古畑家住宅とは

古畑家住宅は、大阪府高槻市中畑にある農家の屋敷で、文政11年(1828年)の土蔵から昭和初期の米蔵までの8棟が、平成20年(2008年)に登録有形文化財となった。「古畑」は「こばたけ」と読む。

高槻市の北端、樫田地区の山あいに中畑の集落がある。古畑家住宅はその傾斜地に屋敷地を構え、中央に大正期の主屋が南を向いて建つ。主屋のまわりを離れ、長屋門、5棟の蔵が囲む。

登録有形文化財は1棟ごとに登録する制度なので、文化庁の台帳では古畑家住宅は8件に分かれており、登録番号も27-0485から27-0492まで続き番号で振られている。現地では一つの屋敷である。

建てられた順に見る

8棟は一度に建ったものではない。文化庁の国指定文化財等データベースが示す年代を古い順に並べると、次のようになる。

  • 東一の蔵 文政11年(1828年) 土蔵造2階建、建築面積15平方メートル
  • 東二の蔵 江戸末期(1830年から1867年) 土蔵造2階建、建築面積25平方メートル
  • 主屋 大正期(1912年から1925年)、昭和31年(1956年)ごろ改修 木造、建築面積261平方メートル
  • 離れ 大正末期 木造平屋建、建築面積74平方メートル
  • 西の蔵 大正期 土蔵造2階建、建築面積16平方メートル
  • 長屋門 大正期 木造平屋建、建築面積19平方メートル
  • 新蔵 大正14年(1925年) 土蔵造2階建、建築面積21平方メートル
  • 米蔵 昭和初期 土蔵造平屋建、建築面積49平方メートル

江戸時代の蔵は東の通り沿いの2棟だけで、残る6棟は大正期から昭和初期に建っている。大正年間に屋敷のほぼ全体を建て直すほどの普請があったと考えられるが、その事情を記した公的な資料は、確認できた範囲では見当たらない。

登録基準は、離れが「造形の規範となっているもの」、残る7棟が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は主屋を大型の近代農家建築と位置づけ、長屋門と蔵については、通りに沿って並ぶことで屋敷の表構えをつくっている点を評価している。

樫田の山村と府県境

中畑は、高槻の市街地から北へ山を越えた樫田地区の集落で、もとは丹波国桑田郡に属した。明治22年(1889年)の町村制で周辺の村々とともに京都府南桑田郡樫田村となり、昭和33年(1958年)4月1日に高槻市へ編入された。

府県の境をまたぐ編入である。古畑家住宅の8棟は一度も動いていないが、東一の蔵が建った文政11年から数えると、所属する国・府・市は二度にわたって書き換えられたことになる。大阪府の登録有形文化財でありながら、屋敷の成り立ちは丹波の山村の側にある。

屋敷の配置

古畑家住宅の屋敷地は山の傾斜地を占め、中央に主屋が南面して建つ。敷地の東辺は通りに面しており、南から長屋門、東二の蔵、東一の蔵の順に並ぶ。長屋門の北端は東二の蔵に取り付いているので、通りから見ると門と蔵が切れ目なく連なる。

敷地の南東の隅には米蔵が建つ。南西には、主屋と向かい合う位置に離れがある。主屋の北面には西の蔵が接続し、そのさらに北に新蔵が続く。西の蔵と新蔵は敷地西側の石垣の上に並び、西面が一続きの壁になっている。

5棟の蔵は、いずれも外壁を白い漆喰で仕上げ、腰に竪板を張る。東一の蔵・東二の蔵・西の蔵・新蔵の4棟は、切妻造の置屋根を載せ、その軒まわりまで漆喰で塗り込めている点も共通する。建てられた年代は江戸時代後期から大正末年まで100年近く離れているが、仕上げの作法は揃えられている。

見学とアクセス

古畑家住宅は個人が所有し、現在も住まいとして使われている。一般公開は行われておらず、敷地内への立ち入りも内部の見学もできない。見学会や特別公開の案内は、文化庁と高槻市の公開情報には見当たらない(2026年9月26日確認)。

外から見られるのは、敷地東辺の通りに面した長屋門、東二の蔵、東一の蔵の並びである。通りは集落の生活道路で、住まいの正面にあたる。立ち止まって眺めるなら通行の妨げにならない位置を選び、撮影は公道から外観を写す範囲にとどめてほしい。敷地の内側や住人の姿にカメラを向けるのは避けたい。

公共交通では、JR高槻駅の北側にあるバスターミナルから高槻市営バスの樫田方面行き(田能・杉生・中畑・二料線)に乗る。バスは府道枚方亀岡線を北へ上り、樫田地区の集落を結ぶ。便数は少なく、令和元年(2019年)の高槻市の資料では、平日に駅から樫田方面へ向かう便は9便だった。現在のダイヤは高槻市営バスの時刻表で確かめてから出かけたい。見学者向けの駐車場の案内はない。

名称の読み

古畑家住宅の「古畑」は「こばたけ」と読む。文化庁の国指定文化財等データベースでは、8件すべてのふりがなが「こばたけじゅうたく」で始まる(「家」は読みに含めていない)。字面から「ふるはた」と読まれやすいが、登録名称の読みは「こばたけ」である。高槻市の指定登録文化財一覧表では「古畑家住宅 主屋 他7棟」の1行にまとめて掲げられている。

参考資料

文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007256
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅離れ
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007257
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅東一の蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007258
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅東二の蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007259
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅西の蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007260
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅新蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007261
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅米蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007262
文化庁 国指定文化財等データベース 古畑家住宅長屋門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007263
文化遺産オンライン 古畑家住宅主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/143018
高槻市 指定登録文化財一覧表
https://www.city.takatsuki.osaka.jp/site/history/4535.html
高槻市 市政概要(市域の変遷)
https://www.city.takatsuki.osaka.jp/uploaded/attachment/59190.pdf
高槻市交通部 市営バス路線等の今後の見直し方針(案)
https://www.citybus.city.takatsuki.osaka.jp/koutsuu-bu/detail/2019112600037/file_contents/011101-2.pdf

最終更新日: 2026.09.25

基本情報

名称古畑家住宅
所在地大阪府高槻市大字中畑小字清谷23ほか
所有者個人
指定登録有形文化財 8件
座標34.96152, 135.60541