庫裏:江戸後期(1751〜1829年)の建築。木造平屋建、瓦葺、建築面積223平方メートル。南面を入母屋造、北面を切妻造とする本瓦葺の屋根に煙出を載せる
  • 山門:江戸末期(1830〜1867年)の建築。間口3.2メートルの一間薬医門で、左右に潜り付の袖塀が付く

寺の案内によれば、山門と庫裏はどちらも登録の前に改修を受けている。同じ平成20年(2008年)の登録では、松屋町筋に並ぶ稱念寺や萬福寺の山門なども登録有形文化財になっており、源聖寺の2件はこの寺町の通りの景観を形づくる建物として評価されたことになる。

源聖寺の境内と源聖寺坂

下寺町は、上町台地の西の崖下を南北に走る松屋町筋に沿って寺が連なる町で、町名は「したでらまち」と読む。寺の案内によれば、通りの東側には浄土宗の寺院が24か寺ほぼ一直線に並び、源聖寺は北から5番目にあたる。

源聖寺の境内は松屋町筋の東側を占め、山門は西を向いて通りに開いている。門の前に立つと、左手(北側)の通り寄りに庫裏の大きな屋根が見え、本堂は境内の奥に建つ。庫裏は南を向いているので、玄関のある正面は門から入った参道の側に面している。

境内の南側を東へ上っていく坂が源聖寺坂で、天王寺七坂の一つに数えられる。天王寺区役所の案内によれば、坂の上り口にある源聖寺の境内を削って東西に抜ける道にしたことがこの名の由来という。寺でも、土地を提供して坂にしたと伝えている。坂は途中で曲がり、中ほどは石段になる。上り口から東へ10メートルほどの石畳には、昭和44年(1969年)に廃止された大阪市電の敷石が使われている。山門を見たあとで坂を上ると、寺の南側の塀に沿って台地へ抜けられる。

源聖寺への行き方と拝観の心得

源聖寺への最寄り駅は大阪メトロの谷町九丁目駅で、寺の案内では3番出口から歩いて7分である。近鉄・大阪メトロの日本橋駅からは8番出口から歩いて8分、大阪シティバスでは73系統の「下寺町」停留所から歩いて4分とされる。谷町九丁目駅側から来る場合は、源聖寺坂を下って坂下で寺に着く道順にもなる。

寺の案内によれば、山門は毎朝午前6時までに開けられ、内側の格子も開け放たれる。境内には誰でも自由に入ることができ、閉門は季節によって異なるが、午後7時までには木戸も含めて閉じる。拝観料の定めは見当たらない。本堂やほかの建物の中へ自由に入ることはできないので、建物は境内から外観を眺めることになる。御朱印やお札を受けたいとき、法要を頼みたいときは、留守のこともあるため事前に電話で連絡するよう寺は求めている。

車で訪ねる場合、寺のアクセス案内は駐車は4台までとし、よくある質問では門前に3台、山門の北側に3台としている。土曜・日曜は法事や墓参りで停められないことがあるという。春と秋の彼岸、8月の盂蘭盆には施餓鬼会が営まれ、境内が法要でにぎわう日もあるので、静かに見学したいときはそうした日を避けるとよい。

参考文献

国指定文化財等データベース「源聖寺庫裏」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007238
国指定文化財等データベース「源聖寺山門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007239
文化遺産オンライン「源聖寺山門」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/144501
源聖寺について(源聖寺 公式ホームページ)
https://genshoji.jp/about
アクセス(源聖寺 公式ホームページ)
https://genshoji.jp/access
よくあるご質問(源聖寺 公式ホームページ)
https://genshoji.jp/qa
法要・行事(源聖寺 公式ホームページ)
https://genshoji.jp/event
源聖寺(浄土宗 寺院検索)
https://otera.jodo.or.jp/temple/32-043/
木造地蔵菩薩立像 1躯(源聖寺)(大阪市指定文化財 平成24年度、大阪市教育委員会)
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000673/673889/5.pdf
源聖寺坂(大阪市天王寺区)
https://www.city.osaka.lg.jp/tennoji/page/0000654080.html
区の町名(大阪市天王寺区)
https://www.city.osaka.lg.jp/tennoji/page/0000000106.html
源聖寺庫裏・源聖寺山門(大阪文化財ナビ)
https://osaka-bunkazainavi.org/ja/bunkazai/%E6%BA%90%E8%81%96%E5%AF%BA%E5%BA%AB%E8%A3%8F

最終更新日: 2026.10.05

基本情報

名称源聖寺(大阪市天王寺区)
所在地大阪府大阪市天王寺区下寺町1-3-1
所有者宗教法人源聖寺
指定登録有形文化財 2件
座標34.66388, 135.51131